転生して竜の親になりました~でも、スライムなんですけど?!~

桜月雪兎

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竜親、町興し編

六十五話、話し合い②

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「行ったわね」
「それでとうする?ダークエルフ、襲撃されたオークやオーガの村は機能しない」
「土地の毒を浄化しないといけないけど、それはあとね。すぐにできることじゃないから」
「確かに」
「オーガはどう?この里で引き取れる?」
「無理ですな。最近、子供たちが多く生まれたんでね。余裕がない」
「そう。オークを引き取れる場所は?」
「残念ですが、私たちの所に来ているオークたちにも一時避難としておいてるだけですから」
「この全ての者たちが路頭に迷うことになるのね」
「ははは!くだらねぇ話だな」
「なんだと!?」
「貴様ら魔物など狩りつくされて終わりだ」
「ぐぐー!」
 呆れた。自分の状況が分からないのかしら?
 そんなに私を怒らせたいのかな?
 周りは悔しそうにしている。それを見て人間たちは楽しそうな顔をしている。
 普通に腹が立つわ。
 私は『土操作』で私の足場を作り、人間たちの高さまで上がった。そして、手加減をしながら、うるさくした人間の男を『鋼化糸』で締め上げた。
 首が切れたら困るからね、手加減はしてるよ。これ大事!
 だって、現実を教えてあげないと。
「ちょっと、黙っててもらえない?」
「がっ?!」
「うるさいわよ。あなたたちは今、私に生かされてるの。私の機嫌を損ねない方がいいわよ」
「わ、分かったわ!分かったから」
「はぁ、はぁ、はぁ」
 ふん!ざまぁみなさい。
 私はもとの場所に戻ると意外そうな顔をした面々がいた。
 何よ、私は別に人間主義じゃないわよ。
 あれは利用するから生かしてるだけよ。
 まぁ、そんなこと言う必要はないから話を進めましょう。
「話がそれたわね。とにかく、当てがない者たちは私の所に来なさい。面倒見るわ」
「え?」
「でも、今建設中だから来た人たちにも働いてもらうけどね。まぁ、かなり広めにマークしてるから土地はあるわよ。どうする?」
「土地自体がダメになってるんだ、世話になる方が安全だよな」
「確かに」
「新たに開拓するとしたら場所を探すだけでも一苦労だしな」
「…………」
「そっちは?」
「…………」
「あなたたちはどうするの?ダークエルフの村もダメになったいる可能性が高いけど」
「我らは……我らは許されないことをしている。それなのにどの面をさげて共に住まわせてくれと言うんだ」
 うん、何となく予想済みよ。
 そうよね、普通は気にするわよね。
 周りもホッとした顔をしてるわ。
 でもね、そんなの悲しいじゃない。どうしようもなかったことで関わりを絶つだなんて。
 私はそんなこと嫌だわ。みんなが笑い合い、助け合い、許しあう世界がいいわ。
 だって、その方が楽しいもの。
「……別にいいんじゃない」
「何?」
「別にいいじゃない、一緒に暮らせば。誰よりも頑張ればいいのよ。償う気持ちがあるのなら行動で示しなさい」
「何を…」
「いや、確かにあなたの言うとおりだ」
「部隊長?!」
「言葉でどんなに尽くそうとも行動が伴わなければ意味がない」
「…………」
「…そう、だよ、な」
「そうよ」
 ダークエルフたちは納得したわね。
 周りには不満そうなのもいるけど、それはほっとくわ。
 こういうのは行動と時間が必要なんだもの。
 不安要素が大きいのかな?
 おずおずと一人が代表して聞いてきたわ。
「だが、ティア殿よ。それは少々問題ないか?彼らは...」
「彼らは?彼らも被害者よ。子供たちを盾に取られなければ彼らは人間たちに負けなかった。こんな悲しいことは起こらなかった」
「……………………」
「私は彼らを引き取ることにした。その上でどうするかは各部族に任せるわ。彼らに償わせる義務も私にはある。彼ら、ダークエルフを引き取ると言うことはそういうことよ。この件に関しては各部族でしっかりと話してから決めて。大事なことなんですから」
「……分かった。確かに考える時間は必要だな。それに移動に関しても全員が納得しなければ意味ないしな」
「そうだな」
「ああ」
 被害を受けたオーガとオークはそれぞれの部族のもとに向かった。
 私はそれを見送った。
 どのようか結果になろうとも、関わったからにはある程度の基盤ができるまでは面倒を見てあげないとね。
 ダークエルフたちも話をするために出ていったのでここに残ったのは私たち連合軍だけ。
 そうしているとオーガの里長さんたちが話しかけてきた。
「私たちは特に被害を受けたわけではないから」
「そうですな。我らに関してはすでにティア殿にご恩がある」
「私たちもだ。この一件が大事にならなかったのはティア殿がいたからだ」
「そうだな。うちとしてはその前に取引もしているし、あの時は迷惑もかけている」
「え?な、なに?」
「私たち、コボルドとリザードマン、こちらのオーガ一族はあなたを信じるということですよ」
「ああ、これも何かの縁、今後も仲良くしようということだ」
「どうかな?」
「それは、こちらとしてもいい話だわ」
「なら」
「今後とも」
「よろしく」
「そうね」
 どうやら私から提案する必要はなくなったみたいだわ。
 これはいい結果になったわ。
 これを足掛かりにいい交流合出来たらいいわね。
 まぁ、それに関してはそれぞれの努力次第よね。



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