転生して竜の親になりました~でも、スライムなんですけど?!~

桜月雪兎

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竜親、町興し編

十話 洞窟の先に③

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 私はこの狼の意思に沿うことにした。
『手を貸そうか?』
「いいのか?」
『ええ、私にできることは少ないけど。それでいいのなら』
 私はスライム、最弱モンスター。
 だから、この狼の思いにどこまで沿えるか分からない。
 だが、狼はそんな私の考えに苦笑した、そんなことないと。
 何故だろう?
「お前はすごい力を有している、それに相手を思いやることもできる。私はお前に救われた、だからお前の力になろう。群れを追われ、流れになった私にできるのはお前に忠誠を誓い、ともに歩むことしかできないが」
『それでいいよ、というより十分すぎ』
 内側にドラグーンがいると言えど、外側からは分からないが私の家族がまた一人増えた。
 まぁ、外側から見たら二人だが、なんてことを思っているとやや不満気味のドラグーンがいた。
 いや、だってねぇ。卵はまだまだ孵らないし、ドラグーンは私のスキルと統合したし、実質一人なものだから仕方ないよね。
 そう伝えるとドラグーンが納得しつつも、呆れたようにため息をついた、解せぬ。
 そんなことを知らない狼は嬉しそうに私を見た。
「そうか?なら、これからもよろしく頼む、わが主」
『ふふ、よろしく。ええ~と、名前は?私はティア=ドラグーン』
「私に名はないよ、わが主・ティア様」
『ティアでいいのに。主っていうより家族がいいし』
「ティア様が望むのなら私は……ですが、やはりティア様と呼ばせてもらいたい」
『うう~ん、分かったよ』
 どうもこの狼は真面目なようだ。納得しつつも最後の一線は超えられないという感じだ、わきまえていたいみたいだ。家族がいいのに。まぁ、それはおいおいかなぁ。
『それじゃあ、家族の証ってことで名前を付けてあげる』
「っっ!!名付けはかなりの力を使う、危険だ!ティア様がどれほど強くても」
 狼はあわてている。
 私だってドラグーンに名前を付けてもらったのでわかっている。それでドラグーンは寿命が尽きたのだから。
 それでも私はもともと名前があるのが普通の世界で過ごしていたから家族だけには名前を付けてあげたい。
 それにこの世界は魔素が普通に大気中にあるので回復もできるらしい、これは洞窟内でドラグーンに聞いたこと。寿命が尽きるなどの大事がない限り、魔素の回復は可能だとのことだ。
 だからこの狼一匹に名前を付けるのはそれほど苦ではないはずだ。それに私がそうしたいのだ、諦めて名前を付けられてもらおう。
『いいの、私がそうしたいのだから』
「……分かった、お願いする」
『ふふ、それじゃあ、これからソーガね、ソーガ!』
「ソーガ……ありがとう」
『ふふ、いいよ』
 それなりに魔素を消費したらしい。なんだか眠くなった。スライムの体でも睡眠は必要なのかなぁ?
『今日は遅いし寝よう』
「ああ、お休み。ティア様」
 これが私とこの狼、ソーガとの出会い。
 これから先、長い時を一緒に過ごす一番最初の家族の誕生だ、ドラグーンを除いてね。
≪ティア、妖狼の族長クラスに名をつけて睡眠で済むとはさすがじゃな≫
 なんてことを夢うつつの中、ドラグーンが言っていた。何が流石なのだろう?

妖狼…体長1~2mの狼じゃ。群れを成して行動する一族じゃな。
   すべての狼族の初期ではあるが統制がとれており、その爪と牙の攻撃は鋭いのじゃ。
   属性攻撃も個体によってさまざまじゃが習得可能じゃ、かなり手ごわい者よ。
   生まれながらの族長クラスはその能力の幅が違うのじゃ。

ソーガ…妖狼族の生まれながらの族長クラスじゃ。群れを追われティアに名をもらったのじゃ。
    名をもらったことで潜在能力が開花し、魔力も段違いに上がったのぅ。
    ティアの初めての家族じゃな、ワシとわが子を除いて。
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