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竜親、町興し編

二十八話、住処探し⑧

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 調達に向かった狼たちを見送った後、私はゴブリンたちのもとに向かった。
 疲労はかなりあるように見受けられる。まぁ、年寄りや女子供がいるのだから当たり前だけど。
『大丈夫?』
「はい、大丈夫です」
『動ける子たちだけでいいんだけど、この近くで食べれる木の実を取ってきてくれない?』
「はい、わかりました」
「それ、私も行っていいかしら?」
 なんと声をかけてきたのはココルだった。
 ゴブリンたちは急に話しかけられて驚いているようだ。しかし、これは仲良くなるチャンスでもある。ココルとアルマとメスゴブリン数匹で一緒に行ってもらった。
 あ、ゴブリンの方に無理強いさせてないよ。本人たちが一緒に行くって言ったから行って貰っただけだよ。
≪言い訳がましくなっておるぞ≫
 そ、そんなことないもん!
 それに他のゴブリンもドワーフのことは気になるようで、というよりさっきの自己紹介が効いたのか、自分たちが気になるモノに対して質問している。
 建築関係が気になる者はカルマに、鍛冶が気になる者はガルドに、防具が気になる者はディガルに、衣服が気になる者はミンデに話をかけている。
 うん、ディガルとミンデは同じように防具・衣服関係なんだけど、見た目や雰囲気の差かなぁ、ミンデの方にメスゴブリンが行っている傾向がある。
 確かにミンデはちょっと前まで学生だったためか可愛い系で柔らかい雰囲気をしている。一方のディガルは確かに男前なんだが、ちょっと近寄りがたい雰囲気がある。
 見てて楽しいよ。私は年寄りたちと一緒に遠目から見てます。
 お年寄りたちの目が優しいのは長年の経験から悪い相手ではないと分かり、若い面々の多種族との交流を微笑ましく見ているらしい。
 長老さんが教えてくれたんだ。
 
 そうしていると狩りと採取に向かった面々が返ってきた。どうやらココルたちも交流が深めたらしく、楽しそうである。
 狼たちは一瞬驚いたが弱いゴブリンたちが受け入れたドワーフたちを素直に受け入れたようだ。
 まぁ、ゴブリンを守るという意味で見張っていたようなので、狼たちは問題なかった。狼たちは強いのでいざとなったらドワーフたちを蹴散らせるのでそういう意味では警戒していなかったようだ。
 うん、家族なんだから蹴散らさないでね。と思ったのは内緒だ。
 こうして私たちはさらに交流を深めつつ、ゆっくりと休んだ。
 こんなにゆっくりと休めるのもソーガたち狼たちのおかげだね。住処が見つかったらゆっくりと休ませてあげないとなぁ。
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