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第一章
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「オベロン、ティターニア、スプリガン。気を使ってくれるのは嬉しいが、これは我が家の問題だ。君たちに手を出させるつもりはない。その代わり、助けてくれないか?」
「「「はい」」」
「さっきも言ったが作物の種や苗とノームたち農業に精通した妖精を貸してくれないか?」
「そんな事なら大丈夫だが」
「他にはないのですか?」
「とりあえずは、それで良いかな?これを機にわが領の弱点だった農業の発展を目指すつもりだ」
そう、オベロンたちを巻き込むつもりはない。
必要以上に巻き込めば大変なことになる。
もちろん、妖精に愛された土地は発展する。
だけど、逆に妖精に見放された土地は荒れる。
普通に妖精や全て者が過ごす土地とは意味が違う。
オベロンたちを巻き込めば妖精の国の王と王妃に愛された土地になってしまう。
それは争いのもとである。
いや、現在争うつもりでいるのだが、叔父と。
オベロンたちに迷惑をかけたくない。
だから、ここまでなんだ。
それに普通の友人関係を壊したくない。
今だってギリギリなのだ。
ギリギリアウトだとも思うが、これ以上はダメだ。
領の発展に手は借りても、俺と叔父の争いに助力を借りる気はない。
これは絶対だ。
妖精の国が一個人に加担してはいけない。
世界のバランスが崩れかねない。
それだけは容認できない。
「それじゃあ、ノームたちに種や苗を持たせて、魔の森に向かわせる」
「頼むよ、ラックやシリルがいるから大丈夫だと思う」
「そうね。あの子たちに連絡してから送るわ」
「ありがとう」
「ふふふ、ついでに贈り物もさせてね」
「贈り物?」
「そう、帰ってからの楽しみにしてくれ」
「分かったよ、楽しみにしておく」
オベロンとティターニアは微笑んでいる。
何かを企んでいるようではないので素直に楽しみにすることにしておく。
とりあえず、作物の種や苗とノームたち農業に精通した妖精を借りる約束をとれたのは良かった。
オベロンとティターニアは約束を反語にすることは絶対にない。
それは二人の誇りなのだ。
「カイト殿、もし、守護の力が必要であれば私の子を貸しますぞ」
「え?スプリガンの子?」
「ええ。守りたいものがいるのなら」
「…………確かに守りたい人たちはいるが」
「ほほほ、何、我が子と契約すれば良いのです。そうすれば妖精の国を巻き込んだとは思われませんよ」
「っっ!!」
スプリガンに見透かされていた。
確かに従魔契約をすれば俺の従魔と言うことになって妖精の国を巻き込むことにはならない。
それをスプリガン自身に言われるとは思わなかった。
「妖精の国の事を考えてくれているのは分かっていますよ。貴方は優しい人です。様々な妖精や魔獣に魔物、果てには魔族にも好かれている貴方です、ですが、全てを巻き込まないように行動するのは難しいでしょう」
「…………」
「もちろん、貴方が理不尽な人間たちとの制約を破ればすぐにでも世界を思い通りに出来るでしょう。神にすら愛された子なのです」
「スプリガン」
「貴方は貴方を大切に思う相手の手を煩わせたくないのですよね?ですが、そうすればどこかが疎かになるでしょう。ですので、もし、手が回らなくなりそうでしたら我が子と契約してやってください。それに我が子もそれを望んでいますので」
「…………はぁ。負けたよ、分かった。その時には手を借りるよ」
「はい」
スプリガンは優しい顔をして笑っていた。
どうやら、冷静になった三人には俺の考えなどお見通しだったようだ。
まぁ、仕方ないよな。
何千年と生きる彼らに前世と合わせても高々産まれて三十年程の小僧が敵うわけない。
素直に好意を受けとこう。
===========================
R3/7/11
一部修正しました。
「「「はい」」」
「さっきも言ったが作物の種や苗とノームたち農業に精通した妖精を貸してくれないか?」
「そんな事なら大丈夫だが」
「他にはないのですか?」
「とりあえずは、それで良いかな?これを機にわが領の弱点だった農業の発展を目指すつもりだ」
そう、オベロンたちを巻き込むつもりはない。
必要以上に巻き込めば大変なことになる。
もちろん、妖精に愛された土地は発展する。
だけど、逆に妖精に見放された土地は荒れる。
普通に妖精や全て者が過ごす土地とは意味が違う。
オベロンたちを巻き込めば妖精の国の王と王妃に愛された土地になってしまう。
それは争いのもとである。
いや、現在争うつもりでいるのだが、叔父と。
オベロンたちに迷惑をかけたくない。
だから、ここまでなんだ。
それに普通の友人関係を壊したくない。
今だってギリギリなのだ。
ギリギリアウトだとも思うが、これ以上はダメだ。
領の発展に手は借りても、俺と叔父の争いに助力を借りる気はない。
これは絶対だ。
妖精の国が一個人に加担してはいけない。
世界のバランスが崩れかねない。
それだけは容認できない。
「それじゃあ、ノームたちに種や苗を持たせて、魔の森に向かわせる」
「頼むよ、ラックやシリルがいるから大丈夫だと思う」
「そうね。あの子たちに連絡してから送るわ」
「ありがとう」
「ふふふ、ついでに贈り物もさせてね」
「贈り物?」
「そう、帰ってからの楽しみにしてくれ」
「分かったよ、楽しみにしておく」
オベロンとティターニアは微笑んでいる。
何かを企んでいるようではないので素直に楽しみにすることにしておく。
とりあえず、作物の種や苗とノームたち農業に精通した妖精を借りる約束をとれたのは良かった。
オベロンとティターニアは約束を反語にすることは絶対にない。
それは二人の誇りなのだ。
「カイト殿、もし、守護の力が必要であれば私の子を貸しますぞ」
「え?スプリガンの子?」
「ええ。守りたいものがいるのなら」
「…………確かに守りたい人たちはいるが」
「ほほほ、何、我が子と契約すれば良いのです。そうすれば妖精の国を巻き込んだとは思われませんよ」
「っっ!!」
スプリガンに見透かされていた。
確かに従魔契約をすれば俺の従魔と言うことになって妖精の国を巻き込むことにはならない。
それをスプリガン自身に言われるとは思わなかった。
「妖精の国の事を考えてくれているのは分かっていますよ。貴方は優しい人です。様々な妖精や魔獣に魔物、果てには魔族にも好かれている貴方です、ですが、全てを巻き込まないように行動するのは難しいでしょう」
「…………」
「もちろん、貴方が理不尽な人間たちとの制約を破ればすぐにでも世界を思い通りに出来るでしょう。神にすら愛された子なのです」
「スプリガン」
「貴方は貴方を大切に思う相手の手を煩わせたくないのですよね?ですが、そうすればどこかが疎かになるでしょう。ですので、もし、手が回らなくなりそうでしたら我が子と契約してやってください。それに我が子もそれを望んでいますので」
「…………はぁ。負けたよ、分かった。その時には手を借りるよ」
「はい」
スプリガンは優しい顔をして笑っていた。
どうやら、冷静になった三人には俺の考えなどお見通しだったようだ。
まぁ、仕方ないよな。
何千年と生きる彼らに前世と合わせても高々産まれて三十年程の小僧が敵うわけない。
素直に好意を受けとこう。
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一部修正しました。
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