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第一章
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「それじゃあ、次のところに向かうよ」
「次はどこに行くのだ?」
「じい様のところだよ、あの樹の」
「それって…………古代龍の所ですわよね?世界樹の」
「そう」
俺が次に向かおうとしているのは彼らが言うように世界樹を守る古代龍のじい様のところだ。
じい様との出会いは神様に結んで貰ったようなものだ。
神様たちの加護を持った俺に興味を持ったじい様が会いに来たのだ。
それからの仲ではある。
「それじゃあ、行くよ」
「ああ」
「はい」
「お気をつけて」
三人に見送られながら俺たちは妖精の国を出た。
相変わらず、シルフィーの背中に乗って今度は世界樹のところに向かった。
古代龍であるじい様はドラゴン種の中では最高齢であり、発言力も強い。
普段は見守っている事が多いが、いざという時は間に入る。
なのでだろう。
アースたちが緊張している。
俺としては本当におじいちゃんと言う感覚なんだが、ドラゴンたちにはそうではないようだ。
暫くすると世界樹の麓に着いた。
『なんじゃ。珍しい客人だのぅ』
「じい様、久しぶり」
『ああ。久しぶりじゃな…………話は来とるよ』
「あ、やっぱり」
じい様のところにはどういうわけかいろんな情報が入っている。
今回も我が家の騒動は耳に入っているようだ。
オベロンやティターニアのように激情に流されないのは生きている年齢かな?
オベロンやティターニアが何千年なら、じい様は何十万年以上の年月を生きている。
ちょっとやそっとでは動じないのだろう。
『可愛いカイト坊よ。何を望む?』
「俺は、預けてた物を取りに来たんだよ」
『…………やはりのぅ。カイト坊は望まぬか』
「うん。じい様たちの力を借りれば何だって出来てしまうよ。でも、俺は人と共に生きたいんだ」
『そうじゃろうな』
どうやらじい様にはバレバレのようだ。
まぁ、そんなじい様だから俺は安心して会えたんだろうな。
『カイト坊よ』
「ん?」
『道は険しいぞ』
「分かっているよ……覚悟の上だ」
『ふむ。気分を変えたい時は来ると良い。扉を繋げておいてあげよう』
「ありがとう」
じい様はいくつかの扉を自身の向かう場所に繋げている。
だから、少しこの世界樹から離れてもすぐに戻ってこれるし、移動しても問題にならない。
じい様の許可さえあればその扉からこの世界樹の麓に来ることも許される。
世界樹はこの世界に数本しかない大樹だ。
大きな力が流れているので、エリクサー等の特殊な薬の材料にもなっている。
採り尽くされないために麓には力のある魔獣が守っている。
ここは古代龍であるじい様だが、他の所は別の魔物が守っている。
別の所はよく知らない。
会ったことも、行ったこともないし、行く予定もない。
俺はじい様に預けていた物を受け取った。
それはある証文と通行証にお金だ。
これらはこれから行くアンダーグランドに必要なのだ。
ここに預けておけば取られたり、失くなる事はないので一番安全なのだ。
「ありがとう。助かったよ」
『良い。今度はカイト坊の弟妹と義兄弟を連れて参れ』
「弟妹はともかく……義兄弟ってクラウドのこと?あれは幼馴染みだよ。いや、それ以前に一国の王子を連れては……」
『ワシが国に関与することはない。会ってみたいだけじゃ』
「…………考えとくよ、クラウドにもじい様を国の事で持ち出さないように言い聞かせないといけないし」
『うむ』
じい様を国や領の事で持ち出すのはダメだ。
古代龍と知り合いだと言うだけで国家間の力関係が崩壊する。
そんなことになれば大きな争い、戦争になる。
そんな事になっては困る。
そういうことはちゃんと線引きしておかないといけない。
じい様からしたら会いたいだけだろうが、人にしては大問題になるから会う人間側に注意喚起しないといけない。
それが出来てからやっと会える。
秘密を持つ覚悟がなければダメなのだ。
「それじゃあ、行くよ」
『ああ。気を付けてのぅ』
「うん」
==========================
R3/6/14
誤字訂正しました。
「次はどこに行くのだ?」
「じい様のところだよ、あの樹の」
「それって…………古代龍の所ですわよね?世界樹の」
「そう」
俺が次に向かおうとしているのは彼らが言うように世界樹を守る古代龍のじい様のところだ。
じい様との出会いは神様に結んで貰ったようなものだ。
神様たちの加護を持った俺に興味を持ったじい様が会いに来たのだ。
それからの仲ではある。
「それじゃあ、行くよ」
「ああ」
「はい」
「お気をつけて」
三人に見送られながら俺たちは妖精の国を出た。
相変わらず、シルフィーの背中に乗って今度は世界樹のところに向かった。
古代龍であるじい様はドラゴン種の中では最高齢であり、発言力も強い。
普段は見守っている事が多いが、いざという時は間に入る。
なのでだろう。
アースたちが緊張している。
俺としては本当におじいちゃんと言う感覚なんだが、ドラゴンたちにはそうではないようだ。
暫くすると世界樹の麓に着いた。
『なんじゃ。珍しい客人だのぅ』
「じい様、久しぶり」
『ああ。久しぶりじゃな…………話は来とるよ』
「あ、やっぱり」
じい様のところにはどういうわけかいろんな情報が入っている。
今回も我が家の騒動は耳に入っているようだ。
オベロンやティターニアのように激情に流されないのは生きている年齢かな?
オベロンやティターニアが何千年なら、じい様は何十万年以上の年月を生きている。
ちょっとやそっとでは動じないのだろう。
『可愛いカイト坊よ。何を望む?』
「俺は、預けてた物を取りに来たんだよ」
『…………やはりのぅ。カイト坊は望まぬか』
「うん。じい様たちの力を借りれば何だって出来てしまうよ。でも、俺は人と共に生きたいんだ」
『そうじゃろうな』
どうやらじい様にはバレバレのようだ。
まぁ、そんなじい様だから俺は安心して会えたんだろうな。
『カイト坊よ』
「ん?」
『道は険しいぞ』
「分かっているよ……覚悟の上だ」
『ふむ。気分を変えたい時は来ると良い。扉を繋げておいてあげよう』
「ありがとう」
じい様はいくつかの扉を自身の向かう場所に繋げている。
だから、少しこの世界樹から離れてもすぐに戻ってこれるし、移動しても問題にならない。
じい様の許可さえあればその扉からこの世界樹の麓に来ることも許される。
世界樹はこの世界に数本しかない大樹だ。
大きな力が流れているので、エリクサー等の特殊な薬の材料にもなっている。
採り尽くされないために麓には力のある魔獣が守っている。
ここは古代龍であるじい様だが、他の所は別の魔物が守っている。
別の所はよく知らない。
会ったことも、行ったこともないし、行く予定もない。
俺はじい様に預けていた物を受け取った。
それはある証文と通行証にお金だ。
これらはこれから行くアンダーグランドに必要なのだ。
ここに預けておけば取られたり、失くなる事はないので一番安全なのだ。
「ありがとう。助かったよ」
『良い。今度はカイト坊の弟妹と義兄弟を連れて参れ』
「弟妹はともかく……義兄弟ってクラウドのこと?あれは幼馴染みだよ。いや、それ以前に一国の王子を連れては……」
『ワシが国に関与することはない。会ってみたいだけじゃ』
「…………考えとくよ、クラウドにもじい様を国の事で持ち出さないように言い聞かせないといけないし」
『うむ』
じい様を国や領の事で持ち出すのはダメだ。
古代龍と知り合いだと言うだけで国家間の力関係が崩壊する。
そんなことになれば大きな争い、戦争になる。
そんな事になっては困る。
そういうことはちゃんと線引きしておかないといけない。
じい様からしたら会いたいだけだろうが、人にしては大問題になるから会う人間側に注意喚起しないといけない。
それが出来てからやっと会える。
秘密を持つ覚悟がなければダメなのだ。
「それじゃあ、行くよ」
『ああ。気を付けてのぅ』
「うん」
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誤字訂正しました。
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