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第一章
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俺とパルマとのやり取りを聞いてアースたちは驚いているようだ。
無理もないか、表の商会でするようなやり取りをしているのだから。
意外だったのだろう。
「あと、ここのアラクネたちは移動しました。現在はこの地にいますね。ですが、穏やかに生活しているみたいなので」
「なるほど、手出し無用だな」
「はい。暫くは様子を見た方がよろしいかと」
「分かった」
アラクネたちの工場を作る上でアラクネたちの確保は必要だからな。
表では集めきれない情報もここなら揃う。
そういう意味でも良い関係を作れたのは幸いだ。
多分、今回の俺の家の騒動もある程度は情報としてここに集められているだろうがそれでも対応を変えないあたり、パルマとしては今後もしっかりと付き合ってくれるつもりなのだろう。
「カイトさん」
「なんだい?」
「これは個人的にと言うか、友人としてなんですが」
「うん」
「大変でしたね。貴方の予想通りだと思いますが、情報は来てます」
「だろうな」
「はい。ですが、僕はカイトさんが負けることはないと判断してます」
「うん」
「なので、何時でも頼ってください。僕たちに出来ることはしますので」
「ありがとう。本当にパルマはこのアンダーグランドで商売してるのか分からないほど良いヤツだな」
「そうですか?でも、僕だって普段は損得勘定してますよ」
「それを抜きにして俺と繋がっていてくれるのか?」
「ええ。先程も言いましたが、友人として信頼してますので」
「分かった。その信頼に答えれるように頑張るよ」
「はい」
パルマの無邪気な表情は癒される。
これが計算だったとしても俺には癒しの効果があるので許す。
パルマとは今後も友人関係を継続していきたい。
情報屋としても頼りになるし、普通に話をしていても楽しいのだ。
実際に俺とパルマの商談は魔獣や魔物などの保護と対処がメインで他はただの雑談だったりする。
パルマとは話が合うのだ。
魔獣や魔物などの話も、物造りの話も、お菓子の話も。
わりと二人で盛り上がるのでデイルに止められることが多い。
いや、時間が過ぎるのが早くて。
「ここからは情報屋としては出さない個人的な話をしましょう。アラクネたちを保護すると言うことは兼ねてから話していたスパイダーシルクの工場を興すのですね!」
「まぁな。表の冒険者ギルド何かとの兼ね合いもあるから多くは生産しないが、重要案件だろ」
「ですね!スパイダーシルクの滑らかで心地良い手触りに、軽くも丈夫な強度、あれは至高です!」
「ははは、本当にパルマはスパイダーシルクが好きだな」
「ええ。現在は品質が安定しないため、衣服にするのは困難ですが、ハンカチ程なら可能ですので」
「そのハンカチを持っているだけでかなりのステータスになるんだよな」
「はい。ですが、カイトさんが工場を建てられれば安定した品質で供給が出来るので衣服にするのも可能でしょう?そうなれば僕は頑張って買います!」
「ははは、努力するよ」
「はい!」
ここにファンが一人いた。
これは頑張らないとな。
といっても、この事業の難しいところはアラクネの確保なんだが俺に関しては問題にもならないので、そうハードルは高くない気がする。
「そうです、カイトさん」
「なんだい?」
「ハニービーの蜂蜜なんかはやりませんか?」
「ハニービー?」
「はい。こちらも中々手に入り難い魔物からの収集品なんですが、カイトさんなら安定供給できるのではないかと」
「ハニービーか。確かに、完全昆虫系には手を出してないんだよなぁ」
「ハニービーは蜂系の魔物にしては温厚な方ですので、交渉次第では可能ではないかと」
「なるほど」
ハニービー、リトルベアービーなどは温厚で蜂蜜が採れる魔物だ。
勿論、ビックビーやホーネットなども蜂蜜は採れるが好戦的なので安定供給を考えるなら難しいだろう。
しかし、ここでパルマが俺に勧めるのなら何か狙いがある筈だ。
ただの蜂蜜が欲しいと言う甘党発言ではない…………と判断したい。
パルマ、甘党だからなぁ。
「ハニービーと断定するなら何処かに保護して欲しいハニービーがいるのか?」
「はい。実は町中に出てしまって、表の冒険者が対処しようとしたのですが」
「反撃にあったと」
「はい」
居るんだよなぁ、勘違いしているヤツ。
ハニービーやリトルベアービーは温厚だが、弱いわけではない。
蜂系特有の毒針を持っているのだ。
弱いわけないだろう。
「分かった。後で場所を教えてくれ、向かってみるよ」
「はい。お願いします…………蜂蜜の安定供給も!」
うん、ぶれてなかった。
保護もして欲しいが蜂蜜も欲しいのだな。
分かりやすい。
嬉しそうに頬を朱に染めている。
好物を前にした子どもだな、これは。
無理もないか、表の商会でするようなやり取りをしているのだから。
意外だったのだろう。
「あと、ここのアラクネたちは移動しました。現在はこの地にいますね。ですが、穏やかに生活しているみたいなので」
「なるほど、手出し無用だな」
「はい。暫くは様子を見た方がよろしいかと」
「分かった」
アラクネたちの工場を作る上でアラクネたちの確保は必要だからな。
表では集めきれない情報もここなら揃う。
そういう意味でも良い関係を作れたのは幸いだ。
多分、今回の俺の家の騒動もある程度は情報としてここに集められているだろうがそれでも対応を変えないあたり、パルマとしては今後もしっかりと付き合ってくれるつもりなのだろう。
「カイトさん」
「なんだい?」
「これは個人的にと言うか、友人としてなんですが」
「うん」
「大変でしたね。貴方の予想通りだと思いますが、情報は来てます」
「だろうな」
「はい。ですが、僕はカイトさんが負けることはないと判断してます」
「うん」
「なので、何時でも頼ってください。僕たちに出来ることはしますので」
「ありがとう。本当にパルマはこのアンダーグランドで商売してるのか分からないほど良いヤツだな」
「そうですか?でも、僕だって普段は損得勘定してますよ」
「それを抜きにして俺と繋がっていてくれるのか?」
「ええ。先程も言いましたが、友人として信頼してますので」
「分かった。その信頼に答えれるように頑張るよ」
「はい」
パルマの無邪気な表情は癒される。
これが計算だったとしても俺には癒しの効果があるので許す。
パルマとは今後も友人関係を継続していきたい。
情報屋としても頼りになるし、普通に話をしていても楽しいのだ。
実際に俺とパルマの商談は魔獣や魔物などの保護と対処がメインで他はただの雑談だったりする。
パルマとは話が合うのだ。
魔獣や魔物などの話も、物造りの話も、お菓子の話も。
わりと二人で盛り上がるのでデイルに止められることが多い。
いや、時間が過ぎるのが早くて。
「ここからは情報屋としては出さない個人的な話をしましょう。アラクネたちを保護すると言うことは兼ねてから話していたスパイダーシルクの工場を興すのですね!」
「まぁな。表の冒険者ギルド何かとの兼ね合いもあるから多くは生産しないが、重要案件だろ」
「ですね!スパイダーシルクの滑らかで心地良い手触りに、軽くも丈夫な強度、あれは至高です!」
「ははは、本当にパルマはスパイダーシルクが好きだな」
「ええ。現在は品質が安定しないため、衣服にするのは困難ですが、ハンカチ程なら可能ですので」
「そのハンカチを持っているだけでかなりのステータスになるんだよな」
「はい。ですが、カイトさんが工場を建てられれば安定した品質で供給が出来るので衣服にするのも可能でしょう?そうなれば僕は頑張って買います!」
「ははは、努力するよ」
「はい!」
ここにファンが一人いた。
これは頑張らないとな。
といっても、この事業の難しいところはアラクネの確保なんだが俺に関しては問題にもならないので、そうハードルは高くない気がする。
「そうです、カイトさん」
「なんだい?」
「ハニービーの蜂蜜なんかはやりませんか?」
「ハニービー?」
「はい。こちらも中々手に入り難い魔物からの収集品なんですが、カイトさんなら安定供給できるのではないかと」
「ハニービーか。確かに、完全昆虫系には手を出してないんだよなぁ」
「ハニービーは蜂系の魔物にしては温厚な方ですので、交渉次第では可能ではないかと」
「なるほど」
ハニービー、リトルベアービーなどは温厚で蜂蜜が採れる魔物だ。
勿論、ビックビーやホーネットなども蜂蜜は採れるが好戦的なので安定供給を考えるなら難しいだろう。
しかし、ここでパルマが俺に勧めるのなら何か狙いがある筈だ。
ただの蜂蜜が欲しいと言う甘党発言ではない…………と判断したい。
パルマ、甘党だからなぁ。
「ハニービーと断定するなら何処かに保護して欲しいハニービーがいるのか?」
「はい。実は町中に出てしまって、表の冒険者が対処しようとしたのですが」
「反撃にあったと」
「はい」
居るんだよなぁ、勘違いしているヤツ。
ハニービーやリトルベアービーは温厚だが、弱いわけではない。
蜂系特有の毒針を持っているのだ。
弱いわけないだろう。
「分かった。後で場所を教えてくれ、向かってみるよ」
「はい。お願いします…………蜂蜜の安定供給も!」
うん、ぶれてなかった。
保護もして欲しいが蜂蜜も欲しいのだな。
分かりやすい。
嬉しそうに頬を朱に染めている。
好物を前にした子どもだな、これは。
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