竜王の花嫁

桜月雪兎

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第一章

34、パレード①

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 大聖堂の大扉の前に全員が着くと男性の神官が恭しく礼をして左右の扉を開けた。
 そこには大勢の人がずっと先まで続いている。聖堂前の階段を二人はゆっくりと降りて行った。その先に止まっている馬車に乗り込んだ。馬車が進みだすあたりから人だかりとなっている。ユーザリア側の出席者はこの位置に集中している。
 馬車は婚礼用の一種で向かい合うように四人が座れるようになっており、そのクッションは素晴らしく、真紅の内装ををしている。
 外装は純白だが金銀の細工飾りをされており、縁取りを祝いの花で飾られていた。それは白色に薄桃色に水色など華美ではないが華やかに馬車を彩っている。
 そしてこの馬車は今回の趣向に合わせて屋根部分がない、乗車した者の上半身が全方位で見れるようになっている。
 この馬車をひくのはとても手入れの利いた白馬が四頭だ。その体もたてがみも純白できらびやかに輝いている。だが、この白馬たち普通の馬ではなく、額にねじれた様な金の一角を持つドラグーンで幸せを運ぶとされている一角獣の一種の一角馬いっかくばで通称をユニコーンという。
 天馬も祝福の馬として認識されているが彼らは飛行能力があるので街道を行くのであれば適さない。
 ここドラグーンの結婚式ではユニコーンか天馬が最後の馬車をひくことになるのだが、天馬はそのまま新婚旅行などに行ってしまう者たちが使うことが多い。
 目的地が竜王城で国民に見せるパレードであるためユニコーンになった。
 アリシアは馬車をひくユニコーンを見て目を輝かしている。それを見たルドワードは微笑ましく見ていた。
 ここでアリシアはすぐにユニコーンに駆け寄っていかなかったのはひとえに式の途中であると自覚があったからだ。
 そうでなければすぐにでもこの美しい馬たちに駆け寄って戯れていただろう。ルドワードは今度、時間を作って多くの動物を見に行くか、竜王城に呼び寄せようと考えた。
 これもアリシアの微笑ましい姿を見たいがためとアリシアにもっと自分を好いて欲しい、自分を見て欲しいという下心も含まれている。
 まぁ、新婚夫婦の男性の思いだ。当たり前なのかもしれない。
 ルドワードが先に馬車に乗り、アリシアが乗るのを手伝った。そして、ルドワードの真向かいにスカルディアが座り、アリシアの真向かいにシリウスが座った。
 この国では親族の代表が一緒に馬車に乗車する。そうすることで両家の関係を強くする意図が昔からある。すでに親しい親族がいない場合や二人がそのまま新婚旅行に行く場合などもあるので一般的にという枠組み範囲ではある。
 ルドワードの親族はスカルディアだけであり、アリシアはユーザリア大国の盟約として嫁ぐので国の代表であるシリウスがその役を担った。
 アリシア側にユーザリアの警備要員が並び、ルドワードの方に第一近衛隊が警備要員として並んだ。ルークやジャックスは馬車のすぐ横について並んだ。
 馬車の前をドラグーンの音楽隊が先導するように並んでいる。
 準備ができると音楽が奏でられながら馬車はゆっくりと進み始めた。
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