竜王の花嫁

桜月雪兎

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第一章

35、パレード②

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 馬車が進み始めるとユーザリア側のあたりから赤や青、黄色にピンクや緑など色とりどりの花火のようなものが上がった。
 それはユーザリアで結婚式など祝福する際に出席者があげる祝福の光なのだ。二人の門出を祝う祝福の光は様々な色をしている。その光は上げる人によって違う、組み合わせも出せる色も。
 多くのユーザリアの貴族にあげられた祝福の光は暖かかった。
 ドラグーン側に行くとそこからは祝福の花びらが降ってきた。
 建物から、沿道から、降られるのその花弁は白色に薄桃色や水色、薄紫や黄色など様々な色をしている。花びらの形は一貫しているので同じ花の色違いということになる。
 花びらと共に贈られる温かい言葉にアリシアは喜んだ。
「竜王様、おめでとうございます」
「アリシア様、おめでとうございます」
「アリシア様、綺麗ねぇ」
「あのオッドアイも素敵」
 自分の容姿を受け入れてくれ、ルドワードとの結婚を祝福してくれているすべてにアリシアは感謝した。
 この先にどんな困難が待ていてもルドワードとなら一緒に乗り越えていけるとアリシアは思った。
 ルドワードは町民に笑顔で手を振っているアリシアを見て微笑ましかった。
 最初ルドワードは花嫁に期待していなかった。偏見の多い貴族の娘が来たところで自分の心が動くことはないと思っていたし、治世を疎かにするべきではないのであまり関わりは持たないだろうと考えていた。
 それでも国を挙げて迎える必要もあるし、その相手以外を迎えるのはルドワード自身がいやなので跡取りのことも危惧していた。好きでもない相手を抱く気はルドワードにはなかった。
 だが、来たのはドラグーンへの偏見もなく、ありのままを見て感じて受け入れる優しくも芯の強いアリシアだ。どこか無邪気で抜けているところもあるがその可愛さでルドワードはすぐに思いを寄せるようになっていた。
 花嫁がアリシアで本当に良かったとルドワードは思った。
 シャルーナの花びらを手に取ったり、町民に笑顔で応えたりするアリシアをルドワードは抱き寄せた。
 もちろんそれを見ていた町民たちは感嘆や黄色い声を上げていた。アリシアは急なルドワードの行動に驚いた。
「キャ―――――!」
「もう、あてられるぅ~」
「ルド様?!」
「ふふ、可愛いな、アリシア」
 ルドワードは町民たちの声にこたえるようにアリシアにキスをした。それは触れるだけの簡単なものですぐに離れたがアリシアは顔を真っ赤に染めていた。
 目撃した町民たちからはまた大きな声が上がった。
 向かいに座っていたスカルディアとシリウスは苦笑していた。
「一応、俺たちもいるんだけど?」
「わざと視界から外したな」
「さぁ、どうだろうな?」
「ルド様~」
 四人はそんな会話をしていた。
 その後落ち着いたアリシアと一緒にルドワードも手を振り、町民たちに答えた。
 道中のキスは先ほどの一回だけだった。それはその後はシリウスやスカルディアが強い視線でルドワードの行動を止めたからだ。
 シリウスとスカルディアにしてみれば自分たちも同乗してるので自重してくれということだ。ルドワードもそれは分かっているんでそれ以降していない。
 それは竜王城につくまで続き、道中大きな問題はなかった。
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