83 / 118
第二章
23、成長する卵
しおりを挟む
無事に卵が産まれてから数か月がたった。
アリシアは午前中は室内でゆっくりと過ごし、午後に体調がいいと中庭の東屋で過ごすことが多く、最近では膝に卵を抱え、刺繍をしている。
この刺繍はユーザリアで我が子が無事に無まれてくるのを願う呪いのようなものだ。
一針一針に願いを込めながら縫うのだ。
それは家紋であり、様々な模様だ。
最終的にその出来た物は生まれた最初の産着になる。
ラースやカナリアに教えてもらいながらアリシアはそれを作っている。時折、愛おしそうに卵を撫でながら。
卵は日に日に成長しているようで少しずつ大きくなっている。
日々成長する卵を全員が愛おしそうに見守っている。
夜も卵はアリシアとルドワードの間で一緒の布団に包まれている。
「シア、今日は何をしていたのだ?」
「今日も刺繍をしていました。今日は体調がよかったですし、暖かかったので中庭の方にで」
「そうか。体調がいいのはいいことだ」
「はい。そういえば、リンなんですけど」
「ん?」
「最近、微笑ましいんです」
「ほう~」
「もしかして、何か進展があったのではと思うんですけど」
「それはそれは楽しみだな」
「はい!マリアが少し複雑そうなんですけどね」
「まぁ、仕方ないだろうな。どっちに対しての複雑なのか気になる所だが」
「そうですねぇ~」
最近のこの夫婦の会話の中には周りの色恋話が上がることが多い。
ルドワードもアリシアも周りに幸せになって欲しいからだ。
「そう言えばスカルもアルシードが少し変わってきたと言っていたな」
「ふふ」
「あれは、あれで寂しいのか?」
「ご本人の前では言わないように、恥ずかしがって怒りますよ」
「それは勘弁だな」
「ふふ」
二人には気になる相手がだいぶいる。リンとアルシードは見ていて分かるし、公爵位をを継いだジャックスの相手だって気になるし、二人の弟のスカルディアの相手だって気になる。
こっちに一緒に来てくれたミナ、リリア、エレナの相手だって気になっている。
まぁ、リンとアルシード以外は相手と言っても今は誰もいない、要はこのメンバーの心を射止める相手が気になるのだ。
「私の侍女ですが、皆いい子たちなのでいい縁談があればいいのですが」
「確かにできた子たちだよな」
「はい」
「見目もいいのだし、本当はいい話が来ているのではないか?」
「そうは言いましても話題に上がらないのですから、その中にいい殿方がいないのかもしれません」
「ああ、そういうこともあるなぁ」
まさか全員、この夫婦の話題になっているとは思っていないだろう。
特に二人の弟のスカルディアは。
「スカルディアに話が来ないのが心配だ」
「まぁ、スカル様だって素晴らしい方ですのに」
「本人にその気がないというのとは違った問題だ」
「大丈夫ですよ。いつか、スカル様にも好い方が現れますよ」
「そうだといいんだがなぁ~」
二人は優しく卵を撫でながらそんな話ばかりをしている。
最初は手のひらサイズだった卵も今では両腕で抱えるほどに大きくなってきた。
このまま順調にいけばひと月もしないうちにわが子と対面できるだろうとのことだ。
だが、卵の大きくなるスピードが速いのでもしかしたら双子の可能性もあるとのことだった。
もし双子ならあと一か月半ぐらいは卵のままだとのことだ。
ドラグーン・ユーザリア共に双子が生まれるというのは縁起のいいこととされている。
この話を聞いた全員が御子の誕生を楽しみにしている。
成長するわが子や周りの幸せを願いながらアリシアとルドワードは眠りについた。
アリシアは午前中は室内でゆっくりと過ごし、午後に体調がいいと中庭の東屋で過ごすことが多く、最近では膝に卵を抱え、刺繍をしている。
この刺繍はユーザリアで我が子が無事に無まれてくるのを願う呪いのようなものだ。
一針一針に願いを込めながら縫うのだ。
それは家紋であり、様々な模様だ。
最終的にその出来た物は生まれた最初の産着になる。
ラースやカナリアに教えてもらいながらアリシアはそれを作っている。時折、愛おしそうに卵を撫でながら。
卵は日に日に成長しているようで少しずつ大きくなっている。
日々成長する卵を全員が愛おしそうに見守っている。
夜も卵はアリシアとルドワードの間で一緒の布団に包まれている。
「シア、今日は何をしていたのだ?」
「今日も刺繍をしていました。今日は体調がよかったですし、暖かかったので中庭の方にで」
「そうか。体調がいいのはいいことだ」
「はい。そういえば、リンなんですけど」
「ん?」
「最近、微笑ましいんです」
「ほう~」
「もしかして、何か進展があったのではと思うんですけど」
「それはそれは楽しみだな」
「はい!マリアが少し複雑そうなんですけどね」
「まぁ、仕方ないだろうな。どっちに対しての複雑なのか気になる所だが」
「そうですねぇ~」
最近のこの夫婦の会話の中には周りの色恋話が上がることが多い。
ルドワードもアリシアも周りに幸せになって欲しいからだ。
「そう言えばスカルもアルシードが少し変わってきたと言っていたな」
「ふふ」
「あれは、あれで寂しいのか?」
「ご本人の前では言わないように、恥ずかしがって怒りますよ」
「それは勘弁だな」
「ふふ」
二人には気になる相手がだいぶいる。リンとアルシードは見ていて分かるし、公爵位をを継いだジャックスの相手だって気になるし、二人の弟のスカルディアの相手だって気になる。
こっちに一緒に来てくれたミナ、リリア、エレナの相手だって気になっている。
まぁ、リンとアルシード以外は相手と言っても今は誰もいない、要はこのメンバーの心を射止める相手が気になるのだ。
「私の侍女ですが、皆いい子たちなのでいい縁談があればいいのですが」
「確かにできた子たちだよな」
「はい」
「見目もいいのだし、本当はいい話が来ているのではないか?」
「そうは言いましても話題に上がらないのですから、その中にいい殿方がいないのかもしれません」
「ああ、そういうこともあるなぁ」
まさか全員、この夫婦の話題になっているとは思っていないだろう。
特に二人の弟のスカルディアは。
「スカルディアに話が来ないのが心配だ」
「まぁ、スカル様だって素晴らしい方ですのに」
「本人にその気がないというのとは違った問題だ」
「大丈夫ですよ。いつか、スカル様にも好い方が現れますよ」
「そうだといいんだがなぁ~」
二人は優しく卵を撫でながらそんな話ばかりをしている。
最初は手のひらサイズだった卵も今では両腕で抱えるほどに大きくなってきた。
このまま順調にいけばひと月もしないうちにわが子と対面できるだろうとのことだ。
だが、卵の大きくなるスピードが速いのでもしかしたら双子の可能性もあるとのことだった。
もし双子ならあと一か月半ぐらいは卵のままだとのことだ。
ドラグーン・ユーザリア共に双子が生まれるというのは縁起のいいこととされている。
この話を聞いた全員が御子の誕生を楽しみにしている。
成長するわが子や周りの幸せを願いながらアリシアとルドワードは眠りについた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,077
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる