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第二章
35、新たなクレメント家
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すべての手続きが終わったのはアリシアの計画が立てられてから数日のことだ。
なんとも早い処理が行われた。それもこれもアルシードが家を継ぐ決意を決め、リンのことを諦めようとしたからだ。
こういう時信頼関係の強い上司や友人はいい。
ことを進める前に相談なり、報告なりしてくれるからだ。
今回だってアルシードがジャックスやスカルディアに話してきたからだ。
だから、手続きを優先的に行ったのだ。せっかくお膳立てしても別の相手をもってこられては意味が無い。
アルシードは意外に真面目なので決められた婚約者ができたらリンのことを想っていてもその想いごと殺そうとするのは目に見えていた。今回だってリンを思うゆえに諦めようとしているのだから。
だからこそ、その相手が出来る前に二人の仲を取り持っておく必要があるのだ。
そういう事で面倒臭い親族などの問題も祖父の遺言として切り抜き、審議や調査などはルドワードの権限で省略した。いわゆる、反則技だ。
強引な力技を使ってしまったがそれは偏にリンとアルシードの幸せを願ってのことだ。
身近な親しい者だからこそそうしたいと思いしたのだが、本来こういう行動を一国の国王がしてはいけない。1回でもしてしまえば自分たちだってという人物が出てくる。
それでもしたのは当事者たちが特殊だったからだ。
クレメント家は現在新しい当主を迎えたが本人に妻を娶る意思がなく、養子になるのが三代前当主の遺言の該当者であったから…というのが表向きの理由となっている。
こうして、リンたち三姉弟はクレメント家の養子となった。
「アリシア様」
「ふふ、これで誰にも文句は出ませんよ」
「ありがとうございます」
「何を礼を言う。お前たちはクレメント家の血筋、それは証明されていたのだ。ジャックスによってな」
「そうですよ。だから、気にしなくていいのです」
「はい」
リンは嬉しそうに微笑んだ。
それを見ているカイもルイも幸せそうだ。
唯一複雑そうなのはジャックス本人だ。
もちろん、ジャックスはリンたちを歓迎しているし、間違った判断はしていないと自負している。
だが、1つ思うはエンデリックとの関係だ。
知らなかったとはいえ、身内同士が主従の関係、しかも本人たちの意思ではなく魔術の力を使っての強制だ。
いつかやってくる再会をどうすればいいのか今から悩んでいるのだ。
だが、そんなジャックスの思いもアリシアやルドワードにはお見通しだった。二人だって考えなかったわけではない。それでも時間が、本人たちの思いが、全てを乗り越えられる時が来ると信じることにしたのだ。
今から悩んでも現状は気持ちの整理はできない、すべては時間が解決の糸口をくれる。そういうことだ。
ルドワードはアリシアとリンたちが楽しそうに話しているのを横目にジャックスに話しかけた。
「ジャックス」
「はい?」
「今から悩んでも仕方ないことだぞ」
「っっ!!」
「すべては時間が解決の糸口をくれるさ」
「時間、ですか」
「ああ、今なにかをしようとしても時期早々だ」
「そう、ですね」
「ああ、だから時を待とう。それに今出たばかりなのだ、そうそうに戻っては来れないさ」
「それもそうですね。姉には報告しておきますが」
「それがいいだろうな。カルディナ夫人ならどうにか切り出してくれるだろう」
「そうですね」
「ああ」
ジャックスは自身の悩みに気づかれていた気恥しさを誤魔化すように頬を緩ませた。それを見たルドワードも微笑んでいる。
そうしていると一段と楽しそうなアリシアの声がした。
「さぁ、リン」
「アリシア様?」
「最後は想いを伝えるだけですよ!」
「っっ!!」
「シア」
「ははは」
アリシアの楽しそうな雰囲気と恥ずかしさで真っ赤にしているリン、それを見ているルドワードを始めとした男性陣の苦笑がこの場を占めていた。
なんとも早い処理が行われた。それもこれもアルシードが家を継ぐ決意を決め、リンのことを諦めようとしたからだ。
こういう時信頼関係の強い上司や友人はいい。
ことを進める前に相談なり、報告なりしてくれるからだ。
今回だってアルシードがジャックスやスカルディアに話してきたからだ。
だから、手続きを優先的に行ったのだ。せっかくお膳立てしても別の相手をもってこられては意味が無い。
アルシードは意外に真面目なので決められた婚約者ができたらリンのことを想っていてもその想いごと殺そうとするのは目に見えていた。今回だってリンを思うゆえに諦めようとしているのだから。
だからこそ、その相手が出来る前に二人の仲を取り持っておく必要があるのだ。
そういう事で面倒臭い親族などの問題も祖父の遺言として切り抜き、審議や調査などはルドワードの権限で省略した。いわゆる、反則技だ。
強引な力技を使ってしまったがそれは偏にリンとアルシードの幸せを願ってのことだ。
身近な親しい者だからこそそうしたいと思いしたのだが、本来こういう行動を一国の国王がしてはいけない。1回でもしてしまえば自分たちだってという人物が出てくる。
それでもしたのは当事者たちが特殊だったからだ。
クレメント家は現在新しい当主を迎えたが本人に妻を娶る意思がなく、養子になるのが三代前当主の遺言の該当者であったから…というのが表向きの理由となっている。
こうして、リンたち三姉弟はクレメント家の養子となった。
「アリシア様」
「ふふ、これで誰にも文句は出ませんよ」
「ありがとうございます」
「何を礼を言う。お前たちはクレメント家の血筋、それは証明されていたのだ。ジャックスによってな」
「そうですよ。だから、気にしなくていいのです」
「はい」
リンは嬉しそうに微笑んだ。
それを見ているカイもルイも幸せそうだ。
唯一複雑そうなのはジャックス本人だ。
もちろん、ジャックスはリンたちを歓迎しているし、間違った判断はしていないと自負している。
だが、1つ思うはエンデリックとの関係だ。
知らなかったとはいえ、身内同士が主従の関係、しかも本人たちの意思ではなく魔術の力を使っての強制だ。
いつかやってくる再会をどうすればいいのか今から悩んでいるのだ。
だが、そんなジャックスの思いもアリシアやルドワードにはお見通しだった。二人だって考えなかったわけではない。それでも時間が、本人たちの思いが、全てを乗り越えられる時が来ると信じることにしたのだ。
今から悩んでも現状は気持ちの整理はできない、すべては時間が解決の糸口をくれる。そういうことだ。
ルドワードはアリシアとリンたちが楽しそうに話しているのを横目にジャックスに話しかけた。
「ジャックス」
「はい?」
「今から悩んでも仕方ないことだぞ」
「っっ!!」
「すべては時間が解決の糸口をくれるさ」
「時間、ですか」
「ああ、今なにかをしようとしても時期早々だ」
「そう、ですね」
「ああ、だから時を待とう。それに今出たばかりなのだ、そうそうに戻っては来れないさ」
「それもそうですね。姉には報告しておきますが」
「それがいいだろうな。カルディナ夫人ならどうにか切り出してくれるだろう」
「そうですね」
「ああ」
ジャックスは自身の悩みに気づかれていた気恥しさを誤魔化すように頬を緩ませた。それを見たルドワードも微笑んでいる。
そうしていると一段と楽しそうなアリシアの声がした。
「さぁ、リン」
「アリシア様?」
「最後は想いを伝えるだけですよ!」
「っっ!!」
「シア」
「ははは」
アリシアの楽しそうな雰囲気と恥ずかしさで真っ赤にしているリン、それを見ているルドワードを始めとした男性陣の苦笑がこの場を占めていた。
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