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第二章
40、婚約発表①
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話し合いの閉会の言葉がないことに周りが不思議がっていると、アルシードが現当主に話しかけた。
「爺様、婆様」
「どうした、アルシード」
「俺はこの場を借りて話したいことがある」
「なんだ?」
「俺はここにいるリンと結婚しようと考えてる」
「「「ぶふっ!!」」」
アルシードはリンを側に引き寄せて宣言した。
これには事情を知っているマリアたちも吹いた。
知らない面々は目を白黒させている。
ジャックスは苦笑しており、当事者のリンは周りが可哀想に思うほど顔を真っ赤にしているが周りがそれに気づくこともなかったし、ちょっと嬉しそうでもあった。
「な、なんだって?」
「ど、どういう……」
「俺はリンに惚れている。生涯を共に歩みたいと思っているんだ」
「な、何をいってるんだ?!」
「馬鹿も休み休み言え!どこの馬の骨ともわからん…」
立ち直ったのは両親だった。
両親の疑問に何でもないことのようにアルシードが答えると今度は激昂し、我を忘れたように怒鳴った。
アルシードは呆れたようにため息をついた。
この両親は昔から気に入らないことがあれば怒鳴っていた。いつもの事だとアルシードは思っているが、初めて見た周りやリンは驚いている。
アリシアもルドワードについ抱きついた。
アリシアを抱き締めながらルドワードは両親の方を睨んだ。自国の王に睨まれて、グレイ家一族は一瞬息を飲んだ。
だが、まだ口を挟むときではないと思い、アルシードに目配せをした。
ルドワードの視線の意味をくんで説明した。
「身元はっきりしている。俺の上司でもあるジャック・ワイズ・クレメントの養女だ」
「ク、クレメント…」
「いや、しかし、養女だろ」
「黙らんか!竜王様たちの御前だぞ」
クレメント家という古参の上位貴族が出て来たことに周りが驚きながら口々に話している。
さすがにそのクレメント家当主であるジャックスとルドワードたちがいるのでまずいと思ったグレイ家の当主は一族を諌めた。
ルドワードは当主に気にしなくていいと告げた。
「構わん。どうだ?グレイ家当主、アルザス・グレイよ」
「どうと申されましても……竜王様の計らいですか?」
「いや、我が妃、アリシアの計らいだ」
「アリシア竜王妃様の?」
グレイ家はてっきりルドワードの策だと思っていたのでびっくりしてアリシアの方を見た。
アリシアは話の流れがこっちに向いてきたと思い、楽しそうに笑った。
その体をやっとルドワードから離して。
ルドワードはそれに苦笑していた。
「フフ、驚かせてすみません。ですが、当人たちが本気で想い合っているのです。手を貸したいではありませんか。リンは私の侍女ですし」
「クレメント家の養女であり、アリシア竜王妃様の侍女ですか。なるほど、我が孫はとんでもない相手を好いたものだ」
「当主!?」
「いくらなんでも、こんなこと…」
「黙らんか。アリシア竜王妃様、よろしいですか?」
「はい?」
周りの非難など一喝にて抑え、グレイ家当主ことアルザスは好好爺のような顔をアリシアに向けた。
「互いに想い合っているゆえに手を貸したとのことですが、それは養子縁組のことですか?」
「それに関しては私が話しましょう」
「クレメント公爵」
アルザスはジャックスの方を見た。
「爺様、婆様」
「どうした、アルシード」
「俺はこの場を借りて話したいことがある」
「なんだ?」
「俺はここにいるリンと結婚しようと考えてる」
「「「ぶふっ!!」」」
アルシードはリンを側に引き寄せて宣言した。
これには事情を知っているマリアたちも吹いた。
知らない面々は目を白黒させている。
ジャックスは苦笑しており、当事者のリンは周りが可哀想に思うほど顔を真っ赤にしているが周りがそれに気づくこともなかったし、ちょっと嬉しそうでもあった。
「な、なんだって?」
「ど、どういう……」
「俺はリンに惚れている。生涯を共に歩みたいと思っているんだ」
「な、何をいってるんだ?!」
「馬鹿も休み休み言え!どこの馬の骨ともわからん…」
立ち直ったのは両親だった。
両親の疑問に何でもないことのようにアルシードが答えると今度は激昂し、我を忘れたように怒鳴った。
アルシードは呆れたようにため息をついた。
この両親は昔から気に入らないことがあれば怒鳴っていた。いつもの事だとアルシードは思っているが、初めて見た周りやリンは驚いている。
アリシアもルドワードについ抱きついた。
アリシアを抱き締めながらルドワードは両親の方を睨んだ。自国の王に睨まれて、グレイ家一族は一瞬息を飲んだ。
だが、まだ口を挟むときではないと思い、アルシードに目配せをした。
ルドワードの視線の意味をくんで説明した。
「身元はっきりしている。俺の上司でもあるジャック・ワイズ・クレメントの養女だ」
「ク、クレメント…」
「いや、しかし、養女だろ」
「黙らんか!竜王様たちの御前だぞ」
クレメント家という古参の上位貴族が出て来たことに周りが驚きながら口々に話している。
さすがにそのクレメント家当主であるジャックスとルドワードたちがいるのでまずいと思ったグレイ家の当主は一族を諌めた。
ルドワードは当主に気にしなくていいと告げた。
「構わん。どうだ?グレイ家当主、アルザス・グレイよ」
「どうと申されましても……竜王様の計らいですか?」
「いや、我が妃、アリシアの計らいだ」
「アリシア竜王妃様の?」
グレイ家はてっきりルドワードの策だと思っていたのでびっくりしてアリシアの方を見た。
アリシアは話の流れがこっちに向いてきたと思い、楽しそうに笑った。
その体をやっとルドワードから離して。
ルドワードはそれに苦笑していた。
「フフ、驚かせてすみません。ですが、当人たちが本気で想い合っているのです。手を貸したいではありませんか。リンは私の侍女ですし」
「クレメント家の養女であり、アリシア竜王妃様の侍女ですか。なるほど、我が孫はとんでもない相手を好いたものだ」
「当主!?」
「いくらなんでも、こんなこと…」
「黙らんか。アリシア竜王妃様、よろしいですか?」
「はい?」
周りの非難など一喝にて抑え、グレイ家当主ことアルザスは好好爺のような顔をアリシアに向けた。
「互いに想い合っているゆえに手を貸したとのことですが、それは養子縁組のことですか?」
「それに関しては私が話しましょう」
「クレメント公爵」
アルザスはジャックスの方を見た。
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