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第二章
41、婚約発表②
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アリシアに見せた好好爺の顔を消して見定めるような目を向けた。貴族の当主としての顔だ。
見極める眼を持っていないと長く続く貴族家をまとめてはいけない。
それが分かっているのでジャックスも応じた。
「リンたちの養子縁組は確かにアリシア竜王妃様から打診がありましたが、それだけで引き取ったわけではありません」
「と、言いますと?」
「彼女たちが我が大叔父上が残した忘れ形見だからです」
「ほぉ。では、もともと血が確かであったこともあり、受け入れたと」
「そうですね。それに可愛い部下の恋路を応援してやりたい気持ちも確かにありましたし」
ジャックスがアルシードの方を見るとリンもアルシードも顔を赤くしていた。
ジャックスに『可愛い部下』と言われたことが純粋に嬉しかったのだ。
アルザスはそれを内心微笑ましく見ていた。
「なるほど。アリシア竜王妃様の侍女となれば女性の中でも素晴らしい地位ですな。血筋も家柄も問題ない」
「リン個人もいい子ですわ。どうかしら?アルザスさん、すぐに結婚とはいかなくても婚約関係を結ぶことは可能ではありませんか?」
アリシアはアルザスに尋ねた。アルザスもそれに答えた。
悪い話ではないのだ。お互いに好きあっている。それに相手となるリンも貴族の血筋であり、問題はないのだ。
そう、アルシードの嫁を自身と繋がりのある者にしようと企んでいる面々以外は。
「アリシア竜王妃様も意地の悪い方ですね。このような素晴らしい相手を逃すのは我が家の痛手になりかねません。クレメント家と縁を結ぶことが出来ますし、悪いことなどありませんね 」
「そうですわね。それにアル自身が好いた方ですわ。私たちの可愛い孫の初めての我が儘くらい叶えてあげませんと。ねぇ、あなた」
「ああ、そうだな。アルはいつだって弟妹たちを優先して我が儘なんて言いもしない」
ここで初めてアルザスの妻であり、アルシードたちの祖母であるサリアスが楽しそうに話に加わった。
アルシードは内心焦った。
この二人が一緒になると知られたくないことまでバレる可能性があるからだ。
アルシードは話題を変えようとして何も思い付かなかった。代わりに思っていることを伝えたが否定された。
「いや、近衛隊入隊に関しては言ってるだろ」
「あら、近衛隊入隊は我が儘じゃありませんよ」
「そうだぞ、もともと近衛隊の方が我が家の役割を果たしやすいからな。むしろ、私たちが薦める仕事でもあったんだ」
「それが我が儘になるもんですか」
「あ、ああ」
「……私は反対だ」
何とも言い難い顔をアルシードしていると小さな声が聞こえた。
何も言えないであろうと思っていた父親からの言葉だった。
それもこのまとまりそうな婚約の話を否定するものだった。
それを疑問に思ったのはアルザスとサリアスだ。
「なぜだ?このようないい話を」
「良すぎるとは思いませんか?なにか裏があると」
「我がクレメント家に不服か?」
「クレメント家との縁、確かに素晴らしい。故に何かあると思われてもおかしいことではないはずだ」
ジャックスは眉を上げた。
父親はどうしてもこの縁談を結ばせたくなかった。
見極める眼を持っていないと長く続く貴族家をまとめてはいけない。
それが分かっているのでジャックスも応じた。
「リンたちの養子縁組は確かにアリシア竜王妃様から打診がありましたが、それだけで引き取ったわけではありません」
「と、言いますと?」
「彼女たちが我が大叔父上が残した忘れ形見だからです」
「ほぉ。では、もともと血が確かであったこともあり、受け入れたと」
「そうですね。それに可愛い部下の恋路を応援してやりたい気持ちも確かにありましたし」
ジャックスがアルシードの方を見るとリンもアルシードも顔を赤くしていた。
ジャックスに『可愛い部下』と言われたことが純粋に嬉しかったのだ。
アルザスはそれを内心微笑ましく見ていた。
「なるほど。アリシア竜王妃様の侍女となれば女性の中でも素晴らしい地位ですな。血筋も家柄も問題ない」
「リン個人もいい子ですわ。どうかしら?アルザスさん、すぐに結婚とはいかなくても婚約関係を結ぶことは可能ではありませんか?」
アリシアはアルザスに尋ねた。アルザスもそれに答えた。
悪い話ではないのだ。お互いに好きあっている。それに相手となるリンも貴族の血筋であり、問題はないのだ。
そう、アルシードの嫁を自身と繋がりのある者にしようと企んでいる面々以外は。
「アリシア竜王妃様も意地の悪い方ですね。このような素晴らしい相手を逃すのは我が家の痛手になりかねません。クレメント家と縁を結ぶことが出来ますし、悪いことなどありませんね 」
「そうですわね。それにアル自身が好いた方ですわ。私たちの可愛い孫の初めての我が儘くらい叶えてあげませんと。ねぇ、あなた」
「ああ、そうだな。アルはいつだって弟妹たちを優先して我が儘なんて言いもしない」
ここで初めてアルザスの妻であり、アルシードたちの祖母であるサリアスが楽しそうに話に加わった。
アルシードは内心焦った。
この二人が一緒になると知られたくないことまでバレる可能性があるからだ。
アルシードは話題を変えようとして何も思い付かなかった。代わりに思っていることを伝えたが否定された。
「いや、近衛隊入隊に関しては言ってるだろ」
「あら、近衛隊入隊は我が儘じゃありませんよ」
「そうだぞ、もともと近衛隊の方が我が家の役割を果たしやすいからな。むしろ、私たちが薦める仕事でもあったんだ」
「それが我が儘になるもんですか」
「あ、ああ」
「……私は反対だ」
何とも言い難い顔をアルシードしていると小さな声が聞こえた。
何も言えないであろうと思っていた父親からの言葉だった。
それもこのまとまりそうな婚約の話を否定するものだった。
それを疑問に思ったのはアルザスとサリアスだ。
「なぜだ?このようないい話を」
「良すぎるとは思いませんか?なにか裏があると」
「我がクレメント家に不服か?」
「クレメント家との縁、確かに素晴らしい。故に何かあると思われてもおかしいことではないはずだ」
ジャックスは眉を上げた。
父親はどうしてもこの縁談を結ばせたくなかった。
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