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第二章
44、婚約発表⑤
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翌日、竜王城に古参から新規の貴族が呼び寄せられた。もちろん入城・謁見を許された伯爵家以上の貴族の面々だ。実はグレイ家は古参でも伯爵家に値するのだ。
そして、今回正式にリンたち三姉弟がクレメント家の養子になったことが発表された。
その発表に疑問がよく飛んできた。
それは自分たちが奴隷となった相手の家の養子になるということだ。
だが、意外にもリンたち三人の方がこのことをちゃんと受け止めていた。
「私たちは確かに奴隷となりましたが、それ以上に養父となって下さったジャックス様に恩があります」
「今でもあんまりあの人のことは許せないけど」
「今の俺たちがあるのはあの人のおかげでもあると思えるから」
「これ以上、悪くは思えません。それに……あの人はあの人なりに必死だったのは知ってましたから」
「…………」
「姉さんは本当にあの人のことを恨んでないよね」
「路頭に迷った私たちを引き取ってくれたのは事実だからね」
アルシードは複雑だった。
確かにリンは弟たちを巻き込んだことに怒っていたがそれ以外は本当に気にしていないようだったんだ。
アルシードはそんなリンや上司であるジャックスにルドワードたちの手前、何も言わなかったが思うところは多くあった。
リンはアリシアのことがあるがそれ以外は情報収集が主な役目だったのでそう思うのかもしれない。
カイやルイも情報収集が主な役割だったが姉と離れ離れにされたりしていたのであまりよく思っていなかった。要はシスコンだったのでそれが不満だったのだ。
「それでいいのか?」
「ええ、それに養父になって下さったのはあの人ではなく、ジャックス様です」
「要は叔父になるの?」
「そうなるな」
そんな雰囲気なので周りも毒気を抜かれてしまい、普通に受け入れてしまった。
そして、そのままリンとアルシードの婚約が発表された。
これには本気で周りがどよめいていた。
古参貴族の両家が婚姻を結ぶのだ、驚かないわけがない。
「クレメント家とグレイ家が……」
「婚約……」
「いいのか?」
公爵家と伯爵家の婚姻だ。
二階級も差のある相手との婚姻だ。グレイ家はこれによって爵位が上がる可能性もあるのだ。
そのことに関しても周りは口がふさがらなかった。
「静かになさい。竜王様、竜王妃様の御前ですよ」
「「「「…………」」」」
周りはディスタの声に黙った。
静まり返った中でルドワードは周りを見渡し、話し始めた。
「確かに皆の思うようにクレメント家とグレイ家が縁を結べばグレイ家の爵位は上がる。だが、当人たちは本気で想い合っている。それを両家の当主が認めただけの話。それにグレイ家は古参の中でもかなり古い。それこそ初期の貴族衆だ。初期の貴族衆で伯爵家はグレイ家のみ。そろそろ爵位を上げる時でもあったのだ」
「そう言うことです。これは両家の婚姻に関係なく発表することになっていた事実です。まぁ、それに大きな理由が婚姻になっただけです」
「あ、そうなんだ」
最後にアルシードが小さくつぶやいた。
丁度それを聞いてしまったリンは苦笑していた。
「それにこれはアリシア竜王妃様の御采配、何かあるようでしたら直接どうぞ」
ディスタがそう言うと誰もが黙った。
さすがに王族に異を唱えることはできないようだ。
あまりにもおかしいことではないのだから受け入れるのが普通なのだ。
そして、以前より初期貴族衆を始めとした貴族たちは陰でグレイ家の出世が遅いことをあざ笑っていたのだ。それに関しても表沙汰になりかねないので口をつぐんだ。
「あら?ないようですね。私は何かしら言ってくるかと思いましたが」
「シア」
「はい?」
「いや、シアはそのままでいてくれ」
「???よく分かりませんが、ルド様がそう望まれるのでしたら」
「ああ、可愛いシア」
「竜王様、竜王妃様、それはお部屋に戻ってから存分になさってください」
「まったく、空気の読めんヤツめ」
「あえて読まなかったのです」
このままでは甘い空気を出しかねない、いやすでに出していた二人を諌めてディスタは早々に閉会とした。
シアが顔を真っ赤にして思考停止となったのも理由の一つだが、周りがもうお腹いっぱいという顔をしていたのだ。
どうやらこの国は安泰らしい。
そして、今回正式にリンたち三姉弟がクレメント家の養子になったことが発表された。
その発表に疑問がよく飛んできた。
それは自分たちが奴隷となった相手の家の養子になるということだ。
だが、意外にもリンたち三人の方がこのことをちゃんと受け止めていた。
「私たちは確かに奴隷となりましたが、それ以上に養父となって下さったジャックス様に恩があります」
「今でもあんまりあの人のことは許せないけど」
「今の俺たちがあるのはあの人のおかげでもあると思えるから」
「これ以上、悪くは思えません。それに……あの人はあの人なりに必死だったのは知ってましたから」
「…………」
「姉さんは本当にあの人のことを恨んでないよね」
「路頭に迷った私たちを引き取ってくれたのは事実だからね」
アルシードは複雑だった。
確かにリンは弟たちを巻き込んだことに怒っていたがそれ以外は本当に気にしていないようだったんだ。
アルシードはそんなリンや上司であるジャックスにルドワードたちの手前、何も言わなかったが思うところは多くあった。
リンはアリシアのことがあるがそれ以外は情報収集が主な役目だったのでそう思うのかもしれない。
カイやルイも情報収集が主な役割だったが姉と離れ離れにされたりしていたのであまりよく思っていなかった。要はシスコンだったのでそれが不満だったのだ。
「それでいいのか?」
「ええ、それに養父になって下さったのはあの人ではなく、ジャックス様です」
「要は叔父になるの?」
「そうなるな」
そんな雰囲気なので周りも毒気を抜かれてしまい、普通に受け入れてしまった。
そして、そのままリンとアルシードの婚約が発表された。
これには本気で周りがどよめいていた。
古参貴族の両家が婚姻を結ぶのだ、驚かないわけがない。
「クレメント家とグレイ家が……」
「婚約……」
「いいのか?」
公爵家と伯爵家の婚姻だ。
二階級も差のある相手との婚姻だ。グレイ家はこれによって爵位が上がる可能性もあるのだ。
そのことに関しても周りは口がふさがらなかった。
「静かになさい。竜王様、竜王妃様の御前ですよ」
「「「「…………」」」」
周りはディスタの声に黙った。
静まり返った中でルドワードは周りを見渡し、話し始めた。
「確かに皆の思うようにクレメント家とグレイ家が縁を結べばグレイ家の爵位は上がる。だが、当人たちは本気で想い合っている。それを両家の当主が認めただけの話。それにグレイ家は古参の中でもかなり古い。それこそ初期の貴族衆だ。初期の貴族衆で伯爵家はグレイ家のみ。そろそろ爵位を上げる時でもあったのだ」
「そう言うことです。これは両家の婚姻に関係なく発表することになっていた事実です。まぁ、それに大きな理由が婚姻になっただけです」
「あ、そうなんだ」
最後にアルシードが小さくつぶやいた。
丁度それを聞いてしまったリンは苦笑していた。
「それにこれはアリシア竜王妃様の御采配、何かあるようでしたら直接どうぞ」
ディスタがそう言うと誰もが黙った。
さすがに王族に異を唱えることはできないようだ。
あまりにもおかしいことではないのだから受け入れるのが普通なのだ。
そして、以前より初期貴族衆を始めとした貴族たちは陰でグレイ家の出世が遅いことをあざ笑っていたのだ。それに関しても表沙汰になりかねないので口をつぐんだ。
「あら?ないようですね。私は何かしら言ってくるかと思いましたが」
「シア」
「はい?」
「いや、シアはそのままでいてくれ」
「???よく分かりませんが、ルド様がそう望まれるのでしたら」
「ああ、可愛いシア」
「竜王様、竜王妃様、それはお部屋に戻ってから存分になさってください」
「まったく、空気の読めんヤツめ」
「あえて読まなかったのです」
このままでは甘い空気を出しかねない、いやすでに出していた二人を諌めてディスタは早々に閉会とした。
シアが顔を真っ赤にして思考停止となったのも理由の一つだが、周りがもうお腹いっぱいという顔をしていたのだ。
どうやらこの国は安泰らしい。
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