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噴水の件は直ぐにローレンスへと伝わり、カロクはお叱りを受ける事となった。だがそれも、カロクを心配しての事だと分かっていたので、カロクは甘んじて受けた。
それからしばらくは穏やかな日々が続いた。早々につけられた教師は皆優しく、基礎から丁寧に教えてくれた。しかし、魔法の講師だけはなかなか見つからず、未だに魔法学だけは習えていない。
残念に思いながらも、夜な夜な、魔力の操作だけはこっそりと練習を続けていた。蘇芳達に溢れ過ぎた魔力を食べて貰う事で、今の所バレずに練習する事が出来ている。
あれから露草は随分と大きくなったが、未だに進化の兆しは見えない。何かきっかけが必要なのだろうか?
カロクは勉強が終わると、いつものように裏庭の奥にある、小さな丘へと出掛けて行った。よく整備された芝に、大きな新緑樹が1本生えている。少し小高いその丘から望む裏庭が、最近のカロクのお気に入りだ。いつも爽やかな風が吹き抜けていて、白緑もその丘を気に入っているようだった。
「‥誰だ?」
不意に声がして、カロクはビクリと足を止める。少し高い子供の声。この屋敷にいる子供はカロクと双子の侍従を除けば、2人いるであろう兄のうちのどちらかと言うことになる。
「ぁの‥‥えっと‥」
カロクは思わず言い淀む。
確かゲームでは、2人の兄から疎まれていた。あからさまな虐めはなかったが、いないものとして扱われ、視界に入る事すら嫌悪されていたはずだ。
カロクは慌てて頭を下げて、1歩下がる。
「ごめんなさい‥っ。人がいるとは、思わなくて‥っ。」
おずおずと顔を上げれば、青藤色の髪にカロクと同じ瑠璃色の瞳の美少年が、少し驚いたように瞳を開きながらこちらを凝視していた。この色合いは、確か1番上の兄シリルだ。そして1番カロクを憎んでいるはず。
「ごめんなさい‥、直ぐに消えますので‥。」
カロクは持っていた本をギュッと抱きしめると、もう一度ぺこりと頭を下げて踵を返す。すると後ろからクンッと肩を引かれた。
「‥‥‥カロク、だな?」
恐る恐る振り返れば、カロクよりも頭1個分上からシリルが見つめていた。
カロクはサッと顔を青ざめさせた。
「ぁの‥、えと‥‥‥そう、です‥。」
しどろもどろになりながら頷けば、シリルの瞳が微かに眇られた。思わずビクリと肩を震わせれば、ポンッと頭を撫でられた。
「すまない、怖がらせる気はなかった。」
シリルが続ける。
「話はローレンスから聞いている。怖かっただろう?」
思いがけない優しい言葉に、カロクは顔を上げてパチパチと瞼をはためかせた。シリルは確か、初対面からカロクを毛嫌いしていたはずではなかっただろうか?
驚いたようにシリルを見つめていると、シリルは困ったように微かに眉尻を下げてカロクへ視線を返す。
「私はお前の兄、シリル。安心しろ、虐めるつもりは毛頭ない。お前は、大事な私の弟なのだから。」
そう言ってシリルは、微かに口角を上げて笑った。
それからしばらくは穏やかな日々が続いた。早々につけられた教師は皆優しく、基礎から丁寧に教えてくれた。しかし、魔法の講師だけはなかなか見つからず、未だに魔法学だけは習えていない。
残念に思いながらも、夜な夜な、魔力の操作だけはこっそりと練習を続けていた。蘇芳達に溢れ過ぎた魔力を食べて貰う事で、今の所バレずに練習する事が出来ている。
あれから露草は随分と大きくなったが、未だに進化の兆しは見えない。何かきっかけが必要なのだろうか?
カロクは勉強が終わると、いつものように裏庭の奥にある、小さな丘へと出掛けて行った。よく整備された芝に、大きな新緑樹が1本生えている。少し小高いその丘から望む裏庭が、最近のカロクのお気に入りだ。いつも爽やかな風が吹き抜けていて、白緑もその丘を気に入っているようだった。
「‥誰だ?」
不意に声がして、カロクはビクリと足を止める。少し高い子供の声。この屋敷にいる子供はカロクと双子の侍従を除けば、2人いるであろう兄のうちのどちらかと言うことになる。
「ぁの‥‥えっと‥」
カロクは思わず言い淀む。
確かゲームでは、2人の兄から疎まれていた。あからさまな虐めはなかったが、いないものとして扱われ、視界に入る事すら嫌悪されていたはずだ。
カロクは慌てて頭を下げて、1歩下がる。
「ごめんなさい‥っ。人がいるとは、思わなくて‥っ。」
おずおずと顔を上げれば、青藤色の髪にカロクと同じ瑠璃色の瞳の美少年が、少し驚いたように瞳を開きながらこちらを凝視していた。この色合いは、確か1番上の兄シリルだ。そして1番カロクを憎んでいるはず。
「ごめんなさい‥、直ぐに消えますので‥。」
カロクは持っていた本をギュッと抱きしめると、もう一度ぺこりと頭を下げて踵を返す。すると後ろからクンッと肩を引かれた。
「‥‥‥カロク、だな?」
恐る恐る振り返れば、カロクよりも頭1個分上からシリルが見つめていた。
カロクはサッと顔を青ざめさせた。
「ぁの‥、えと‥‥‥そう、です‥。」
しどろもどろになりながら頷けば、シリルの瞳が微かに眇られた。思わずビクリと肩を震わせれば、ポンッと頭を撫でられた。
「すまない、怖がらせる気はなかった。」
シリルが続ける。
「話はローレンスから聞いている。怖かっただろう?」
思いがけない優しい言葉に、カロクは顔を上げてパチパチと瞼をはためかせた。シリルは確か、初対面からカロクを毛嫌いしていたはずではなかっただろうか?
驚いたようにシリルを見つめていると、シリルは困ったように微かに眉尻を下げてカロクへ視線を返す。
「私はお前の兄、シリル。安心しろ、虐めるつもりは毛頭ない。お前は、大事な私の弟なのだから。」
そう言ってシリルは、微かに口角を上げて笑った。
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