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カロクは、シリルの反応に困惑していた。
原作の設定では、父ほどでは無いけれど、優しい母を亡くす原因となったカロクを疎んでいるはずだ。
さらにカロクは素行が悪かった。それはひとえに置かれた環境によるものだったのだが、それが兄弟の溝をより深いものとしていた、とゲームの設定にはあった。
だが今のシリルからは、嫌悪どころか好意すら感じる。
未来が変わったのだろうか?
頭を撫で続けるシリルに困惑していると、ふとシリルの視線がカロクの腕の中にある本へと落ちた。
「本を読みに来たのか?」
「は、い‥。」
シリルの問いに、カロクはぎこちなく頷く。
「ならば読んでいくといい。ついでに菓子でも用意させよう。」
そう言ってシリルは近くに控えていたメイドにお茶の準備をするよう命じる。双子も、それに追従していった。
そして自身は、先程まで座っていたであろうシルクの敷物に腰を下ろし、カロクにその隣に座るよう示した。カロクは促されるままおずおずと腰を下ろすと、シリルは満足そうに笑った。
2人でお茶を飲んで、本を読む。
予期せぬ邂逅だったが、その時間は思ったよりもずっと穏やかに過ぎていった。
シリルは特に何をする訳でもなかったが、目が合うとその目元も柔らかく細めた。
その度にカロクは、僅かに頬を好調させて開いた本の中へ顔を隠していた。
「これからは、もう少し兄弟の時間を増やそうと思う。」
いいか?とシリルはカロクに問う。
ゲームの設定を知っているだけに悩んだカロクだったが、未来は変えられるということを身をもって知っている。
ならば。
「その、シリル様さえ良ければ‥。」
「‥‥そうか!!」
おずおずとカロクが答えると、シリルは今までで1番の笑みを浮かべた。
しかし直ぐに何かに気づいたように、少し不機嫌そうにカロクを見つめた。
「だが、カロク。何故私を名前で呼ぶ?」
「ぇと‥‥失礼でしたでしょうか‥?」
「失礼ではないが、他人行儀すぎる。これからは兄と呼ぶように。いいな?」
シリルが念を押すようにそう告げる。
カロクは少し悩んだ後、勇気をだして口を開く。
「シリル、兄様‥‥?」
するとシリルは嬉しそうに笑った。
それからシリルは、暇を見つけてはカロクを構いにやってきた。散歩に行くカロクについてきたり、書庫で2人で本を読んだり。2人でお茶をする事も多くなった。お互いに口数が多い方ではないけれど、その沈黙も不思議と居心地は悪くなかった。
カロクの目から見ても、シリルはカロクに対して優しく接してくれているように感じる。原作の時のように、カロクが爛れた生活をしていないせいだろうか?
日中の魔族達との時間が減ると言う誤算はあったが、原作から少しでも離れられたように感じて、カロクは嬉しかった。
そうして穏やかな日々を過ごして行くうちに、魔法学の講師が決まった。若くして宮廷魔道士という役職に付いた、容姿の整った男性だ。前にシリルも、その男性から魔法学を教わっていたと言う。
名前は、キースと言った。
「よろしくお願いします、カロク様。」
そう言って、キースは愛想の良い笑みを浮かべた。
「‥よろしくお願いします。」
「礼儀正しいいい子ですね。」
そう言ってキースはカロクの頭を撫でた。
カロクは今まで孤独だったせいか、頭を撫でられるのが好きだった。ローレンスは執事という立場からあまり撫でてはくれないが、最近では兄のシリルがよく頭を撫でてくれるようになっていた。
そんな事もあってか、カロクは嬉しくなってふわりと笑みを浮かべた。魔法学を頑張れば、もっと褒めてくれるかもしれない。
そんな嬉しそうなカロクの様子に、キースはスっとその目元を細めた。気付かれぬよう、その口元に怪しげな笑みをひろげながら。
原作の設定では、父ほどでは無いけれど、優しい母を亡くす原因となったカロクを疎んでいるはずだ。
さらにカロクは素行が悪かった。それはひとえに置かれた環境によるものだったのだが、それが兄弟の溝をより深いものとしていた、とゲームの設定にはあった。
だが今のシリルからは、嫌悪どころか好意すら感じる。
未来が変わったのだろうか?
頭を撫で続けるシリルに困惑していると、ふとシリルの視線がカロクの腕の中にある本へと落ちた。
「本を読みに来たのか?」
「は、い‥。」
シリルの問いに、カロクはぎこちなく頷く。
「ならば読んでいくといい。ついでに菓子でも用意させよう。」
そう言ってシリルは近くに控えていたメイドにお茶の準備をするよう命じる。双子も、それに追従していった。
そして自身は、先程まで座っていたであろうシルクの敷物に腰を下ろし、カロクにその隣に座るよう示した。カロクは促されるままおずおずと腰を下ろすと、シリルは満足そうに笑った。
2人でお茶を飲んで、本を読む。
予期せぬ邂逅だったが、その時間は思ったよりもずっと穏やかに過ぎていった。
シリルは特に何をする訳でもなかったが、目が合うとその目元も柔らかく細めた。
その度にカロクは、僅かに頬を好調させて開いた本の中へ顔を隠していた。
「これからは、もう少し兄弟の時間を増やそうと思う。」
いいか?とシリルはカロクに問う。
ゲームの設定を知っているだけに悩んだカロクだったが、未来は変えられるということを身をもって知っている。
ならば。
「その、シリル様さえ良ければ‥。」
「‥‥そうか!!」
おずおずとカロクが答えると、シリルは今までで1番の笑みを浮かべた。
しかし直ぐに何かに気づいたように、少し不機嫌そうにカロクを見つめた。
「だが、カロク。何故私を名前で呼ぶ?」
「ぇと‥‥失礼でしたでしょうか‥?」
「失礼ではないが、他人行儀すぎる。これからは兄と呼ぶように。いいな?」
シリルが念を押すようにそう告げる。
カロクは少し悩んだ後、勇気をだして口を開く。
「シリル、兄様‥‥?」
するとシリルは嬉しそうに笑った。
それからシリルは、暇を見つけてはカロクを構いにやってきた。散歩に行くカロクについてきたり、書庫で2人で本を読んだり。2人でお茶をする事も多くなった。お互いに口数が多い方ではないけれど、その沈黙も不思議と居心地は悪くなかった。
カロクの目から見ても、シリルはカロクに対して優しく接してくれているように感じる。原作の時のように、カロクが爛れた生活をしていないせいだろうか?
日中の魔族達との時間が減ると言う誤算はあったが、原作から少しでも離れられたように感じて、カロクは嬉しかった。
そうして穏やかな日々を過ごして行くうちに、魔法学の講師が決まった。若くして宮廷魔道士という役職に付いた、容姿の整った男性だ。前にシリルも、その男性から魔法学を教わっていたと言う。
名前は、キースと言った。
「よろしくお願いします、カロク様。」
そう言って、キースは愛想の良い笑みを浮かべた。
「‥よろしくお願いします。」
「礼儀正しいいい子ですね。」
そう言ってキースはカロクの頭を撫でた。
カロクは今まで孤独だったせいか、頭を撫でられるのが好きだった。ローレンスは執事という立場からあまり撫でてはくれないが、最近では兄のシリルがよく頭を撫でてくれるようになっていた。
そんな事もあってか、カロクは嬉しくなってふわりと笑みを浮かべた。魔法学を頑張れば、もっと褒めてくれるかもしれない。
そんな嬉しそうなカロクの様子に、キースはスっとその目元を細めた。気付かれぬよう、その口元に怪しげな笑みをひろげながら。
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