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残る都市は3つ。それぞれの国の王都で、それぞれが古代の武器を所有しているという。12人いる戦闘員を4人ずつに分けてそれぞれの都市へと派遣した。
それぞれジークフリートとディルムッドに率いてもらい、同時に侵攻する。劣化版魔道兵器を有する1番大きな都市にフィオニスが向かった。ここにはエクトールを利用していた公爵もいるはずだ。
「フィオニス様、街道の封鎖を完了致しました。」
アルブレヒトが言う。
アルブレヒトの得物はサーベルで、電気を纏わせて振るう。時に高温となるそれは、鉄ですら一刀両断するという。
「ご苦労。」
フィオニスが言う。
王都には既に魔物がなだれ込み、あちこちで悲鳴が響き、火の手が上がっている。多くの貴族が国外へと逃亡する中、この国の王と主要貴族だけはこの街に残っているという。何か秘策でもあるのだろうか。
その時、1人の魔族が劣化版の魔道兵器を手にフィオニスの傍に降り立つ。名をクロムウェル。美しい黒髪の、鯱のような背鰭を持つ魔族だ。水の中でこそ真価を発揮するクロムウェルだが、その足から繰り出される強力な蹴りは、巨大な岩石を軽々と砕く。
「こんなのが防衛の要だと言うのか。」
クロムウェルは呆れたようにそう落とす。
グッと指に力を入れれば、魔道兵器はいとも簡単に砕けた。
「所詮は偽物。魔物にすら劣ると言うものよ。」
アルブレヒトが言う。
「見ろ、銘も入っていない。大方、捕らえたドワーフ族に無理やり作らせた物だろう。使われている素材も、酷いものだ。」
そう続けるのは、クルースニクという名の毒蛇の魔族だ。彼は全属性の魔法を自在に操るが、この体になってからは毒も扱うようになったらしい。得物は鎌だ。
「‥‥中には、本物もあるようだけどね。」
そう言って視線を眼下へと流すのは、額に角を持つ魔族、アストリアだ。一角獣の魔族であるアストリアは、杖のような返しのついたメイスを扱う。
視線の先を追えば、一際大きな魔道兵器が魔物を薙ぎ払っているのが見えた。酷使されたのか、それともメンテナンスを怠ったのか、腕を一振する度にギシギシと関節が軋む。
「それにあれを見ろ。」
嫌悪感を隠さずにクロムウェルが言う。
その視線の先には、例のキメラが敵味方関係なく襲いかかっている様子が見て取れた。
「なんと醜悪な‥。」
クルースニクが眉間のシワを濃くして吐き捨てる。
「まだあんな研究が続けられているんだね‥。」
そう言ってアストリアは悲痛な視線をキメラ達へと注いだ。
「‥楽にしてやれ。」
フィオニスがそういえば、アルブレヒトとアストリアが同時に
「御意に。」
と答えて狩りに向かった。
「魔道兵器は任せていいか?」
フィオニスはクロムウェルへと言う。
「はい。デカブツ含め、殲滅致しましょう。」
そう言ってクロムウェルはニィ、と鋭い牙が並ぶ歯を見せて笑った。
「クルースニクは私と共に城へ。何かあれば、エクトールを守って欲しい。」
「承りました。」
クルースニクはそう言って、1歩下がってエクトールの後ろへと控える。
「‥では、国を終わらせるとしよう。」
そう言ってフィオニスはエクトールの腰を引き寄せると、沈黙を守る城へと向かった。
それぞれジークフリートとディルムッドに率いてもらい、同時に侵攻する。劣化版魔道兵器を有する1番大きな都市にフィオニスが向かった。ここにはエクトールを利用していた公爵もいるはずだ。
「フィオニス様、街道の封鎖を完了致しました。」
アルブレヒトが言う。
アルブレヒトの得物はサーベルで、電気を纏わせて振るう。時に高温となるそれは、鉄ですら一刀両断するという。
「ご苦労。」
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王都には既に魔物がなだれ込み、あちこちで悲鳴が響き、火の手が上がっている。多くの貴族が国外へと逃亡する中、この国の王と主要貴族だけはこの街に残っているという。何か秘策でもあるのだろうか。
その時、1人の魔族が劣化版の魔道兵器を手にフィオニスの傍に降り立つ。名をクロムウェル。美しい黒髪の、鯱のような背鰭を持つ魔族だ。水の中でこそ真価を発揮するクロムウェルだが、その足から繰り出される強力な蹴りは、巨大な岩石を軽々と砕く。
「こんなのが防衛の要だと言うのか。」
クロムウェルは呆れたようにそう落とす。
グッと指に力を入れれば、魔道兵器はいとも簡単に砕けた。
「所詮は偽物。魔物にすら劣ると言うものよ。」
アルブレヒトが言う。
「見ろ、銘も入っていない。大方、捕らえたドワーフ族に無理やり作らせた物だろう。使われている素材も、酷いものだ。」
そう続けるのは、クルースニクという名の毒蛇の魔族だ。彼は全属性の魔法を自在に操るが、この体になってからは毒も扱うようになったらしい。得物は鎌だ。
「‥‥中には、本物もあるようだけどね。」
そう言って視線を眼下へと流すのは、額に角を持つ魔族、アストリアだ。一角獣の魔族であるアストリアは、杖のような返しのついたメイスを扱う。
視線の先を追えば、一際大きな魔道兵器が魔物を薙ぎ払っているのが見えた。酷使されたのか、それともメンテナンスを怠ったのか、腕を一振する度にギシギシと関節が軋む。
「それにあれを見ろ。」
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その視線の先には、例のキメラが敵味方関係なく襲いかかっている様子が見て取れた。
「なんと醜悪な‥。」
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「まだあんな研究が続けられているんだね‥。」
そう言ってアストリアは悲痛な視線をキメラ達へと注いだ。
「‥楽にしてやれ。」
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「御意に。」
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「魔道兵器は任せていいか?」
フィオニスはクロムウェルへと言う。
「はい。デカブツ含め、殲滅致しましょう。」
そう言ってクロムウェルはニィ、と鋭い牙が並ぶ歯を見せて笑った。
「クルースニクは私と共に城へ。何かあれば、エクトールを守って欲しい。」
「承りました。」
クルースニクはそう言って、1歩下がってエクトールの後ろへと控える。
「‥では、国を終わらせるとしよう。」
そう言ってフィオニスはエクトールの腰を引き寄せると、沈黙を守る城へと向かった。
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