乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

文字の大きさ
235 / 240
第二十二章 前を向く為にも

死んだら……悲しいじゃないですか

しおりを挟む
 お城の地下にある牢屋に私とジョセフさんは入れられた。

 魔力封じの枷をつけられない代わりに牢屋の鉄格子には結界を張られた。

 ジョセフさんはちゃんと手当てされてるのがなによりも救いかも。

 傷だらけで放置なんてされたらどうしようかと。私の方も一応手当てしてくれたし……。

 見張り番の騎士が結界を張り終わるのを見届けたアレン様はその場から立ち去ろうとした。

 私はアレン様に声をかける。

「あの!」

 背中を向いたまま立ち止まった。

「なんで……助けてくださったのですか?」
「最初こそ、気が動転してしまったが、キースが殺す勢いだったんだ。おまえらには聞きたいことが山ほどある。死なれては困る」
「殺すって……そんなことしませんよお。聞きたいことがあるからってちゃんと手加減してたのは見てたでしゃ?」
「そう言って、拷問をかけた侍女を殺したのは誰だ。キースの手加減は手加減じゃないから信用出来ない」

 私の方を見て言わないアレン様は幼いながらも警戒しているのだと全身で言っていた。

 私の知ってるアレン様も警戒心強くて、感情を表に出さない人ではあるけど……、やっぱりどことなく雰囲気似てるのよね。

 私が初めてアレン様と会ったのは十歳ぐらいだから、それよりも童顔で背も低い。

 十歳よりも下ってことね。

 ただ、口調が多少荒っぽい所は私の知っているアレン様じゃないけど。

 立ち去る後ろ姿を見て、深いため息をした。

 見張り番の騎士はアレン様が見えなくなるまでずっとお辞儀をしている。

 完全に見えなくなってからお辞儀を止め、テーブルと椅子が置かれてある場所に移動して腰を下ろす。

 その位置は一番私とジョセフさんがいる牢屋を見渡せる場所にあった。

 まさか私が牢屋に入れられる日が来ようとは。

 人生、何があるか分からないものよね。

 ゲームのシナリオ上でも牢屋イベントはなかったみたいだし(悪役令嬢の幽閉はあるけど)。

「あっ……痛みますか?」

 子狐の姿のまま、ジョセフさんは牢屋の端っこで丸まって唸っていた。

 私はジョセフさんの元に近付く。

「平気。数日もあれば良くなる……。魔力もそのぐらいには回復してると思う」
「そう、ですか。良かった」
「数日もあれば牢屋は何とか耐えられるかもしれないからね。戻って呪いを解呪してほしいだろうが、今は……」
「呪いとはか今はどうでもいいです。ジョセフさんが生きてて良かった」

 私はジョセフさんの背中を撫でる。もふもふしているが包帯が巻かれてるので罪悪感がある。

 ジョセフさんは不思議そうに首を傾げたが、何か納得したような表情になって言う。

「……ああ、死んだら元の場所にはいけないからね」
「なんでそんな皮肉を言うんですか!?  違いますよ。死んだら……悲しいじゃないですか」
「悲しい?」
「そうですよー」

 ムゥっと頬を膨らませて言うと、ジョセフさんは「分からない」と独り言を言っていた。

 私からしたら、分からないのはジョセフさんだ。私なんかを助けた代わりに深手を負ったのだから。

 私はジョセフさんの毛並みが思っていたよりも温かくてもふもふしていて、うとうとし始める。

 今までの緊張が解けたのと、疲れが溜まってたので急に眠くなってしまった。

 パフっとジョセフさんのお腹に倒れた。微かな意識の中、ジョセフさんの鈍い呻き声が聞こえた気がしたが、起きられそうにないので、そのまま深い眠りについた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき
恋愛
身近に最上の推しがいたら、例え結ばれなくても人参をぶら下げた馬にでもなると言うものですよね? 両親を喪い平民から貴族になると同時に、前世で見た乙女ゲーム系アニメの最推しが義兄になったレンファラン 貴族の子女として家の為に婚姻? 前世の記憶で領の発展に貢献? 推しの役に立ちたいし、アニメ通りの婚約破棄だけは避けたいところだけれど…

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...