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第三章 『子猫』を拾いました
二人の護衛騎士
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お義父さまと殿下から「二人だけで話をしたい」と言われたので私は、侍女のアイリスと庭でお散歩中。
少し離れたところからアイリスがあとをついてくるのは良いのだけど、騎士様二人もあとをついてくる。
殿下の護衛の人……だよね。間違ってないよね? 私の護衛ではないよね!?
そんな人が私を護衛しているみたいにあとをついてくるんだけど。
フレンドリーに話しながらだったらまだわかるよ。
無言でついてくるんですよ。怖くない!?
しかも、アイリスも困惑してるみたいだし。
護衛二人の顔が怒ってるようにも感じるんですけど!?
私、なにかしたかな。知らない間になにかしちゃった!?
えっ、やだ。ありえそうで怖い……。
「あの、私になにか御用でしょうか?」
私は意を決して聞いてみるが、返事は「なにもありません」と声を揃えて言われてしまった。
護衛の一人はどこかで見たことあるのよね。前に来た時もそれは思った。
ゲームに登場していたのかも。ただ、私が覚えていないだけで。
一人目は小柄な男性。私よりも一つか二つ年上だと思うぐらいの身長と見た目をしている。金髪でオレンジ色の丸い瞳で可愛い印象を持つ。身長は、私よりも少し大きい。
私が身長が百三十八センチメートルだとするならば、彼の身長は、百五十五センチメートルぐらいだろう。
私自身チビだけど、彼もなかなかのチビね。
もう一人目は、大柄な男性。私が見たことあるというのがこの人。根元が暗めの金色で、グラデーションを描きながら毛先に向かって明るめな金色になっている。くせっ毛なのか外はねしている。
パッと見、爽やか系だと思う。髪型は。
鋭い眼光の持ち主のようで、普通にしていても睨んでるような気がして仕方ない。とても綺麗な青紫色の瞳をしてるのになんだか勿体ない。
身長は、多分百八十八センチメートルぐらいだろう。ただ、チビの私からすると巨人に見えてしまう。
早く大きくなりたいし、身長欲しいな。でもそんなに大きくならないのよね。
小柄な男性と大柄な男性、二人が並ぶと兄弟のようだなって思ってしまう。
「あの、お名前を伺っても?」
この二人の性格がわからないし、親睦を少しだけ深めてもいいよね。
「俺は、オリヴァー・ロペス」
「僕は、キース・フィンレー」
小柄な男性はオリヴァーさんで、大柄な男性はキースさん。話口調がオリヴァーさんの方が男性っぽいというか、男気溢れるというか、とりあえず元気いっぱいな口調。キースさんの方はほんわかな感じ。覇気がないというか、ふわふわしている。その口調は意外ね。イメージとしては逆だったのに。
人は見かけによらないって、このことね。
あまりにも見た目と口調のギャップに困惑していると、キースさんが無表情のまま近付いてきた。
オリヴァーさんが止めようと腕を掴むが、大柄な男性なのもあり、小柄なオリヴァーさんの手は呆気なく振りほどかれてしまった。
歩みを止めないキースさんに私は怖くなってしまったが、足がすくんで動けない。
大柄な男性が無表情なまま近付いてくるんだもん。しかもよ、鋭い眼光で眉間にシワを寄せてるんだもん。絶対に怒ってる!
私、失礼な態度しちゃった!? 名前聞くのがいけなかったの?
アイリスが私を庇うようにキースさんの前に立つが、肩が小刻みに震えていて、怖いのを我慢して私を守ろうとしているのが伝わってくる。
「キース!」
オリヴァーさんが慌てて眼鏡をキースさんにかけた。
「あれ? オリヴァー。どうしたんですか?」
「どうしたのは俺が聞きてぇよ」
丸眼鏡のおかげで鋭い眼光も気にならなくなり、逆に穏やかな印象に変わっていた。口調もふわふわした感じだから、今の彼の方がしっくりくる。
一気に恐怖がなくなり、私とアイリスはお互いの顔を見合わせた。
小道具で印象ってこんなにも変わるのね。
「あの、これは……」
訳がわからず、困惑しているとアイリスが口を開いた。その声はまだ若干の震えが出ていた。
アイリスには申し訳ないことをしてしまった。でもあの状況で私は動くことが出来なかったのに、アイリスは勇気を出して、私を守ろうとした。
私も恐怖に勝てる強さを身に付けたい。なんて思うことは簡単で、実際にやるのは難しい。
アイリスには見習うことが多過ぎて、自分の足りないところがすぐにわかってしまう。
「すみません。お二人共、怖い思いしてしまいましたね。僕は、護衛中は眼鏡を外しているんです。相手からしたら怖いらしいので」
「んで、なんで急に迫ったんだ。大柄なんだから、いきなり近付いたら怖いだろ」
キースさんはしゅんと落ち込んだ。オリヴァーさんは呆れたようにため息をした。
「だって……。ソフィア様があまりにも可愛らしくて、ギューってしたいなと」
「馬鹿だろお前。令嬢に手を出すなってあれほど言い聞かせたのに」
「え、どうしてですか? 可愛いのを見るとギューってしたくなりませんか?ね、アイリスさんもそう思いますよね」
突然話を振られ、おどおどしたアイリスだったが、チラリと私の顔を見た後、キースさんを見た。
「確かに抱きしめたいと思いますが、その」
どう言っていいのか困ったように口ごもったアイリスをフォローするようにオリヴァーさんがキースさんの頭を小突く。
「キース。アイリスさんが困ってんだろ。って、うわっ!?」
オリヴァーさんを見たキースさんは「オリヴァー、可愛いですぅ」と、思いっきり抱きしめて、なにやらポキポキという音も聞こえ、とても痛そうにしている。
「やめろぉぉぉぉ!!」
キースさんの気持ちはわからなくもない。オリヴァーさんはノエルの次に可愛らしい。
オリヴァーさんには申し訳ないが、抱きしめられているのが自分じゃなくて良かったと安堵した。
「あ、あの。オリヴァーさんがとても苦しそうにしているので離してあげた方が」
キースさんは私を見たあと、ふわりと笑った。
あっ、笑うとちょっと可愛い。
思わずキュンってしてしまった。二人共、特徴的なのに攻略対象キャラじゃないなんて、少し残念。
キースさんはオリヴァーさんを離すと、あろうことか私に抱きつこうとしたらアレン王太子殿下の今まで聞いたこともないような低い声が聞こえた。
「キース、何してるの?」
キースさんは、肩を震わせて、すぐに姿勢を正した。オリヴァーさんも姿勢を正している。
殿下は深いため息をした。私に近付いた。
「申し訳ない、ソフィア嬢。護衛としては優秀なんだけど、貴族というものをよく分かってなくてね。教育はしてるはずなんだけど、目を離すといつもこの調子なんだ」
「い、いえ。謝らないでください」
「でも、君も悪いんだよ。ソフィア嬢は、隙だらけだから」
「すみません」
ん? あれ。
私、怒られてる。隙だらけなの?
普通にしてるだけだし、男性に隙なんて見せたことないわ。
言いがかりだ。
でも、悔しいことに言い返せない。
今日の殿下は、イライラしている? サロンで話した時は怒りの感情は伝わってこなかった。
「別にいいんだけど、警戒はしてよね。今日から君の護衛になるんだから」
「すみませ……はい?」
「今、とある事件で各地の貴族に護衛をつけてるんだ。だから、君のところにもね。この二人のどちらかだけど、どうする?」
と、言われましても。急にそんなこと言われても困る。
それに、とある事件が気になるけど、教えてはくれないよね。
「オリヴァーさんで」
私はオリヴァーさんを指さしたらキースさんがとても残念そうにしていたが、殿下は「決まりだね。これで失礼するよ」と言って馬車を停めてある方へと向かう。
キースさんも慌てて殿下のあとを追うが、思い出したようにくるりと振り向き、お辞儀をしてから殿下の元に急いだ。
何気なく見たオリヴァーさんと目が合ってしまいお互いに苦笑いをしてしまった。
少し離れたところからアイリスがあとをついてくるのは良いのだけど、騎士様二人もあとをついてくる。
殿下の護衛の人……だよね。間違ってないよね? 私の護衛ではないよね!?
そんな人が私を護衛しているみたいにあとをついてくるんだけど。
フレンドリーに話しながらだったらまだわかるよ。
無言でついてくるんですよ。怖くない!?
しかも、アイリスも困惑してるみたいだし。
護衛二人の顔が怒ってるようにも感じるんですけど!?
私、なにかしたかな。知らない間になにかしちゃった!?
えっ、やだ。ありえそうで怖い……。
「あの、私になにか御用でしょうか?」
私は意を決して聞いてみるが、返事は「なにもありません」と声を揃えて言われてしまった。
護衛の一人はどこかで見たことあるのよね。前に来た時もそれは思った。
ゲームに登場していたのかも。ただ、私が覚えていないだけで。
一人目は小柄な男性。私よりも一つか二つ年上だと思うぐらいの身長と見た目をしている。金髪でオレンジ色の丸い瞳で可愛い印象を持つ。身長は、私よりも少し大きい。
私が身長が百三十八センチメートルだとするならば、彼の身長は、百五十五センチメートルぐらいだろう。
私自身チビだけど、彼もなかなかのチビね。
もう一人目は、大柄な男性。私が見たことあるというのがこの人。根元が暗めの金色で、グラデーションを描きながら毛先に向かって明るめな金色になっている。くせっ毛なのか外はねしている。
パッと見、爽やか系だと思う。髪型は。
鋭い眼光の持ち主のようで、普通にしていても睨んでるような気がして仕方ない。とても綺麗な青紫色の瞳をしてるのになんだか勿体ない。
身長は、多分百八十八センチメートルぐらいだろう。ただ、チビの私からすると巨人に見えてしまう。
早く大きくなりたいし、身長欲しいな。でもそんなに大きくならないのよね。
小柄な男性と大柄な男性、二人が並ぶと兄弟のようだなって思ってしまう。
「あの、お名前を伺っても?」
この二人の性格がわからないし、親睦を少しだけ深めてもいいよね。
「俺は、オリヴァー・ロペス」
「僕は、キース・フィンレー」
小柄な男性はオリヴァーさんで、大柄な男性はキースさん。話口調がオリヴァーさんの方が男性っぽいというか、男気溢れるというか、とりあえず元気いっぱいな口調。キースさんの方はほんわかな感じ。覇気がないというか、ふわふわしている。その口調は意外ね。イメージとしては逆だったのに。
人は見かけによらないって、このことね。
あまりにも見た目と口調のギャップに困惑していると、キースさんが無表情のまま近付いてきた。
オリヴァーさんが止めようと腕を掴むが、大柄な男性なのもあり、小柄なオリヴァーさんの手は呆気なく振りほどかれてしまった。
歩みを止めないキースさんに私は怖くなってしまったが、足がすくんで動けない。
大柄な男性が無表情なまま近付いてくるんだもん。しかもよ、鋭い眼光で眉間にシワを寄せてるんだもん。絶対に怒ってる!
私、失礼な態度しちゃった!? 名前聞くのがいけなかったの?
アイリスが私を庇うようにキースさんの前に立つが、肩が小刻みに震えていて、怖いのを我慢して私を守ろうとしているのが伝わってくる。
「キース!」
オリヴァーさんが慌てて眼鏡をキースさんにかけた。
「あれ? オリヴァー。どうしたんですか?」
「どうしたのは俺が聞きてぇよ」
丸眼鏡のおかげで鋭い眼光も気にならなくなり、逆に穏やかな印象に変わっていた。口調もふわふわした感じだから、今の彼の方がしっくりくる。
一気に恐怖がなくなり、私とアイリスはお互いの顔を見合わせた。
小道具で印象ってこんなにも変わるのね。
「あの、これは……」
訳がわからず、困惑しているとアイリスが口を開いた。その声はまだ若干の震えが出ていた。
アイリスには申し訳ないことをしてしまった。でもあの状況で私は動くことが出来なかったのに、アイリスは勇気を出して、私を守ろうとした。
私も恐怖に勝てる強さを身に付けたい。なんて思うことは簡単で、実際にやるのは難しい。
アイリスには見習うことが多過ぎて、自分の足りないところがすぐにわかってしまう。
「すみません。お二人共、怖い思いしてしまいましたね。僕は、護衛中は眼鏡を外しているんです。相手からしたら怖いらしいので」
「んで、なんで急に迫ったんだ。大柄なんだから、いきなり近付いたら怖いだろ」
キースさんはしゅんと落ち込んだ。オリヴァーさんは呆れたようにため息をした。
「だって……。ソフィア様があまりにも可愛らしくて、ギューってしたいなと」
「馬鹿だろお前。令嬢に手を出すなってあれほど言い聞かせたのに」
「え、どうしてですか? 可愛いのを見るとギューってしたくなりませんか?ね、アイリスさんもそう思いますよね」
突然話を振られ、おどおどしたアイリスだったが、チラリと私の顔を見た後、キースさんを見た。
「確かに抱きしめたいと思いますが、その」
どう言っていいのか困ったように口ごもったアイリスをフォローするようにオリヴァーさんがキースさんの頭を小突く。
「キース。アイリスさんが困ってんだろ。って、うわっ!?」
オリヴァーさんを見たキースさんは「オリヴァー、可愛いですぅ」と、思いっきり抱きしめて、なにやらポキポキという音も聞こえ、とても痛そうにしている。
「やめろぉぉぉぉ!!」
キースさんの気持ちはわからなくもない。オリヴァーさんはノエルの次に可愛らしい。
オリヴァーさんには申し訳ないが、抱きしめられているのが自分じゃなくて良かったと安堵した。
「あ、あの。オリヴァーさんがとても苦しそうにしているので離してあげた方が」
キースさんは私を見たあと、ふわりと笑った。
あっ、笑うとちょっと可愛い。
思わずキュンってしてしまった。二人共、特徴的なのに攻略対象キャラじゃないなんて、少し残念。
キースさんはオリヴァーさんを離すと、あろうことか私に抱きつこうとしたらアレン王太子殿下の今まで聞いたこともないような低い声が聞こえた。
「キース、何してるの?」
キースさんは、肩を震わせて、すぐに姿勢を正した。オリヴァーさんも姿勢を正している。
殿下は深いため息をした。私に近付いた。
「申し訳ない、ソフィア嬢。護衛としては優秀なんだけど、貴族というものをよく分かってなくてね。教育はしてるはずなんだけど、目を離すといつもこの調子なんだ」
「い、いえ。謝らないでください」
「でも、君も悪いんだよ。ソフィア嬢は、隙だらけだから」
「すみません」
ん? あれ。
私、怒られてる。隙だらけなの?
普通にしてるだけだし、男性に隙なんて見せたことないわ。
言いがかりだ。
でも、悔しいことに言い返せない。
今日の殿下は、イライラしている? サロンで話した時は怒りの感情は伝わってこなかった。
「別にいいんだけど、警戒はしてよね。今日から君の護衛になるんだから」
「すみませ……はい?」
「今、とある事件で各地の貴族に護衛をつけてるんだ。だから、君のところにもね。この二人のどちらかだけど、どうする?」
と、言われましても。急にそんなこと言われても困る。
それに、とある事件が気になるけど、教えてはくれないよね。
「オリヴァーさんで」
私はオリヴァーさんを指さしたらキースさんがとても残念そうにしていたが、殿下は「決まりだね。これで失礼するよ」と言って馬車を停めてある方へと向かう。
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