乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月

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第三章 『子猫』を拾いました

イアン様の行方について【ノア視点】

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 国王に許可を貰った私はその後、帝王にも許可を貰った後、失踪してしまったイアン様の手がかりを探すべくクリスタ家を調べた。
薬瓶らしきものがイアン様の寝室で見つかった。ベッドには動物の毛らしきものが……。
 クリスタ家はペットを飼っていないらしく屋敷の人達は皆、不思議そうに首を傾げていた。

 その薬瓶の中身は空だったが、微かに鼻を突くような臭いがした。私は薬の知識はあまりなく、わからなかったため、この薬瓶に入っていたものは一体なんなのか、ついでに動物の毛も調べてもらうために今は、アシェル帝国の地下にある研究施設にいる。

 研究施設と聞くと、魔術士の子供を使った実験を思わせられるけど、この研究施設の実験の内容は、主に魔導具の開発。また『調合』の研究もしている。

 調合次第では、回復薬を生み出せられる。

 怪我をしたらその回復薬を飲めば一瞬のうちに傷が治る。現在、骨が再生される薬を作ろうとして、この間までは、盲目が治る薬を開発していた。


「ノア! わかったぞ」

 扉が開いたと思ったら私の友人である、レオナードが嬉しそうな声を上げて、私が座っている向かいのソファに腰を下ろす。

「どうでした?」
「昔に流行った疫病と関係あるみたいなんだ」

 疫病……。彼、レオナードが言っているのは、農民から広がった疫病のことを言っているのだろう。確か疫病の名前は『スクアーマ病』。
 症状は、発熱、味覚障害、不眠、意識低下。
 感染者の皮膚が鱗のようになることから『スクアーマ病』と呼ばれているらしい。
 だけど、ワクチンが開発されて『スクアーマ病』の患者は減ってきていると聞いたことがあります。

 ……なんだか嫌な予感がする。

「スクアーマ病でしょうか?」
「ああ、この薬瓶は、そのスクアーマ病のワクチンとして作られたものだが、失敗した奴だ。それもご丁寧に飲み薬として調合されている。これは、副作用として動物になってしまうため、全部廃棄処分したはずなんだが」
「それがなぜかある、と」
「その通りだ。それに、ベッドにあった動物の毛は、猫の毛だ。イアン様は失敗したワクチンの飲み薬を飲んで猫になったと俺は思う」
「視野に入れてみます」

 そういえば、屋敷を出る前にノエル様が「イアン様はこのところ、考え事を良くしていました」と言い残していました。それとなにか関係が。

 薬瓶を闇市場で入手したのなら、適当な嘘を並べて買わせたのでしょう。
 闇市場を調べてみましょうか。いや、その前にイアン様の安全確保が先ですね。イアン様の行きそうな場所をクリスタ家に戻って聞いてみましょう。猫になってる可能性を考えるなら、早めに探さなくては。

「ところでノア。デメトリアス家のお嬢様の魔法の先生をやってるんじゃなかったのか?」
「はい、そうですよ。ですが、私は皇帝の配下でもあります。問題事が起こったらそちらを優先的にやりますので。それが皇帝との『お約束』なんです」

 ソフィア様の魔法の先生をやっている理由は、もしも魔力暴走をしたらすぐに封印出来るようにとの事。
 皇帝は最初こそ反対はしていたが、事情を話すと納得してくれた。
 私よりも魔力が高いものは今は居ないのだから。ソフィア様のように例外はいますが。

 ソフィア様には、魔力暴走したらすぐに私が駆けつけられるようにしてある。

 そういえば、念の為にソフィア様に護衛をつけると言われていたような。

 それもアレン王太子殿下の護衛の一人を。
 彼らは、とても個性的だけど、剣の腕は一流。

 公爵家の令嬢にそこまでしなくてもとは思ったが、私の恩師が命と引き換えにしなくちゃいけないほどの魔力を封印したのですから、皇帝、それに国王はきっと彼女の未知数な魔力を恐れているのでしょう。
 それに、彼女の魔力のことが広がれば、民の不安を煽り、良からぬ事を考える輩が出てくる。

 そのため、彼女には屋敷の外には出させないようにしている。
 籠の中の鳥のようで、胸が痛むが、彼女のためなら仕方ないことだと思っています。

 他の貴族様は皇帝に許可を貰えば、外出出来るし、パーティやお茶会にも参加出来る。が、ソフィア様はそれが許されない。
 本人も外には出たくないようですが、屋敷の庭がいくら広くても外出できず外の世界を知らないというのは、あまりにも酷な気がします。

 屋敷に閉じ込めておいて、学園に入学できる年頃になったら今度は学園に閉じ込めておく。

 皇帝の考えは、間違えてはいない。しかし、私は外の世界を知ってもらいたい。そう思っています。

「ご協力感謝致します」

 私はソファから立ち上がり、深く頭を下げた。

「いや、頭をあげて! いいよお礼なんて」

 いきなり私が頭を下げるものだから、レオナードは慌てふためいていた。
 そんな彼を見て、クスッと小さく笑うとレオナードは私に薬瓶を返してくれた。

「わかってると思いますが」
「内密に、だろ? わかってるよ。このことは、施設では俺しか知らない。安心しろ」

 レオナードの返事を聞いて、私は小さく頷いた。

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