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第16話
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私は時間通りに光莉ちゃんとの待ち合わせの場所へ行く。初めて行く所なので、遅れないように早目に行って待つ。
目印として、田原がすごく似合うと褒めてくれた花柄のワンピースにダウンジャケットを羽織って来た。
すごく目立つわけでもないけど、多分分かりやすいと思う。
でも、待ち合わせ時間が過ぎても、誰も来ない。10分くらい過ぎたところで光莉ちゃんに連絡を入れる。
電話をかけたらすぐに出た。
「柳井田さん、今どこですか?」
「待ち合わせの、公園の東側だけど、光莉ちゃんは?」
「私も東側にいますよ。あー違う所ですかね?何が見えますか?」
「なんか、結構暗くてほとんど目印らしきものが…無いかなぁ。」
「そこ、多分逆です。そっちは西じゃないですかね?
ちょっと急いでこっちに来てもらえますか?
[まいうい]ちゃんもまだ来てないんですけど、今日少ししか時間取れないみたいで、今日逃したらまた会えなくなるかもって言ってたので…。」
「分かった、ごめんね!すぐそっちに行くね!」
私は急いで逆の入り口へ向かう。真ん中を突っ切れば早いと思って走っていくと、団体の若い人達が道を塞ぐように広がって、写真やら動画やらを撮っている。
前の日から薄く積もった雪と、今もチラチラと優しく降る雪が、公園のライトで綺麗に映える場所のようで、ワイワイ盛り上がっている。
私は避けて通ったつもりだったけど、誰かにぶつかってしまった。
すみませんと、振り返ってお辞儀したけど、なんかあっち向いてフンッて外方を向かれてしまった。
それ以上の対応をするほどでもなかったので、そのまままた走って光莉ちゃんの元へと向かう。
この歳で、全力ダッシュはキツい。通る道に雪はあまり無いけど、水溜まりがたくさんあって走りにくい。
なんとか辿り着いた時には、すごく息が上がって、気持ち悪くさえなってきた。
[まいうい]ちゃんはまだ来てなくて、2人でベンチに座って待つこと2時間。
途中に何度もメールを送ったり電話もかけるけど、全く返事も何も無い。
辺りを少し探してみたりもするけど、それらしき姿は見えない。
待っている間に、2人で少し話をする。
「お母さん、大丈夫なの?」
「はい、検査はちょっとキツいみたいですけど、割と元気です。暇ですることないから、お菓子とかバクバク食べて、太ったって言ってます。」
「元気で良かった。お母さんと2人で住んでるの?」
「はい、ずっと2人です。今はちょっと私の仕事が転勤になって、私だけ社宅に別に住んでるんですけど。
母は今まで仕事と私の世話を一生懸命してくれました。今こそ、親孝行しなきゃって思ってます。」
「そっか。でも元気で楽しく生きてくれたら、それだけで親孝行だけどね、今は病気で心細いだろうから、支えてもらったら本当にありがたいでしょうね。
そういえば、ずっと引越ししないで同じ所に住んでるんだね。私は見つけられたから助かったけど。」
「あのアパート、親戚の人の持ち物みたいで、安く借りられてるらしいんです。もう古いから、引越ししたい気もあるけど、慣れた所が一番楽ですし。」
「柳井田のことはいつ知ったの?」
「結構昔なんですけど、テレビを見てたら山口県が紹介されてる番組が入ってたんです。芸能人がウロウロして何か紹介したりするような旅番組だったと思うんですけど、その時柳井田運送の会社が映って、母が『あ!』って驚いたんです。」
「へー、いつだろ?そんなテレビに映ることあったんだね。」
「たまたまだとは思うんですけどね。それで、『柳井田さん元気かなぁ』って小さな声でボソッと言ったんです。私が『誰?』ってかなりしつこく聞くと、『んー?ちょっとね、初恋…かな?』って照れたので、『もしかして私のお父さん?』て聞いたら、『うーん…?』って、YESともNOとも分からない返事をしたんです。でもあれは、絶対そうなんだって匂わせな感じだったんです。だから、ピンと来ました。
それ以来、柳井田さんが私のお父さんなんだと思ってます。」
「そ、そうなのね…。そっか…。」
「あの日、ただ楽しく飲むだけのつもりだったんです。[松下村]て人が参加するって聞いて、まさかね?と思ったんですけど、本当に柳井田さんだったのでびっくりしたんです。
でも、オフ会で柳井田さんが明け透けに奥さん自慢やら家族自慢やらするから、段々腹が立ってきたんですよね。
だからといって、何もしてませんよ。急に柳井田さんが寝込んでしまったので、私も困りましたし。
ただ、何で私のお父さんになってくれなかったんだろうって、すごく悲しい気持ちにはなりました。」
光莉ちゃんは目にいっぱい涙を溜めて、グッと泣くのを堪えている。
私はかなり複雑な気持ちになる。
「柳井田さん達と私の母が、どういう状況を経て今こうなってるのかは知りませんけど、母が…私にとってはめちゃくちゃ良い母が、何で悲しくて辛い思いをしなきゃいけなかったのか…お父さんは私の存在とか知ってるのかな?会いたいなんて少しも思ってないのかな?っていろいろ思ったら、すごく辛いです。」
私には、返す言葉もかける言葉も見つからない。ただ、何とも言えない重い空気と、さっき走ってからの気分の悪さが一緒になって、どんどん具合悪くなってきた。
この前の光莉ちゃんのアパートの前にいたのと、今、寒空の下で待っているから、風邪を引いたんだと思うけど、寒気が酷くて熱が出てきたと肌で感じる。
[まいうい]ちゃんは来ないけど、具合が悪過ぎて待っていられないので、今日は帰ることにした。
なんとか田原の家には辿り着いたけど、もうフラフラ状態だった。帰ってすぐベッドに倒れ込んで、それからの意識も無いくらいだった。
後日、私はテレビで[まいうい]こと歌蘭ちゃんの事件を知る。
まさかあの日、あの公園で、そんな事件が起こっていたとは夢にも思っていなかった。
光莉ちゃんがメールや電話をかけていたので警察から連絡があったのだけど、[まいうい]ちゃんの携帯は階段から落ちた時に水溜まりに水没して壊れてたのだという。
警察が履歴を復旧できたので光莉ちゃんに連絡が来たけど、そりゃ私達はあの日、連絡は取れないよねと思った。
光莉ちゃんは、『山口県のオフ会で知り合って、東京戻ったらまた会おうって約束してたから待ち合わせてたけど、あの日は会えなかったし連絡も取れなかった』と説明したとのことだ。
あの時一緒にいた私も、もちろん事情を聞かれたけど、私は光莉ちゃんの知り合いであり歌蘭ちゃんとは面識すら無いと伝えると、形だけみたいな感じの質問をされて終わった。
目印として、田原がすごく似合うと褒めてくれた花柄のワンピースにダウンジャケットを羽織って来た。
すごく目立つわけでもないけど、多分分かりやすいと思う。
でも、待ち合わせ時間が過ぎても、誰も来ない。10分くらい過ぎたところで光莉ちゃんに連絡を入れる。
電話をかけたらすぐに出た。
「柳井田さん、今どこですか?」
「待ち合わせの、公園の東側だけど、光莉ちゃんは?」
「私も東側にいますよ。あー違う所ですかね?何が見えますか?」
「なんか、結構暗くてほとんど目印らしきものが…無いかなぁ。」
「そこ、多分逆です。そっちは西じゃないですかね?
ちょっと急いでこっちに来てもらえますか?
[まいうい]ちゃんもまだ来てないんですけど、今日少ししか時間取れないみたいで、今日逃したらまた会えなくなるかもって言ってたので…。」
「分かった、ごめんね!すぐそっちに行くね!」
私は急いで逆の入り口へ向かう。真ん中を突っ切れば早いと思って走っていくと、団体の若い人達が道を塞ぐように広がって、写真やら動画やらを撮っている。
前の日から薄く積もった雪と、今もチラチラと優しく降る雪が、公園のライトで綺麗に映える場所のようで、ワイワイ盛り上がっている。
私は避けて通ったつもりだったけど、誰かにぶつかってしまった。
すみませんと、振り返ってお辞儀したけど、なんかあっち向いてフンッて外方を向かれてしまった。
それ以上の対応をするほどでもなかったので、そのまままた走って光莉ちゃんの元へと向かう。
この歳で、全力ダッシュはキツい。通る道に雪はあまり無いけど、水溜まりがたくさんあって走りにくい。
なんとか辿り着いた時には、すごく息が上がって、気持ち悪くさえなってきた。
[まいうい]ちゃんはまだ来てなくて、2人でベンチに座って待つこと2時間。
途中に何度もメールを送ったり電話もかけるけど、全く返事も何も無い。
辺りを少し探してみたりもするけど、それらしき姿は見えない。
待っている間に、2人で少し話をする。
「お母さん、大丈夫なの?」
「はい、検査はちょっとキツいみたいですけど、割と元気です。暇ですることないから、お菓子とかバクバク食べて、太ったって言ってます。」
「元気で良かった。お母さんと2人で住んでるの?」
「はい、ずっと2人です。今はちょっと私の仕事が転勤になって、私だけ社宅に別に住んでるんですけど。
母は今まで仕事と私の世話を一生懸命してくれました。今こそ、親孝行しなきゃって思ってます。」
「そっか。でも元気で楽しく生きてくれたら、それだけで親孝行だけどね、今は病気で心細いだろうから、支えてもらったら本当にありがたいでしょうね。
そういえば、ずっと引越ししないで同じ所に住んでるんだね。私は見つけられたから助かったけど。」
「あのアパート、親戚の人の持ち物みたいで、安く借りられてるらしいんです。もう古いから、引越ししたい気もあるけど、慣れた所が一番楽ですし。」
「柳井田のことはいつ知ったの?」
「結構昔なんですけど、テレビを見てたら山口県が紹介されてる番組が入ってたんです。芸能人がウロウロして何か紹介したりするような旅番組だったと思うんですけど、その時柳井田運送の会社が映って、母が『あ!』って驚いたんです。」
「へー、いつだろ?そんなテレビに映ることあったんだね。」
「たまたまだとは思うんですけどね。それで、『柳井田さん元気かなぁ』って小さな声でボソッと言ったんです。私が『誰?』ってかなりしつこく聞くと、『んー?ちょっとね、初恋…かな?』って照れたので、『もしかして私のお父さん?』て聞いたら、『うーん…?』って、YESともNOとも分からない返事をしたんです。でもあれは、絶対そうなんだって匂わせな感じだったんです。だから、ピンと来ました。
それ以来、柳井田さんが私のお父さんなんだと思ってます。」
「そ、そうなのね…。そっか…。」
「あの日、ただ楽しく飲むだけのつもりだったんです。[松下村]て人が参加するって聞いて、まさかね?と思ったんですけど、本当に柳井田さんだったのでびっくりしたんです。
でも、オフ会で柳井田さんが明け透けに奥さん自慢やら家族自慢やらするから、段々腹が立ってきたんですよね。
だからといって、何もしてませんよ。急に柳井田さんが寝込んでしまったので、私も困りましたし。
ただ、何で私のお父さんになってくれなかったんだろうって、すごく悲しい気持ちにはなりました。」
光莉ちゃんは目にいっぱい涙を溜めて、グッと泣くのを堪えている。
私はかなり複雑な気持ちになる。
「柳井田さん達と私の母が、どういう状況を経て今こうなってるのかは知りませんけど、母が…私にとってはめちゃくちゃ良い母が、何で悲しくて辛い思いをしなきゃいけなかったのか…お父さんは私の存在とか知ってるのかな?会いたいなんて少しも思ってないのかな?っていろいろ思ったら、すごく辛いです。」
私には、返す言葉もかける言葉も見つからない。ただ、何とも言えない重い空気と、さっき走ってからの気分の悪さが一緒になって、どんどん具合悪くなってきた。
この前の光莉ちゃんのアパートの前にいたのと、今、寒空の下で待っているから、風邪を引いたんだと思うけど、寒気が酷くて熱が出てきたと肌で感じる。
[まいうい]ちゃんは来ないけど、具合が悪過ぎて待っていられないので、今日は帰ることにした。
なんとか田原の家には辿り着いたけど、もうフラフラ状態だった。帰ってすぐベッドに倒れ込んで、それからの意識も無いくらいだった。
後日、私はテレビで[まいうい]こと歌蘭ちゃんの事件を知る。
まさかあの日、あの公園で、そんな事件が起こっていたとは夢にも思っていなかった。
光莉ちゃんがメールや電話をかけていたので警察から連絡があったのだけど、[まいうい]ちゃんの携帯は階段から落ちた時に水溜まりに水没して壊れてたのだという。
警察が履歴を復旧できたので光莉ちゃんに連絡が来たけど、そりゃ私達はあの日、連絡は取れないよねと思った。
光莉ちゃんは、『山口県のオフ会で知り合って、東京戻ったらまた会おうって約束してたから待ち合わせてたけど、あの日は会えなかったし連絡も取れなかった』と説明したとのことだ。
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