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田原の語り
第28話
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そんな所へ千夏がやってくる。
歌蘭が生徒になってから、千夏が家出をしてウチに来るまで、殆ど近況報告はしていなかったので、歌蘭の事を話そうかと思ったけど、なんとなくできなかった。
千夏が結構いっぱいいっぱいな感じだったので、余計な話はしない方がいいと判断したのだ。
千夏が大高さんの娘さんと会ったと言って、その話をしてくれた。
その時も話そうかと思ったけど、ただの悪口になっちゃいそうなので、やっぱり出来なかった。
千夏が[まいうい]と会えることになったと言った日、私も別の人から、「歌蘭と連絡が取れて、会えることになった。でも、この日以外は無理みたいだ。」と言われ、私も歌蘭と会う約束をしていた。
実は、歌蘭は芸能事務所を退所したけど、その出資先の会社に転職していたので、居場所は何となく知っていたけど、千夏に頼まれて問い合わせした時、「ちょっと前から連絡が取れなくなってる」と言われていたのだ。
知り合いにチラッと聞いた話では、歌蘭が転職先の会社から逃げて雲隠れをしているらしかった。
歌蘭が所属していた芸能事務所は、少し名が知れた会社と提携していたので、信用して受け入れていたのだけど、通ってくる女の子達に関わっているうちに、雰囲気が悪いというか何となく違和感を抱くようになった。
アイドルグループは結構バチバチしてる世界だって言うし、そういうものかなとは思ったけど。
女の子達も、私には聞こえないように「大丈夫なのかなー?なんか怪しくない?」みたいな話をしていたこともあった。
何か嫌な感じがした時、その時点でウチの請負った仕事も断れば良かったのだ…。
何度後悔したことか…。
でも、歌蘭に会いに行くのは、その為ではない。
私の娘の睦菜が北陸に行ってしばらくした頃から、北陸の名所らしき所でダンスをしてる動画をサイトにアップするようになる。
始めは私に送ってくるだけだったけど、元旦那がすごく良い動画が撮れたからと、サイトにアップしたのがきっかけだった。
歌蘭のアイドルグループを見て嫌になったけど、本当は睦菜はアイドルになりたかったのだ。一時期はもう諦めていたけど、北陸の自然、暑さや寒さ、都会とは違う穏やかで厳しい感覚や、色んな物を肌で感じたら、勝手に体が動き出したそうだ。
動画は割と好評みたいで、サイトを立ち上げると注目動画として目にすることもあるくらいになる。
私も睦菜の元気な姿を見られて嬉しいし、好意的なコメントが付くと鼻が高くなる。ただ1人、少し前から敵意のあるコメントを載せてくる人がいた。それが歌蘭だった。名前はもちろん違わせているけど、私には分かった。
歌蘭は睦菜とは面識があり、睦菜にとって歌蘭は憧れの対象だったくらいだし、何度も話させてもらっていたので知らない筈はない。
睦菜だと分かった上で攻撃してきてるのだ。最近段々エスカレートしてきているし。
旦那の事はもういい…。でも、睦菜に何かするのは許せない!
本人に会って、直接訳を聞こうと思った。そして、ダメなものはダメでいいけど、関係ない悪意のコメントは控えてほしいと頼むつもりだった。
待ち合わせの場所へ行って、歌蘭を待つけど現れない。
ああ、すっぽかされたのだと思った。
千夏と同じ公園の、少し離れた場所での待ち合わせだったので、千夏の方へは来てるのか、気になって探した。
でも、千夏もいない。
しばらくして、私に連絡をくれた人から電話がかかる。
「歌蘭ラちゃんらしき人が、階段から落ちたのか、階段の下で倒れてて、救急車で運ばれた。」
と言ってきた。
他の知らない人が介助してて付き添いもしてくれたらしく、私に連絡くれた人も帰るというので、私もそのまま帰ることにした。
私が家に帰ってから1時間くらい経ってから千夏も帰って来た。
随分具合が悪そうなので心配で、薬を飲ませてしばらく様子を見ていたけど、そのうち薬が効いたのか眠ってくれた。かなり辛そうではあったけど、どうやら酷い風邪だったみたいだ。
千夏の風邪が治った頃に、警察が訪ねてきた。でも事実確認程度のもので、大した話ではなかった。
私の方は全く眼中に無かったのでホッとした。
その後は、歌蘭の容態が回復しない限り、私には何もできる事が無いので、ただの日常に戻る。
歌蘭の方も、意識が回復して落ち着かない限り、他人の動画なんてコメントする余裕も無いだろう。
睦菜が配信する動画を確認すると、やっぱりあの悪意のコメントは書かれていない。私はホッとする。
こうなると、私は何もしなくて良かったと思った。
なのに、千夏が家を出て、大高さんに会いに行ってからしばらくして、私の所へ刑事さんがやって来た。
歌蘭が目を覚まして、「田原さんと会う約束をしていた。待ち合わせの場所へ向かう途中誰かに突き落とされた。私は田原さんに恨まれてるから…分からないけど…。」と、匂わせ発言をしたそうだ。
そのせいで、詳しく話をするために私は任意同行を求められる。
正直、すごく面倒なことに巻き込まれたと思い、歌蘭にコンタクトを取ったことを後悔した。
歌蘭が生徒になってから、千夏が家出をしてウチに来るまで、殆ど近況報告はしていなかったので、歌蘭の事を話そうかと思ったけど、なんとなくできなかった。
千夏が結構いっぱいいっぱいな感じだったので、余計な話はしない方がいいと判断したのだ。
千夏が大高さんの娘さんと会ったと言って、その話をしてくれた。
その時も話そうかと思ったけど、ただの悪口になっちゃいそうなので、やっぱり出来なかった。
千夏が[まいうい]と会えることになったと言った日、私も別の人から、「歌蘭と連絡が取れて、会えることになった。でも、この日以外は無理みたいだ。」と言われ、私も歌蘭と会う約束をしていた。
実は、歌蘭は芸能事務所を退所したけど、その出資先の会社に転職していたので、居場所は何となく知っていたけど、千夏に頼まれて問い合わせした時、「ちょっと前から連絡が取れなくなってる」と言われていたのだ。
知り合いにチラッと聞いた話では、歌蘭が転職先の会社から逃げて雲隠れをしているらしかった。
歌蘭が所属していた芸能事務所は、少し名が知れた会社と提携していたので、信用して受け入れていたのだけど、通ってくる女の子達に関わっているうちに、雰囲気が悪いというか何となく違和感を抱くようになった。
アイドルグループは結構バチバチしてる世界だって言うし、そういうものかなとは思ったけど。
女の子達も、私には聞こえないように「大丈夫なのかなー?なんか怪しくない?」みたいな話をしていたこともあった。
何か嫌な感じがした時、その時点でウチの請負った仕事も断れば良かったのだ…。
何度後悔したことか…。
でも、歌蘭に会いに行くのは、その為ではない。
私の娘の睦菜が北陸に行ってしばらくした頃から、北陸の名所らしき所でダンスをしてる動画をサイトにアップするようになる。
始めは私に送ってくるだけだったけど、元旦那がすごく良い動画が撮れたからと、サイトにアップしたのがきっかけだった。
歌蘭のアイドルグループを見て嫌になったけど、本当は睦菜はアイドルになりたかったのだ。一時期はもう諦めていたけど、北陸の自然、暑さや寒さ、都会とは違う穏やかで厳しい感覚や、色んな物を肌で感じたら、勝手に体が動き出したそうだ。
動画は割と好評みたいで、サイトを立ち上げると注目動画として目にすることもあるくらいになる。
私も睦菜の元気な姿を見られて嬉しいし、好意的なコメントが付くと鼻が高くなる。ただ1人、少し前から敵意のあるコメントを載せてくる人がいた。それが歌蘭だった。名前はもちろん違わせているけど、私には分かった。
歌蘭は睦菜とは面識があり、睦菜にとって歌蘭は憧れの対象だったくらいだし、何度も話させてもらっていたので知らない筈はない。
睦菜だと分かった上で攻撃してきてるのだ。最近段々エスカレートしてきているし。
旦那の事はもういい…。でも、睦菜に何かするのは許せない!
本人に会って、直接訳を聞こうと思った。そして、ダメなものはダメでいいけど、関係ない悪意のコメントは控えてほしいと頼むつもりだった。
待ち合わせの場所へ行って、歌蘭を待つけど現れない。
ああ、すっぽかされたのだと思った。
千夏と同じ公園の、少し離れた場所での待ち合わせだったので、千夏の方へは来てるのか、気になって探した。
でも、千夏もいない。
しばらくして、私に連絡をくれた人から電話がかかる。
「歌蘭ラちゃんらしき人が、階段から落ちたのか、階段の下で倒れてて、救急車で運ばれた。」
と言ってきた。
他の知らない人が介助してて付き添いもしてくれたらしく、私に連絡くれた人も帰るというので、私もそのまま帰ることにした。
私が家に帰ってから1時間くらい経ってから千夏も帰って来た。
随分具合が悪そうなので心配で、薬を飲ませてしばらく様子を見ていたけど、そのうち薬が効いたのか眠ってくれた。かなり辛そうではあったけど、どうやら酷い風邪だったみたいだ。
千夏の風邪が治った頃に、警察が訪ねてきた。でも事実確認程度のもので、大した話ではなかった。
私の方は全く眼中に無かったのでホッとした。
その後は、歌蘭の容態が回復しない限り、私には何もできる事が無いので、ただの日常に戻る。
歌蘭の方も、意識が回復して落ち着かない限り、他人の動画なんてコメントする余裕も無いだろう。
睦菜が配信する動画を確認すると、やっぱりあの悪意のコメントは書かれていない。私はホッとする。
こうなると、私は何もしなくて良かったと思った。
なのに、千夏が家を出て、大高さんに会いに行ってからしばらくして、私の所へ刑事さんがやって来た。
歌蘭が目を覚まして、「田原さんと会う約束をしていた。待ち合わせの場所へ向かう途中誰かに突き落とされた。私は田原さんに恨まれてるから…分からないけど…。」と、匂わせ発言をしたそうだ。
そのせいで、詳しく話をするために私は任意同行を求められる。
正直、すごく面倒なことに巻き込まれたと思い、歌蘭にコンタクトを取ったことを後悔した。
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