日当たりの良い借家には、花の精が憑いていました⁉︎

山碕田鶴

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第3章 芒種

18.ニッコウキスゲ(二)

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「落ち着け。お前の話はわかった。夢じゃない。全て本当に起きたことだ。……いいか、そのニッコウキスゲとやらに会えたことで、お前が前から疑問に思っていたことが解決したかもしれないんだ」
「解決した、かも?  マコちゃんにもわからないことがあるの?  いつも、知っていてはぐらかすのかと思った」
「俺は全てを知っているわけじゃない。なぜ花壇の花だけが精霊として現れたのか。なぜ、フリージアたちが同じ姿かたちだったのか。推測はできるけれど、確証はなかった」

 僕が気になっていたことを誠も考えてくれていたのだ。

「マコちゃんが知っていることを教えてよ。推測も含めて全部」

 誠は一瞬迷ったように見えた。

「お前、怖いの苦手だよな」
「え……。怖い話なの?」
「さあ」
「怖いんだ」
「いや」
「……」

 今度は僕が迷った。誠にからかわれているのだとは思う。けれど……

「まあ、お前にも見えるんだものな。あの花壇に、」
「ちょっと待ってて!」
「てて?」

 誠に一分待ってもらった。
 深呼吸。あと、前後左右の確認。よし、何もいない。

「はい、どうぞ」

 誠に笑われた。でも、この笑顔が一番の安心材料かもしれない。

「花壇の花の精が現れたのは、たぶんここ一年くらいだと思う。俺は前の借主が住んでいる間は敷地に入ったことがないから正確にはわからないが、キクがそう言っていた。三兄弟を実際に見たのは、前の借主が転居した後だ。お前が来る少し前だな」
「キクちゃんは、いつから庭にいるの?」
「さあな。前の借主が入居する前から菊はあったから」

 あ、そこははぐらかすのか。
 キクは、菊を植えたのは誠だと言っていた。それなら知らないはずがないのに。
 だいたい、大家だからといって借家の庭に勝手に花を植えるのは変だよな。ただ、今それを言っても更にはぐらかされる気がした。

「なあ、一郎。俺は、キクや四兄弟を花の精だと説明してきた。お前はそれで納得していた。でも、本当はあれをどう呼べばいいかわからないんだ。話がややこしいし、わかってもらうのは難しいと思ったから、花の精にしておいた。でも、きっと違うものだ」
「……やっぱり幽霊とか妖怪なの?」
「違う、と思う」
「花、なんだよね?」
「花から発生したものではあるけれど、純粋な花の精ではない」

 誠は、僕が想像もつかないことを話し出した。
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