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Break Time Story 伝説の食材を求めて
消えた…?
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1日目、とりあえず目的地に向かうところからだった。
場所はラクライールの森を抜け、少し歩けばその竜の卵がある山に着くとの事だった。
みんなイリアの言葉を信じて歩き始めた。
一向に森から開けた景色に行かない、つまりは未だ森から抜けていない。
予想できた方もいるだろう。
1日目、未だ森から抜けない状態で終了。
ベースキャンプを準備した一同であった。
そして2日目、やっとの思いで森から開けた場所に出ることができた。
モニカたちは喜び、少し足取りが軽くなった。
しかしその矢先、抜けたと思ったら森に再び遭遇。
2日目、天国から地獄へ、再び森の中で1夜を過ごす一同だった。
明くる日の3日目。
やっとの思いで森を抜け、そびえ立つ山を目の前にすでにイリア以外は絶望していた。
「し、師匠…」
モニカは恐る恐るイリアに声をかける。
「ん?なに?」
イリアはモニカの言葉に振り返る。
「まさかと思うんですけど、この山を登るなんて、言わないですよね?」
「登るわよ?」
あっけらかんとした態度で言うイリア。
ぽっかーん。
みんな見事なぽっかーん状態。
「なにその顔?大丈夫よ、たかが標高2万くらいしかない山だから」
たかが、の使い方を明らかに間違えてる数百年生きてきた魔女。
苦笑い通り過ぎて無表情の一同だった。
「これ、1週間あっても登れないんじゃ無いですか?
てか、なんすかこの山、要塞か何かですか?」
フラウはそう言って頭を抱えた。
「3日あれば取って降りてこれるって」
「それは師匠に限っての話です」
モニカの渾身のツッコミだった。
画して、一行は山を登り始めた。イリアは瓶から飛び出したクッションの上に座ってぷかぷかと浮いている。
もちろん、他のメンバーは歩きだ。
フラウとソナタは武闘派ということもあり軽快に登る一方、モニカ、ライノ、アリーシャに関しては魔法以外は不得意のためペースが遅い。
「な、なんであんなに早いんだあの3人は…!」
「私たち運動あんまりしないから、キツイよぉ…!」
「が、がんばろ!2人とも私もがんばるぅうう…」
そんな唸ってる3人をみて、前方組3人は笑っていた。
やがて、少し開けた場所に来た。
「さてさて、お昼にしようかね!」
イリアは瓶から人数分の大きなサンドイッチを取り出した。
やることはいつも突然で突拍子もないが、面倒見がいいのは確かだった。
それぞれにみんなはご飯を食べ始めた。
流石にイリアの料理は絶品である。
「あ、今回中に入ってるマヨネーズと白身魚のペーストは僕が作ったよ」
ソナタの言葉に、他のみんなが絶賛する。
「めちゃくちゃ美味しい!」
「ソナタさんすごいです!」
ライノもアリーシャもご満悦のようだ。
「にしても、あんた本当凄いよね、フラウが作るとダークマターになるのに」
「余計なお世話ですっ!」
イリアの言葉にフラウは頬を膨らませ、他のみんなは笑った。
なんだかんだで笑顔が絶えないそんな仲間たちだった。
しかしこの数十分後、みんなの顔から笑顔が消える事件が起きたのだ。
昼食を食べ、少ししてから一同は再び歩き始めた。
午前とは変わらないペースでそれぞれ進み始める。
だが、やはり運動できない組はペースが落ちてくる。
気づけばかなり離れた距離にいた。
モニカは師匠の無茶振りを受けてるだけあってなんとか歩いている。
ライノも男と言うこともありなんとか同じようにと言う感じである。
問題はアリーシャだった。
3人の中では見るからにひ弱な見た目を裏切ることなく、体力もなかった。
ヘトヘトになりながらなんとかついていくも、モニカとライノにすら距離を離されていた。
(みんな、早すぎるよぉ)
息が荒くなって、足元も覚束ない。
そして、遂に悲劇が起きた。
アリーシャは細い道で足を踏み外し、急な坂を転げ落ちていった。
幸いそんなに高い場所じゃなかったため、少し切り傷があったくらいではあった。
「い、いたた…」
アリーシャはそんな傷を自ら回復した。
こう言う時には自分の得意分野がよく役に立つ。
「傷の回復は大丈夫だけど、疲れた身体とかはなんで回復できないのかなぁ、息切れ回復の魔法とかないのかな…」
なんとも老人のような台詞である。
「アリーシャ!」
遠くから声がしたので振り返ると、フラウがモニカを抱えて降りてきた。
同じようにソナタとライノも。
たくましすぎる2人である。
「大丈夫!?」
「あ、はい!回復したので」
アリーシャは得意げにニコッと笑う。
なかなかにメンタルが強い子である。
「良かった、無事で…」
ソナタの右肩に抱えられているライノが安堵していた。
それをみてあまりにも情けなくてみんなが笑う。
「も、もうおろしてくださいっ!」
「えぇ?大丈夫なの?」
「まえからおもってましたけどソナタさんってドSですよね!?」
「さぁ、どうだろう?」
再び笑いが起きる中、フラウがあることに気づく。
「あれ?イリアさんは?」
その言葉に場の空気が凍りつく。
一同は辺りを見回すが、イリアの姿は見当たらない。
「あ、あれ、師匠…?」
「どこいったんだ??」
「降りてきたの、4人だけでしたよね?」
「てことはつまり…」
「僕たちはぐれちゃった?」
沈黙。
「まじかよ…」
フラウの言葉にみんなうなだれるしかできなかった。
その日は少し休憩を挟みつつイリアを探しに山を進んだ。
こう言った状況に陥っても焦らないのはイリアの気まぐれな性格に対処してきた賜物だろうか。
「とりあえず、今日はもう夜だし寝床を作ろうか」
フラウの言葉に一同頷く。
こんな状況の中でも冷静なフラウとソナタには本当に感動する3人。
「いやぁ、本当にすごいよなフラウさんとソナタさん」
ライノの言葉に一緒に薪拾いに来たモニカは頷く。
「焦りが全く見えないよね、私なら焦っちゃう」
「歳も4つしか変わらないのに、俺らもあんな風になれるんかな?」
そんな会話をしつつ、両手で薪を抱えるようにしてモニカとライノは立ち上がった。
「さて戻るか」
「そだね」
2人はみんなの集まる場所まで歩いて行った。
一方でフラウはそこらへんにいた動物を狩って、食料の確保をしていた。
ソナタはその捕まえた動物たちを、端から捌いている。
それをみてアリーシャは食事の支度をしつつ、「強いなぁ、この2人は…」と思っていた。
程なくしてモニカとライノが戻ってきた。
ソナタは簡単に料理をして、みんなの目の前に料理を並べた。
「いただきまーす!」
それぞれに食べ始めた。
やはりソナタの料理は美味しかった。
「ソナタさんすごいですね!料理上手です!」
「そんなことないよ」
ソナタはそう言いつつドヤ顔だった。
「まぁ、昔から1人だったからね、これくらいできないと」
そう言ってフラウを見る。
「私は別にいいの!」
相変わらずのやりとりにみんな笑顔を見せた。
こんな状況下でこの空気感、明らかにイリアの影響で麻痺してきているのは言うまでもない。
夕食を食べ終わり、みんな寝床につくことに。
フラウとソナタは交代で見張りをすることにした。
そんな中、モニカとライノは眠っていたが、アリーシャは目を覚ましていた。
「ん?アリーシャ?」
「あ、ソナタさん」
「どしたの?眠れない?」
ソナタの言葉に頷くアリーシャ。
そんなアリーシャを見て、ソナタはポンポンと自分の隣を示す。
アリーシャはおずおずとソナタの隣に座った。
「まぁ、こんな環境の中寝なって言うのも結構酷なことだよね」
「そうですね」
「でもモニカちゃんとライノは眠ってるね、適応力がすごい」
「…。」
アリーシャは俯く。
「あ、あれ、もしかして何かまずいこと言った?」
「あ、いえ…」
ソナタの言葉にアリーシャは弱々しく笑う。
「モニカちゃんもライノも、すごいなぁと思って」
そう言って、アリーシャは淡々と話し始める。
「私、足引っ張ってばかりで、今日も私が足を踏み外さなければイリアさんとはぐれることもなかったですし…」
「…。」
ソナタはアリーシャの方を見て、少し真面目な顔になった。
「魔法の技量も、私は別に大したことなくて…
モニカちゃんは最近すごく成長してて、ライノは元々から魔法のセンスはあってそれは今も変わらないです。
私は、なにも、できません…」
その言葉に、隣にいるソナタが笑った。
「それは嘘だよ、アリーシャちゃん」
「え?」
「回復魔法得意じゃん」
ソナタはそう言って、アリーシャの頭をポンポンと撫でた。
「でも、回復魔法しかできなくて、1人だと戦えないです」
ソナタはそれを聞いて怪訝そうな顔をする。
「なにか問題ある?」
「え?」
「1人で戦わなければいいんだよ」
ソナタの言葉にアリーシャが顔を上げる。
言ってる意味がよくわからなかった。
「固定観念に囚われすぎだよ、用は1人で戦う状況にいかなければいいだけだよ」
「そ、そんなこと…」
できない、そう言おうとしたがソナタが言葉を遮る。
「できるよ、じゃなきゃ僕らだって今まで戦ってこれてない。
戦いの中での立ち回りは非常に大事だよ、1人じゃ戦えないなら仲間を連れてこればいい、それは決して恥ずかしいことでも卑怯なことでもない。
アリーシャちゃんが回復やサポートが得意ならそれを活かせる状況を作ればいいんだよ」
そう言ってソナタは笑った。
「回復魔法しかできない、じゃなくて、回復魔法が使えるのは凄いことだよ」
「ソナタさん…」
ソナタの言葉に、アリーシャは泣きそうな顔になった。
そんなアリーシャの背中をソナタは優しく撫でた。
「安心しなよ、アリーシャも充分強いよ、僕たちみんなが保証する」
「…はい」
アリーシャは頷いて笑った。
「さて、明日もいっぱい歩くだろうからゆっくり休みなよ?」
ソナタの言葉に、アリーシャは寝床についた。
その後、それを密かに聞いていたフラウに中々の時間弄られたことは秘密の話である。
場所はラクライールの森を抜け、少し歩けばその竜の卵がある山に着くとの事だった。
みんなイリアの言葉を信じて歩き始めた。
一向に森から開けた景色に行かない、つまりは未だ森から抜けていない。
予想できた方もいるだろう。
1日目、未だ森から抜けない状態で終了。
ベースキャンプを準備した一同であった。
そして2日目、やっとの思いで森から開けた場所に出ることができた。
モニカたちは喜び、少し足取りが軽くなった。
しかしその矢先、抜けたと思ったら森に再び遭遇。
2日目、天国から地獄へ、再び森の中で1夜を過ごす一同だった。
明くる日の3日目。
やっとの思いで森を抜け、そびえ立つ山を目の前にすでにイリア以外は絶望していた。
「し、師匠…」
モニカは恐る恐るイリアに声をかける。
「ん?なに?」
イリアはモニカの言葉に振り返る。
「まさかと思うんですけど、この山を登るなんて、言わないですよね?」
「登るわよ?」
あっけらかんとした態度で言うイリア。
ぽっかーん。
みんな見事なぽっかーん状態。
「なにその顔?大丈夫よ、たかが標高2万くらいしかない山だから」
たかが、の使い方を明らかに間違えてる数百年生きてきた魔女。
苦笑い通り過ぎて無表情の一同だった。
「これ、1週間あっても登れないんじゃ無いですか?
てか、なんすかこの山、要塞か何かですか?」
フラウはそう言って頭を抱えた。
「3日あれば取って降りてこれるって」
「それは師匠に限っての話です」
モニカの渾身のツッコミだった。
画して、一行は山を登り始めた。イリアは瓶から飛び出したクッションの上に座ってぷかぷかと浮いている。
もちろん、他のメンバーは歩きだ。
フラウとソナタは武闘派ということもあり軽快に登る一方、モニカ、ライノ、アリーシャに関しては魔法以外は不得意のためペースが遅い。
「な、なんであんなに早いんだあの3人は…!」
「私たち運動あんまりしないから、キツイよぉ…!」
「が、がんばろ!2人とも私もがんばるぅうう…」
そんな唸ってる3人をみて、前方組3人は笑っていた。
やがて、少し開けた場所に来た。
「さてさて、お昼にしようかね!」
イリアは瓶から人数分の大きなサンドイッチを取り出した。
やることはいつも突然で突拍子もないが、面倒見がいいのは確かだった。
それぞれにみんなはご飯を食べ始めた。
流石にイリアの料理は絶品である。
「あ、今回中に入ってるマヨネーズと白身魚のペーストは僕が作ったよ」
ソナタの言葉に、他のみんなが絶賛する。
「めちゃくちゃ美味しい!」
「ソナタさんすごいです!」
ライノもアリーシャもご満悦のようだ。
「にしても、あんた本当凄いよね、フラウが作るとダークマターになるのに」
「余計なお世話ですっ!」
イリアの言葉にフラウは頬を膨らませ、他のみんなは笑った。
なんだかんだで笑顔が絶えないそんな仲間たちだった。
しかしこの数十分後、みんなの顔から笑顔が消える事件が起きたのだ。
昼食を食べ、少ししてから一同は再び歩き始めた。
午前とは変わらないペースでそれぞれ進み始める。
だが、やはり運動できない組はペースが落ちてくる。
気づけばかなり離れた距離にいた。
モニカは師匠の無茶振りを受けてるだけあってなんとか歩いている。
ライノも男と言うこともありなんとか同じようにと言う感じである。
問題はアリーシャだった。
3人の中では見るからにひ弱な見た目を裏切ることなく、体力もなかった。
ヘトヘトになりながらなんとかついていくも、モニカとライノにすら距離を離されていた。
(みんな、早すぎるよぉ)
息が荒くなって、足元も覚束ない。
そして、遂に悲劇が起きた。
アリーシャは細い道で足を踏み外し、急な坂を転げ落ちていった。
幸いそんなに高い場所じゃなかったため、少し切り傷があったくらいではあった。
「い、いたた…」
アリーシャはそんな傷を自ら回復した。
こう言う時には自分の得意分野がよく役に立つ。
「傷の回復は大丈夫だけど、疲れた身体とかはなんで回復できないのかなぁ、息切れ回復の魔法とかないのかな…」
なんとも老人のような台詞である。
「アリーシャ!」
遠くから声がしたので振り返ると、フラウがモニカを抱えて降りてきた。
同じようにソナタとライノも。
たくましすぎる2人である。
「大丈夫!?」
「あ、はい!回復したので」
アリーシャは得意げにニコッと笑う。
なかなかにメンタルが強い子である。
「良かった、無事で…」
ソナタの右肩に抱えられているライノが安堵していた。
それをみてあまりにも情けなくてみんなが笑う。
「も、もうおろしてくださいっ!」
「えぇ?大丈夫なの?」
「まえからおもってましたけどソナタさんってドSですよね!?」
「さぁ、どうだろう?」
再び笑いが起きる中、フラウがあることに気づく。
「あれ?イリアさんは?」
その言葉に場の空気が凍りつく。
一同は辺りを見回すが、イリアの姿は見当たらない。
「あ、あれ、師匠…?」
「どこいったんだ??」
「降りてきたの、4人だけでしたよね?」
「てことはつまり…」
「僕たちはぐれちゃった?」
沈黙。
「まじかよ…」
フラウの言葉にみんなうなだれるしかできなかった。
その日は少し休憩を挟みつつイリアを探しに山を進んだ。
こう言った状況に陥っても焦らないのはイリアの気まぐれな性格に対処してきた賜物だろうか。
「とりあえず、今日はもう夜だし寝床を作ろうか」
フラウの言葉に一同頷く。
こんな状況の中でも冷静なフラウとソナタには本当に感動する3人。
「いやぁ、本当にすごいよなフラウさんとソナタさん」
ライノの言葉に一緒に薪拾いに来たモニカは頷く。
「焦りが全く見えないよね、私なら焦っちゃう」
「歳も4つしか変わらないのに、俺らもあんな風になれるんかな?」
そんな会話をしつつ、両手で薪を抱えるようにしてモニカとライノは立ち上がった。
「さて戻るか」
「そだね」
2人はみんなの集まる場所まで歩いて行った。
一方でフラウはそこらへんにいた動物を狩って、食料の確保をしていた。
ソナタはその捕まえた動物たちを、端から捌いている。
それをみてアリーシャは食事の支度をしつつ、「強いなぁ、この2人は…」と思っていた。
程なくしてモニカとライノが戻ってきた。
ソナタは簡単に料理をして、みんなの目の前に料理を並べた。
「いただきまーす!」
それぞれに食べ始めた。
やはりソナタの料理は美味しかった。
「ソナタさんすごいですね!料理上手です!」
「そんなことないよ」
ソナタはそう言いつつドヤ顔だった。
「まぁ、昔から1人だったからね、これくらいできないと」
そう言ってフラウを見る。
「私は別にいいの!」
相変わらずのやりとりにみんな笑顔を見せた。
こんな状況下でこの空気感、明らかにイリアの影響で麻痺してきているのは言うまでもない。
夕食を食べ終わり、みんな寝床につくことに。
フラウとソナタは交代で見張りをすることにした。
そんな中、モニカとライノは眠っていたが、アリーシャは目を覚ましていた。
「ん?アリーシャ?」
「あ、ソナタさん」
「どしたの?眠れない?」
ソナタの言葉に頷くアリーシャ。
そんなアリーシャを見て、ソナタはポンポンと自分の隣を示す。
アリーシャはおずおずとソナタの隣に座った。
「まぁ、こんな環境の中寝なって言うのも結構酷なことだよね」
「そうですね」
「でもモニカちゃんとライノは眠ってるね、適応力がすごい」
「…。」
アリーシャは俯く。
「あ、あれ、もしかして何かまずいこと言った?」
「あ、いえ…」
ソナタの言葉にアリーシャは弱々しく笑う。
「モニカちゃんもライノも、すごいなぁと思って」
そう言って、アリーシャは淡々と話し始める。
「私、足引っ張ってばかりで、今日も私が足を踏み外さなければイリアさんとはぐれることもなかったですし…」
「…。」
ソナタはアリーシャの方を見て、少し真面目な顔になった。
「魔法の技量も、私は別に大したことなくて…
モニカちゃんは最近すごく成長してて、ライノは元々から魔法のセンスはあってそれは今も変わらないです。
私は、なにも、できません…」
その言葉に、隣にいるソナタが笑った。
「それは嘘だよ、アリーシャちゃん」
「え?」
「回復魔法得意じゃん」
ソナタはそう言って、アリーシャの頭をポンポンと撫でた。
「でも、回復魔法しかできなくて、1人だと戦えないです」
ソナタはそれを聞いて怪訝そうな顔をする。
「なにか問題ある?」
「え?」
「1人で戦わなければいいんだよ」
ソナタの言葉にアリーシャが顔を上げる。
言ってる意味がよくわからなかった。
「固定観念に囚われすぎだよ、用は1人で戦う状況にいかなければいいだけだよ」
「そ、そんなこと…」
できない、そう言おうとしたがソナタが言葉を遮る。
「できるよ、じゃなきゃ僕らだって今まで戦ってこれてない。
戦いの中での立ち回りは非常に大事だよ、1人じゃ戦えないなら仲間を連れてこればいい、それは決して恥ずかしいことでも卑怯なことでもない。
アリーシャちゃんが回復やサポートが得意ならそれを活かせる状況を作ればいいんだよ」
そう言ってソナタは笑った。
「回復魔法しかできない、じゃなくて、回復魔法が使えるのは凄いことだよ」
「ソナタさん…」
ソナタの言葉に、アリーシャは泣きそうな顔になった。
そんなアリーシャの背中をソナタは優しく撫でた。
「安心しなよ、アリーシャも充分強いよ、僕たちみんなが保証する」
「…はい」
アリーシャは頷いて笑った。
「さて、明日もいっぱい歩くだろうからゆっくり休みなよ?」
ソナタの言葉に、アリーシャは寝床についた。
その後、それを密かに聞いていたフラウに中々の時間弄られたことは秘密の話である。
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