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Break Time Story 伝説の食材を求めて
成長した2人
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次の日、再び山を進む一向はイリアを探しつつ竜の巣を探す。
「もー、イリアさんどこにいったんよー!」
静かな山の中に、フラウの声が響き渡る。
イリアの姿は一向に見当たらない。
「本当にこの山にドラゴンなんているの?」
「確かに、そもそもドラゴンを見たことないなぁ、僕…」
フラウの言葉にソナタは苦笑いを浮かべた。
「と、ところで、なんですけど…」
そんな2人の後ろから、おずおずと声をかけるアリーシャ。
「どしたの?」
「えっとですね、このまま普通に会話してるみたいに聞いてて欲しいんですけど…」
「…?」
アリーシャの言葉にフラウは首を傾げる。
しかし、次の言葉でフラウだけでなく他のみんなにも緊張が走る。
「ついさっきからずっと一定の距離を保って私たちの様子を魔物が伺ってます」
アリーシャはなんとも言えない表情で話した。
「え、全く気付かなかったけど、本当?」
「あ、はい、私そう言う気配を察知するのが割と敏感みたいで…」
その言葉に驚くモニカとライノ。
そして申し訳なさそうに笑みを浮かべてるアリーシャを見て、ニコッと笑うソナタ。
「ねぇアリーシャ、その魔物はどれだけいるかわかる?」
「少なくとも、20体ほどはいます。
習性を考えると知能の高いドラゴンウルフだと思います」
ドラゴンウルフとは、集団で行動する一応ではあるがドラゴンの一種である。
完全に気配を消し、相手の様子を伺い襲う習性がある。
この一瞬でそれを見破ったアリーシャの頭をソナタは撫でた。
「僕ら暗殺者ですら気付けないことをよく気付いたね」
「魔物の気配は独特ですから、人間とはまた違ってるんです」
そう言ってアリーシャは少し得意気に笑った。
「ありがとうアリーシャ、さて、どうしたものか」
歩く速度を変えず、ソナタは周りの様子を伺う。
確かに、なんとなく獣臭い臭いがする。
「ドラゴンウルフは連携は得意ですけど逆に奇襲には弱いはずです」
アリーシャの言葉に次はライノが反応する。
「なぁ、アリーシャ、一番ドラゴンウルフが密集してるのってどの辺?」
何故そんなことを、と言うような顔でライノを見る一同。
「えと、右斜前のほうかな?10体くらい固まってる」
「わかった」
ライノは懐に手を入れた。
「用はこちらから攻撃すれば良いんだよな?」
そう言うとライノは素早く杖を出し、詠唱した。
その間数秒の出来事で、ドラゴンウルフは反応していない。
「ウィンドウストーム!」
言われた方向に魔法を放つライノ。
木々は薙ぎ倒され、そこにいたドラゴンウルフ達は吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
そして、続け様に声を上げる。
「ストームレイ!」
地面から風の柱が何本も周りに飛んでいく。
周りにいたドラゴンウルフは宙に飛ばされ、やがて同じように地面に叩きつけられていた。
「どんなもんよ!」
ライノはニコッと笑う。
モニカは明らかなライノの成長に素直に驚いていた。
「待ってライノ!まだいるよ!」
1匹残っていたドラゴンウルフがライノに飛びかかる。
「うわぁ!?」
ライノは両手で身を守ろうとする。
しかし、ドラゴンウルフの攻撃はライノに届くことなく、フラウの手によって殴り飛ばされた。
「最後まで気を抜かなければ100点だったね」
ライノを見てフラウはニヤッと笑った。
「わ、わかってましたよ!一体残ってたこと!」
顔を真赤にしてライノは地団駄を踏んだ。
(フラウさん、あの距離から一瞬で)
ただその様子をモニカは別の観点から見てた。
フラウからライノまでの距離は遠かった。
もちろん1体残っていたのはアリーシャしか気づいていなかった。
そのアリーシャの声を聞いてから動いたとしても物凄い反射神経だった。
(すごい、フラウさん)
密かに感激していたモニカだった。
ドラゴンウルフの襲撃(?)を乗り越えた一向はさらに山を進んでいた。
相変わらずイリアの姿は見当たらないしドラゴンもいない。
どうでも良いゴブリンやらの魔物が何度か襲ってきたが難なく進んでいく。
「なんか、手応えのない魔物ばかりね。
さっきも言っけどドラゴンいるのかね?」
「んー、どうだろうねぇ…」
あれからもう4日は経とうとしている。
「そもそも山頂にいるもんなの?」
「さぁ?もしかしたら何でもない中腹にいるかも…」
「みなさん!少し黙ってください!」
アリーシャの言葉に全員が固まる。
何事かと思いモニカはアリーシャの方を見る。
アリーシャは口元を両手で押さえて一点を見つめている。
恐る恐るモニカもその目線の先を目を凝らして見る。
怪しげな光が2つ見える、それと同時に低い唸り声も…。
(な、なに、あれ!?)
次の瞬間、轟音と共に周りの木々が薙ぎ倒された。
「あ、あぶなっ!?」
フラウとソナタのお陰で全員辛うじて避けた。
そして、薙ぎ倒された木々の先からその姿が露わになる。
紛れもなくドラゴンの姿がそこにあった。
「ま、マジで?」
「あれが、ドラゴン?」
フラウとソナタもその迫力に後退りをする。
低い唸り声が身体の芯に響く、モニカはその迫力に動けない。
「ど、どうする?」
フラウの言葉にソナタは苦笑いを浮かべる。
「これは、流石にまずいね…」
そう言ってソナタは懐から針を数本取り出す。
「聞くかどうかわからないけど、弱体をかけるよ…」
ソナタはその針をドラゴンに向かって投げる。
しかし、ドラゴンの硬い皮膚に弾かれる。
「はは、冗談でしょ…」
その攻撃で激昂したドラゴンはソナタに向かって腕を振り下ろす。
「くっ!?」
ソナタは持ち前の身軽さでそれを躱す、しかしドラゴンの攻撃は続く。
「危ないってば!」
何とか躱していたが、ついにドラゴンの爪がソナタの脇腹をかすめた。
「ぐっ!?」
「ソナタさん!」
かすっただけ、だがその傷はかなりの深傷だった。
「こ、これは、死ぬかも…」
その場に膝をつくソナタ。
それを見てフラウはソナタを抱えてすぐに距離を取る。
「まずったね」
「かすっただけで、こんなになるの!?」
傷を見たフラウはすぐにアリーシャを呼んだ。
アリーシャは動揺しながらも回復をかける。
その様子を見てフラウはドラゴンを睨みつけて立ち上がる。
「フラウさん?」
アリーシャは不安そうにフラウを見上げる。
「どこまで通用するかわからないけど…」
フラウは手につけていたグローブをもう一度しっかりと付け直す。
「勝負といこうか、ドラゴンさん」
「もー、イリアさんどこにいったんよー!」
静かな山の中に、フラウの声が響き渡る。
イリアの姿は一向に見当たらない。
「本当にこの山にドラゴンなんているの?」
「確かに、そもそもドラゴンを見たことないなぁ、僕…」
フラウの言葉にソナタは苦笑いを浮かべた。
「と、ところで、なんですけど…」
そんな2人の後ろから、おずおずと声をかけるアリーシャ。
「どしたの?」
「えっとですね、このまま普通に会話してるみたいに聞いてて欲しいんですけど…」
「…?」
アリーシャの言葉にフラウは首を傾げる。
しかし、次の言葉でフラウだけでなく他のみんなにも緊張が走る。
「ついさっきからずっと一定の距離を保って私たちの様子を魔物が伺ってます」
アリーシャはなんとも言えない表情で話した。
「え、全く気付かなかったけど、本当?」
「あ、はい、私そう言う気配を察知するのが割と敏感みたいで…」
その言葉に驚くモニカとライノ。
そして申し訳なさそうに笑みを浮かべてるアリーシャを見て、ニコッと笑うソナタ。
「ねぇアリーシャ、その魔物はどれだけいるかわかる?」
「少なくとも、20体ほどはいます。
習性を考えると知能の高いドラゴンウルフだと思います」
ドラゴンウルフとは、集団で行動する一応ではあるがドラゴンの一種である。
完全に気配を消し、相手の様子を伺い襲う習性がある。
この一瞬でそれを見破ったアリーシャの頭をソナタは撫でた。
「僕ら暗殺者ですら気付けないことをよく気付いたね」
「魔物の気配は独特ですから、人間とはまた違ってるんです」
そう言ってアリーシャは少し得意気に笑った。
「ありがとうアリーシャ、さて、どうしたものか」
歩く速度を変えず、ソナタは周りの様子を伺う。
確かに、なんとなく獣臭い臭いがする。
「ドラゴンウルフは連携は得意ですけど逆に奇襲には弱いはずです」
アリーシャの言葉に次はライノが反応する。
「なぁ、アリーシャ、一番ドラゴンウルフが密集してるのってどの辺?」
何故そんなことを、と言うような顔でライノを見る一同。
「えと、右斜前のほうかな?10体くらい固まってる」
「わかった」
ライノは懐に手を入れた。
「用はこちらから攻撃すれば良いんだよな?」
そう言うとライノは素早く杖を出し、詠唱した。
その間数秒の出来事で、ドラゴンウルフは反応していない。
「ウィンドウストーム!」
言われた方向に魔法を放つライノ。
木々は薙ぎ倒され、そこにいたドラゴンウルフ達は吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
そして、続け様に声を上げる。
「ストームレイ!」
地面から風の柱が何本も周りに飛んでいく。
周りにいたドラゴンウルフは宙に飛ばされ、やがて同じように地面に叩きつけられていた。
「どんなもんよ!」
ライノはニコッと笑う。
モニカは明らかなライノの成長に素直に驚いていた。
「待ってライノ!まだいるよ!」
1匹残っていたドラゴンウルフがライノに飛びかかる。
「うわぁ!?」
ライノは両手で身を守ろうとする。
しかし、ドラゴンウルフの攻撃はライノに届くことなく、フラウの手によって殴り飛ばされた。
「最後まで気を抜かなければ100点だったね」
ライノを見てフラウはニヤッと笑った。
「わ、わかってましたよ!一体残ってたこと!」
顔を真赤にしてライノは地団駄を踏んだ。
(フラウさん、あの距離から一瞬で)
ただその様子をモニカは別の観点から見てた。
フラウからライノまでの距離は遠かった。
もちろん1体残っていたのはアリーシャしか気づいていなかった。
そのアリーシャの声を聞いてから動いたとしても物凄い反射神経だった。
(すごい、フラウさん)
密かに感激していたモニカだった。
ドラゴンウルフの襲撃(?)を乗り越えた一向はさらに山を進んでいた。
相変わらずイリアの姿は見当たらないしドラゴンもいない。
どうでも良いゴブリンやらの魔物が何度か襲ってきたが難なく進んでいく。
「なんか、手応えのない魔物ばかりね。
さっきも言っけどドラゴンいるのかね?」
「んー、どうだろうねぇ…」
あれからもう4日は経とうとしている。
「そもそも山頂にいるもんなの?」
「さぁ?もしかしたら何でもない中腹にいるかも…」
「みなさん!少し黙ってください!」
アリーシャの言葉に全員が固まる。
何事かと思いモニカはアリーシャの方を見る。
アリーシャは口元を両手で押さえて一点を見つめている。
恐る恐るモニカもその目線の先を目を凝らして見る。
怪しげな光が2つ見える、それと同時に低い唸り声も…。
(な、なに、あれ!?)
次の瞬間、轟音と共に周りの木々が薙ぎ倒された。
「あ、あぶなっ!?」
フラウとソナタのお陰で全員辛うじて避けた。
そして、薙ぎ倒された木々の先からその姿が露わになる。
紛れもなくドラゴンの姿がそこにあった。
「ま、マジで?」
「あれが、ドラゴン?」
フラウとソナタもその迫力に後退りをする。
低い唸り声が身体の芯に響く、モニカはその迫力に動けない。
「ど、どうする?」
フラウの言葉にソナタは苦笑いを浮かべる。
「これは、流石にまずいね…」
そう言ってソナタは懐から針を数本取り出す。
「聞くかどうかわからないけど、弱体をかけるよ…」
ソナタはその針をドラゴンに向かって投げる。
しかし、ドラゴンの硬い皮膚に弾かれる。
「はは、冗談でしょ…」
その攻撃で激昂したドラゴンはソナタに向かって腕を振り下ろす。
「くっ!?」
ソナタは持ち前の身軽さでそれを躱す、しかしドラゴンの攻撃は続く。
「危ないってば!」
何とか躱していたが、ついにドラゴンの爪がソナタの脇腹をかすめた。
「ぐっ!?」
「ソナタさん!」
かすっただけ、だがその傷はかなりの深傷だった。
「こ、これは、死ぬかも…」
その場に膝をつくソナタ。
それを見てフラウはソナタを抱えてすぐに距離を取る。
「まずったね」
「かすっただけで、こんなになるの!?」
傷を見たフラウはすぐにアリーシャを呼んだ。
アリーシャは動揺しながらも回復をかける。
その様子を見てフラウはドラゴンを睨みつけて立ち上がる。
「フラウさん?」
アリーシャは不安そうにフラウを見上げる。
「どこまで通用するかわからないけど…」
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