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はじまり
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ここはハルナン王国。
小さな国で、地図でいうと、北すぎず、南すぎず、ちょうど良いところにあって、海に囲まれているんだ。
この国はちょっと雨が多くて、でもカラッとした日もあって、暖かいから、作物はよく育つ方だよ。
食べ物は、稲作が盛んで、主食はお米。
肉はあまり食べないけど、鶏の卵や魚をよく食べるよ。
災害は、この国にある特別な魔法団体が制御していて、水害もなければ地震も雷もないよ。唯一火山の噴火だけは防げないけど、火山の近くには、人は住んでないよ。
さて、この国は南北にやや長いけど、ちょっと北のほうに、有名な学園があるんだ。「イリス学園」って言って、とっっっても国から大事にされている魔法使いの学園だよ。さっき、魔法団体の話を少し出したけど、その魔法団体の人たちは、みんなこのイリス学園を卒業した選ばれた人たちなんだよ。大事にされるのもわかるよね。
さて、舞台はこのイリス学園。
イリス学園は、7歳から30歳までが通える、小中高大一貫校で、中学から、や高校から、それから大学からや編入学もできるところだよ。魔法の素質が見つかり次第、29歳までならいつでも入学できる、魔法使いをとても大切にしている学園なんだ。
今回は、高等部のお話だよ。
主人公は、高等部2年のエリオット。好奇心旺盛で成績はフツウ。背はちょっと低い方で、気にしてるみたいだよ。たまに好奇心にかられて授業をサボっちゃうのが悪いクセ。
今日も、好奇心いっぱいに、昼休みに広い学園内を冒険もとい散策中。
魔法で空を飛びたいけど、このエリオット、MPが極端に少なくて、使うのがもったいないので温存中。自分の足で歩きます。
「エリオット、何してるんだい?」
なんて聞いてくる人はもはや一人もおらず、「いつものこと」として、誰にも気にも止められない。でも気にしないのがエリオット。え?友達いないのかって?うん、あんまりね。ちょっと浮いた存在で、よく授業中、MP不足で魔法が空振りしてはクスクス笑われてるよ。でも気にしない。
今日もマイペースに散策中…と、気づいたら、知らないところに出ていたよ。
なんだか、木以外何もなくてひらけてるんだけど、薄暗くて、気味悪いところだね。こんなところあったんだ。
エリオットもこんな薄気味悪いところは嫌だろうから、引き返すかなって思ったけど、ますます好奇心わいちゃったみたい。どんどん先に進んでいくよ。
なんか、遺跡みたいなところについちゃった。変な石像が並んでて、その石像にそって道になってる。エリオット、これ以上行くの…?行くんだね…。何があっても知らないよ。
10分ほど歩くと、岩でできたほこらみたいなのがあったよ。
なんの建物だろう。何かお札みたいなのが貼ってあって、鎖で封鎖されてるよ。何か怪物でも封印されてるような雰囲気だよ。エリオット、近づかない方が良いよ!って、何お札に手をかけてるのさ!あ、はがしちゃだめ、だめだよ!ああ~~っ!
辺りがパァーっと眩しくなり、エリオットは思わず後ろを向いて、光を防いだよ。光は10秒くらいでおさまったけど、岩のほこらはどうなってるだろう…いや、怪物、怪物は?!エリオット、気をつけて!
と思ったけど、何もないみたい。
そのかわり、岩のほこらのお札が貼ってあったところに、小さな扉ができてたよ。ねえ、中に入ってみる?…よね。そうだと思った。
きぃ、と小さな音を立てて扉を開けると、外観からは想像もつかない、というか、大きさも釣り合ってないような、立派な部屋があったよ。どうなってるんだろう。魔法?!魔法なのか?!なんでもできていいな!
部屋は、なんだかお金持ちの小さな子が住んでるみたいな、天がい付きのベッドがあったり、ぬいぐるみがたくさんあったりという感じかな。窓はさすがになくて、天井についたライトが、明るく揺れているよ。なんだか生きてるみたい。
失礼しまーす。
とばかりに入ってみたけど、人の気配ないね。エリオットは大きなくまのぬいぐるみをポンポンと叩いたよ。なんだかいい香りがするね。でもエリオットは嫌な顔。どうしたの?
「女の匂いがする。」
え?どういうこと?
「女は嫌いだ。さっさと出よう。」
え、ちょっと待って、ここまで来て、ちょっと面白そうかなー、とか思ってたのに、急に出るって、え?女嫌い?本当に?いかにも好きそうな顔してるよ?本当にそうなの?え、待って、待って~~!
「待って!!!」
ピカッ!
うわっ!急にまた辺りが明るくなったよ!っていうか、今、待って!って言ったの誰?!周りは見えないし、変な声するし、怖いよ~~!
30秒くらいして、やっと光がおさまったよ。今回は長かったね。エリオット、大丈夫…って、おい!
エリオットの背中には、なんと、女の子が抱きついていた。
いや、見なかったことに…できないよ!
何このシチュエーション!
学園もので、いきなり抱きつき?!ラブコメだったのかよこれ?!
ええいっ、離れろ、離れろ~~!
「は、離れろ~~~~!」
ほら、エリオットも絶叫してることだし、離れてあげて。
落ち着いた?
まず、さっきいた部屋で向かい合っているお二人さん。お見合いかよ!
女の子の方の外観を紹介すると、なんて言ったらいいんだろ。キレーな栗色の髪と瞳。目は大きくて、可愛いと言っていいんじゃないかな。背は小さくて、中学生かな?いいねえ、お似合いだよ、お二人さん。
「俺は嫌だ!」
え?聞こえたの、このナレーション?
「お前とくっついて一生暮らせだって?冗談じゃない。」
ああ、女の子の方が何か言ったのね。
「お願いしマス!あなたしか頼めるヒトいないネ!」
ちょっとなまってるね、この子。
「私、チカラ強すぎ、だから、チカラ足りないあなたと共有したい!それには体くっつくこと必要!」
え、待って待って、話しが見えないんだけど。まず、エリオットは、MPが不足してて、魔法がよく不発するのは知ってるよ。で、女の子の方は、要するにMPが有り余ってるってこと?それって何がいけないの?
「私、このチカラのせいで、ココ、閉じ込められてる。私のチカラ、体の外に漏れて、静電気みたいにビリビリしてる。トッテモ危険。」
あー、なるほど。
「でも、あなた、現れた。あなた、常にチカラ必要としてる。あなた、チカラ与えても与えても出て行く。だから、いつもチカラ不足してる。私にはワカル。」
そうなの?エリオットって、もともとMPが少ないんじゃなくて、作っても作っても、体の外に出て行くから、いつもMP不足だったんだ。なんでわかるの?
「私、チカラたくさん作るのと、チカラの動き、見える。」
へぇー。本当にいろんな人がいるんだな。よかったね、エリオット。MP少ない原因がわかって。
で、エリオットと女の子が、MPを共有すれば、双方の不都合が解消されると。エリオットはMPが補われるし、女の子の方は作りすぎたMPを放出できて、ビリビリ静電気みたいなのを放たなくて済むと。
うん、いい条件じゃん。
エリオット、飲んじゃえよ。
「俺は嫌だ。」
えー、まだそんなこと言ってんの?
「俺は女が嫌いなんだ。なんでその女とくっつかなきゃならないんだ。」
えー。ここまでくると、ただの照れにしか聞こえないよ。
「たまにで良いの!お願い!」
ほらほら、こんなに可愛い子がお願いしてるんだから、聞いてあげなよ男だろ?
コツ、コツ
ん?
何?足音?誰か来た?!エリオット!
「ちょうど良いな」
え?誰?
誰だこのジイさん。
「おほん。そこの男子生徒。えー、名前はなんじゃったかな。」
えっ、知らない人に名前なんて教えない方がいいよ!
「なんじゃ。何故黙っておる。答えんか。わしはこの学園の校長じゃぞ。」
あ、なんだ校長か…って、やばいんじゃないの、この状況。学園内の怪しい場所、しかもお札貼ってあるのはがしたんだよ!なんかすっごく嫌な予感がするんだけど。大丈夫?!
「答えんなら調べさせてもらう。」
そう言って、校長と名乗るジイさんは、エリオットの頭に手をかざし、気を込め始めた。
「ふむふむ。エリオットというんじゃな。状況やお前さんの気持ちも少し読み取らせてもらった。」
「ねえ校長、いいでしょ!私をココから出しテ!」
「ふむ。お前さんは2年前、チカラの暴走で生徒に怪我をさせたことがあったな。」
「でも、エリオットが一緒なら大丈夫!私暴走するの、防いでくれル!」
「そうじゃな。ちょうどよいと言ったのも、それなのじゃ。これからは二人協力して、仲良くやるがよい。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は嫌です!」
「ほうほう、お前さんの記憶も少し見せてもらった。たしかに嫌な記憶を持っとるようじゃの。じゃが、お前さんの気持ちは裏腹じゃ。もうお前さんはすでにこの状況を受け入れとる。それに、少しよこしまな感情もあるの。」
「な、何言ってんだよ!俺は本当に…」
「ああ、わかったわかった。わしにも考えがある。お前さんら、高等部と中等部で、普段は別々。常にいっしょにいるわけにもいかんからの。こういう日のために、わしもちょっとだけ気を配って、こういうものを作らせておいた。」
そう言って校長は、金色の細い腕輪を取り出したよ。なんか高そうだけど、何のための腕輪だろう。
「これは、魔力を共有する腕輪。つけた二人がお互いに魔力を補い合うために作られたもので、世界に三つとない、貴重な宝物じゃ。さあ、これをつけるがよい。」
そういって、校長は二人に一つづつ、金の腕輪を渡したよ。
これで、くっつかずに魔力を共有できるんだね。
本当?
「本当!持ってるだけで、もうチカラ、流れてル!」
女の子が言うんだから、本当なのかな。なんだか上手いこといきすぎてて、疑わしいけど、これでやって行くしかないよね?
そういえば、校長ってば、なんでここへ来たんだろう?
「この学園には、このように封印されたほこらはいくつかあるが」
いくつもあるんかい!
「どの封印が破られても、ちゃーんとセンサーがついておってな。わかるようになっておる。」
あー、なるほど。
「じゃから、今後は一切封印を解こうなどと考えてはいかん。なにせ、今回は良かったが、ほかところには、何が封印されとるのか、先代のやったことで、わしにもよくわからんのじゃ。もし封印を解いたところで、何があっても、わしゃ知らんからの。」
しらんからの、って、無責任な…。
女の子は、2年前に生徒に怪我をさせたって言ってたけど、封印されてたのは、その罰としてなの?酷くない?
「そなたの封印は、わしとしても不本意だったのじゃが、何せ怪我をさせたのが魔法団体の長の息子だったものでのう。権力とは怖いものじゃ。長へはわしから説明しておこう。もう、2年も経つのじゃ。長も許しておろう。」
ちょ、ちょっと待って!魔法団体って、そんな酷い人がいるところなの?!
しかも、その息子は今もこの学園にいるの?!
「その子、まだいルの?」
「学園内にはいるが、何せ優秀でのう。既に16歳にして大学院に通っとる。さすがと言うべきか、じゃから、同じ中等部にはもうおらん。会うことももうないじゃろう。安心するがよい。」
「良かった…。でもちょっと謝りたかったかな。」
いい子だなあ。そのせいで封印されてたのに。
「やめた方がよい。きやつは根に持ちそうなやつでの。ネチネチしておる。何されるかわからんぞい。」
…校長も何かされたのかな。
何はともあれ、一件落着、なのかな?
そう言えば、エリオットってばさっきから黙ってるけど、大丈夫?
「行動が制限されることはないのか?何メートル以上離れられないとか…。」
「ないの。大丈夫じゃ。プラチナバンドじゃ。」
何言ってんのこのジイさん。
エリオット、不服そうだけど、しょうがないね。それに、もしかしたら魔法、うまく使えるようになるかもよ?
あとで早速試してみようよ!ね?
あ!
大事なこと忘れてるよ?
「名前は?」
そう!女の子の名前!
「私、ミカヅキ言うネ!よろしくネ!」
ミカヅキか、変わった名前だね。
異国の子なのかな。
「私、はるか東から父さまの事情で来た。変な名前、思ってる?」
「い、いや、そうは思わないが…。」
「ホント?!じゃあ私タチ、今日から友達ネ!」
「………。」
照れてる?照れてるんだ!エリオットってば、やっぱり嫌じゃないんだ!
「俺は嫌だからな!」
「わかってるヨ!」
そう言って、ミカヅキはエリオットに抱きついたよ。
「…青春じゃの。」
一話、終わり。
読んでいただき、ありがとうございます。
小さな国で、地図でいうと、北すぎず、南すぎず、ちょうど良いところにあって、海に囲まれているんだ。
この国はちょっと雨が多くて、でもカラッとした日もあって、暖かいから、作物はよく育つ方だよ。
食べ物は、稲作が盛んで、主食はお米。
肉はあまり食べないけど、鶏の卵や魚をよく食べるよ。
災害は、この国にある特別な魔法団体が制御していて、水害もなければ地震も雷もないよ。唯一火山の噴火だけは防げないけど、火山の近くには、人は住んでないよ。
さて、この国は南北にやや長いけど、ちょっと北のほうに、有名な学園があるんだ。「イリス学園」って言って、とっっっても国から大事にされている魔法使いの学園だよ。さっき、魔法団体の話を少し出したけど、その魔法団体の人たちは、みんなこのイリス学園を卒業した選ばれた人たちなんだよ。大事にされるのもわかるよね。
さて、舞台はこのイリス学園。
イリス学園は、7歳から30歳までが通える、小中高大一貫校で、中学から、や高校から、それから大学からや編入学もできるところだよ。魔法の素質が見つかり次第、29歳までならいつでも入学できる、魔法使いをとても大切にしている学園なんだ。
今回は、高等部のお話だよ。
主人公は、高等部2年のエリオット。好奇心旺盛で成績はフツウ。背はちょっと低い方で、気にしてるみたいだよ。たまに好奇心にかられて授業をサボっちゃうのが悪いクセ。
今日も、好奇心いっぱいに、昼休みに広い学園内を冒険もとい散策中。
魔法で空を飛びたいけど、このエリオット、MPが極端に少なくて、使うのがもったいないので温存中。自分の足で歩きます。
「エリオット、何してるんだい?」
なんて聞いてくる人はもはや一人もおらず、「いつものこと」として、誰にも気にも止められない。でも気にしないのがエリオット。え?友達いないのかって?うん、あんまりね。ちょっと浮いた存在で、よく授業中、MP不足で魔法が空振りしてはクスクス笑われてるよ。でも気にしない。
今日もマイペースに散策中…と、気づいたら、知らないところに出ていたよ。
なんだか、木以外何もなくてひらけてるんだけど、薄暗くて、気味悪いところだね。こんなところあったんだ。
エリオットもこんな薄気味悪いところは嫌だろうから、引き返すかなって思ったけど、ますます好奇心わいちゃったみたい。どんどん先に進んでいくよ。
なんか、遺跡みたいなところについちゃった。変な石像が並んでて、その石像にそって道になってる。エリオット、これ以上行くの…?行くんだね…。何があっても知らないよ。
10分ほど歩くと、岩でできたほこらみたいなのがあったよ。
なんの建物だろう。何かお札みたいなのが貼ってあって、鎖で封鎖されてるよ。何か怪物でも封印されてるような雰囲気だよ。エリオット、近づかない方が良いよ!って、何お札に手をかけてるのさ!あ、はがしちゃだめ、だめだよ!ああ~~っ!
辺りがパァーっと眩しくなり、エリオットは思わず後ろを向いて、光を防いだよ。光は10秒くらいでおさまったけど、岩のほこらはどうなってるだろう…いや、怪物、怪物は?!エリオット、気をつけて!
と思ったけど、何もないみたい。
そのかわり、岩のほこらのお札が貼ってあったところに、小さな扉ができてたよ。ねえ、中に入ってみる?…よね。そうだと思った。
きぃ、と小さな音を立てて扉を開けると、外観からは想像もつかない、というか、大きさも釣り合ってないような、立派な部屋があったよ。どうなってるんだろう。魔法?!魔法なのか?!なんでもできていいな!
部屋は、なんだかお金持ちの小さな子が住んでるみたいな、天がい付きのベッドがあったり、ぬいぐるみがたくさんあったりという感じかな。窓はさすがになくて、天井についたライトが、明るく揺れているよ。なんだか生きてるみたい。
失礼しまーす。
とばかりに入ってみたけど、人の気配ないね。エリオットは大きなくまのぬいぐるみをポンポンと叩いたよ。なんだかいい香りがするね。でもエリオットは嫌な顔。どうしたの?
「女の匂いがする。」
え?どういうこと?
「女は嫌いだ。さっさと出よう。」
え、ちょっと待って、ここまで来て、ちょっと面白そうかなー、とか思ってたのに、急に出るって、え?女嫌い?本当に?いかにも好きそうな顔してるよ?本当にそうなの?え、待って、待って~~!
「待って!!!」
ピカッ!
うわっ!急にまた辺りが明るくなったよ!っていうか、今、待って!って言ったの誰?!周りは見えないし、変な声するし、怖いよ~~!
30秒くらいして、やっと光がおさまったよ。今回は長かったね。エリオット、大丈夫…って、おい!
エリオットの背中には、なんと、女の子が抱きついていた。
いや、見なかったことに…できないよ!
何このシチュエーション!
学園もので、いきなり抱きつき?!ラブコメだったのかよこれ?!
ええいっ、離れろ、離れろ~~!
「は、離れろ~~~~!」
ほら、エリオットも絶叫してることだし、離れてあげて。
落ち着いた?
まず、さっきいた部屋で向かい合っているお二人さん。お見合いかよ!
女の子の方の外観を紹介すると、なんて言ったらいいんだろ。キレーな栗色の髪と瞳。目は大きくて、可愛いと言っていいんじゃないかな。背は小さくて、中学生かな?いいねえ、お似合いだよ、お二人さん。
「俺は嫌だ!」
え?聞こえたの、このナレーション?
「お前とくっついて一生暮らせだって?冗談じゃない。」
ああ、女の子の方が何か言ったのね。
「お願いしマス!あなたしか頼めるヒトいないネ!」
ちょっとなまってるね、この子。
「私、チカラ強すぎ、だから、チカラ足りないあなたと共有したい!それには体くっつくこと必要!」
え、待って待って、話しが見えないんだけど。まず、エリオットは、MPが不足してて、魔法がよく不発するのは知ってるよ。で、女の子の方は、要するにMPが有り余ってるってこと?それって何がいけないの?
「私、このチカラのせいで、ココ、閉じ込められてる。私のチカラ、体の外に漏れて、静電気みたいにビリビリしてる。トッテモ危険。」
あー、なるほど。
「でも、あなた、現れた。あなた、常にチカラ必要としてる。あなた、チカラ与えても与えても出て行く。だから、いつもチカラ不足してる。私にはワカル。」
そうなの?エリオットって、もともとMPが少ないんじゃなくて、作っても作っても、体の外に出て行くから、いつもMP不足だったんだ。なんでわかるの?
「私、チカラたくさん作るのと、チカラの動き、見える。」
へぇー。本当にいろんな人がいるんだな。よかったね、エリオット。MP少ない原因がわかって。
で、エリオットと女の子が、MPを共有すれば、双方の不都合が解消されると。エリオットはMPが補われるし、女の子の方は作りすぎたMPを放出できて、ビリビリ静電気みたいなのを放たなくて済むと。
うん、いい条件じゃん。
エリオット、飲んじゃえよ。
「俺は嫌だ。」
えー、まだそんなこと言ってんの?
「俺は女が嫌いなんだ。なんでその女とくっつかなきゃならないんだ。」
えー。ここまでくると、ただの照れにしか聞こえないよ。
「たまにで良いの!お願い!」
ほらほら、こんなに可愛い子がお願いしてるんだから、聞いてあげなよ男だろ?
コツ、コツ
ん?
何?足音?誰か来た?!エリオット!
「ちょうど良いな」
え?誰?
誰だこのジイさん。
「おほん。そこの男子生徒。えー、名前はなんじゃったかな。」
えっ、知らない人に名前なんて教えない方がいいよ!
「なんじゃ。何故黙っておる。答えんか。わしはこの学園の校長じゃぞ。」
あ、なんだ校長か…って、やばいんじゃないの、この状況。学園内の怪しい場所、しかもお札貼ってあるのはがしたんだよ!なんかすっごく嫌な予感がするんだけど。大丈夫?!
「答えんなら調べさせてもらう。」
そう言って、校長と名乗るジイさんは、エリオットの頭に手をかざし、気を込め始めた。
「ふむふむ。エリオットというんじゃな。状況やお前さんの気持ちも少し読み取らせてもらった。」
「ねえ校長、いいでしょ!私をココから出しテ!」
「ふむ。お前さんは2年前、チカラの暴走で生徒に怪我をさせたことがあったな。」
「でも、エリオットが一緒なら大丈夫!私暴走するの、防いでくれル!」
「そうじゃな。ちょうどよいと言ったのも、それなのじゃ。これからは二人協力して、仲良くやるがよい。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は嫌です!」
「ほうほう、お前さんの記憶も少し見せてもらった。たしかに嫌な記憶を持っとるようじゃの。じゃが、お前さんの気持ちは裏腹じゃ。もうお前さんはすでにこの状況を受け入れとる。それに、少しよこしまな感情もあるの。」
「な、何言ってんだよ!俺は本当に…」
「ああ、わかったわかった。わしにも考えがある。お前さんら、高等部と中等部で、普段は別々。常にいっしょにいるわけにもいかんからの。こういう日のために、わしもちょっとだけ気を配って、こういうものを作らせておいた。」
そう言って校長は、金色の細い腕輪を取り出したよ。なんか高そうだけど、何のための腕輪だろう。
「これは、魔力を共有する腕輪。つけた二人がお互いに魔力を補い合うために作られたもので、世界に三つとない、貴重な宝物じゃ。さあ、これをつけるがよい。」
そういって、校長は二人に一つづつ、金の腕輪を渡したよ。
これで、くっつかずに魔力を共有できるんだね。
本当?
「本当!持ってるだけで、もうチカラ、流れてル!」
女の子が言うんだから、本当なのかな。なんだか上手いこといきすぎてて、疑わしいけど、これでやって行くしかないよね?
そういえば、校長ってば、なんでここへ来たんだろう?
「この学園には、このように封印されたほこらはいくつかあるが」
いくつもあるんかい!
「どの封印が破られても、ちゃーんとセンサーがついておってな。わかるようになっておる。」
あー、なるほど。
「じゃから、今後は一切封印を解こうなどと考えてはいかん。なにせ、今回は良かったが、ほかところには、何が封印されとるのか、先代のやったことで、わしにもよくわからんのじゃ。もし封印を解いたところで、何があっても、わしゃ知らんからの。」
しらんからの、って、無責任な…。
女の子は、2年前に生徒に怪我をさせたって言ってたけど、封印されてたのは、その罰としてなの?酷くない?
「そなたの封印は、わしとしても不本意だったのじゃが、何せ怪我をさせたのが魔法団体の長の息子だったものでのう。権力とは怖いものじゃ。長へはわしから説明しておこう。もう、2年も経つのじゃ。長も許しておろう。」
ちょ、ちょっと待って!魔法団体って、そんな酷い人がいるところなの?!
しかも、その息子は今もこの学園にいるの?!
「その子、まだいルの?」
「学園内にはいるが、何せ優秀でのう。既に16歳にして大学院に通っとる。さすがと言うべきか、じゃから、同じ中等部にはもうおらん。会うことももうないじゃろう。安心するがよい。」
「良かった…。でもちょっと謝りたかったかな。」
いい子だなあ。そのせいで封印されてたのに。
「やめた方がよい。きやつは根に持ちそうなやつでの。ネチネチしておる。何されるかわからんぞい。」
…校長も何かされたのかな。
何はともあれ、一件落着、なのかな?
そう言えば、エリオットってばさっきから黙ってるけど、大丈夫?
「行動が制限されることはないのか?何メートル以上離れられないとか…。」
「ないの。大丈夫じゃ。プラチナバンドじゃ。」
何言ってんのこのジイさん。
エリオット、不服そうだけど、しょうがないね。それに、もしかしたら魔法、うまく使えるようになるかもよ?
あとで早速試してみようよ!ね?
あ!
大事なこと忘れてるよ?
「名前は?」
そう!女の子の名前!
「私、ミカヅキ言うネ!よろしくネ!」
ミカヅキか、変わった名前だね。
異国の子なのかな。
「私、はるか東から父さまの事情で来た。変な名前、思ってる?」
「い、いや、そうは思わないが…。」
「ホント?!じゃあ私タチ、今日から友達ネ!」
「………。」
照れてる?照れてるんだ!エリオットってば、やっぱり嫌じゃないんだ!
「俺は嫌だからな!」
「わかってるヨ!」
そう言って、ミカヅキはエリオットに抱きついたよ。
「…青春じゃの。」
一話、終わり。
読んでいただき、ありがとうございます。
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