【R-18】藤堂課長は溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。

絵夢子

文字の大きさ
5 / 48
@藤堂side

4.4月1日19:46 乾杯@藤堂side

しおりを挟む
 俺はさくらと一緒にエレベーターで会社の入る建物を出た。
 仕事場を離れて、さくらと二人でいることに、わくわくしている。

「さくらさん、何食べたい?」
「私はなんでも…。」
「う~ん。お酒のむ店でいい?ちょっと飲みたい気分なんだ。金曜だし。」
「はい。おまかせします。」

 合コンで知り合った子とかだと「なんでもいい」って言われるとちょっとイラっと来るんだけど、今はさくらを誘い出せたことが嬉しいのが勝る。
 どこがいいかな、旨いもん食わせてやりたい。

「居酒屋だけど、魚うまい店があるんだ。いい?」
「はい。」

 気負って気取った店連れて行って、浮かれた気持ちを見抜かれたくなくて、行きなれた店に連れていく。
 こういう感じ、久しぶりだな。

 店に着くまで、この二人で歩くのに慣れなくて、ふたりの距離とか歩くスピードとか、なんだかぎこちない気がする。
 さくらが気まずく感じなければいいな。

 暖簾をくぐり、店に入る。横並びのカウンター席へ。向かい合うより話しやすい。
 肩を並べて座ってみて、すぐ近く、触れ合いそうな距離にさくらの肩、近くにさくらの顔があってドキッとする。
 同じメニューを見る。肩が自然と触れる。

「藤堂課長、よくいらっしゃるんですか。」
「うん、同期とか、課の連中とかと何度か。」
 あ、会社の奴らが来ないといいな。でも知らない店で失敗したくなかったし。
「じゃあ、課長のおすすめを。」
「ほんと?じゃあ、選んじゃうね。飲み物は?」

 さくらは梅酒のソーダ割、俺は生ビール、それにこの店で旨いつまみを頼んだ。
「さくらさん、好き嫌い、ない?」
「はい。なんでもおいしくいただきます。」
「で、甘いものも?」
「はい。」
 さくらは笑った。
「チョコレートは常備してますし、休みのたんび、ケーキ買ったり、甘いもの食べに行ったりしちゃいます。藤堂課長も、チョコレートお好きなの、意外でした。」
「うん、コーヒー甘くしないで、一緒に甘いも食べんのが好き。でも詳しくないんだよね。こんど、連れて行ってよ。」
 さりげなく、「次」へつなぐ。
 返事はない。流されたか…。

 お通しをつつく。
「今日さ、昔から世話になってる担当さんのいるところ行ってて、いつもと違う感じのプラン出してきたの。別プランで保険掛けて。」
「藤堂課長でも、そんなチャレンジされるんですね?」
「うん。その担当さん、辞めることになってて、一緒にやる最後の仕事だから、妥協なく、俺の納得いくのを見てほしくて。でも悩んじゃってたの。」
 さくらは興味深そうに話を聞いてくれている。
「さくらさんのね、チョコレートと紅茶のおかげでいいプランできた。」
「ええ?あれのおかげですか?」
「うん。あれのおかげ。ありがとね。」
 さくらの顔を覗き込む。
 さくらは照れたように笑う。
 やべ。かわいい…。

「さくらさん、入社3年?えっと、25?」
「はい。ちょうど3年ですね。25になりました。藤堂さんは…10年?」
「うん。10年だね~。よく知ってるね?32だよ~。あ、おじさんって思ってる?」
「思いませんよ。あ、来た来た」
 飲み物が届く。

「よし、乾杯。お疲れ様~。」
「お疲れ様です。」
 グラスを持ち上げ、口をつける。広沢さんにあの案を採用されたこと、さくらをこうして連れ出せたこと、ビールがうまい。
「か~っ、うまい!」
 ジョッキの半分ほどを一気に飲むとさくらは目を丸くした。
「藤堂課長、すごい。CMみたい。」
 なんだ、この子、よく笑うじゃん。会社では難しい顔してるけど。気を許してくれたのかな。

「ね、『課長』やめようよ。もう退勤したんだし。」
「え?あ…じゃあ、藤堂さん?」
「そ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...