6 / 43
@藤堂side
5.4月1日20:27 飲んでみる?@藤堂side
しおりを挟む
さくらとの時間は楽しかった。
俺は人と話すのは苦にならない方で、人の話を引き出すのが得意だと思っている。だから今の営業は天職だと思う。いい広告プランを作るにはまず、クライアントの要望をうまく聞き出すことが必要だ。
だけど、さくらと話していると気づくと自分のことを話している。さくらのことを知りたいと思いながら、俺の話に関心をもって質問しながら聞いてくれるさくらに、俺はどんどん話を引き出されていた。
普段自分でもあんまり意識していなかった仕事への思い、学生時代のバカみたいな思い出、子供の頃のこと。
でも、根掘り葉掘り聞かれる感じも、暴かれる感じもない。
俺はジョッキ2杯のビールで喉を潤して、焼酎のロックに切り替えた。
「藤堂さん、大人ですね~。焼酎、ロックですか~」
梅酒のソーダ割の後、2杯目に杏露酎のソーダ割を頼んださくらが言った。
「さくらさんは、甘いのがお好みだね。」
「お酒っぽくない味の、ソーダ割になっちゃいますね。藤堂さんみたいに、ビールごくごくとか、ロックで、とか憧れます。」
単なる酒好きを、憧れるとか言ってくれる。
「さっぱりして、飲みやすいよ。ちびちびやってる分には、そんなに酔わないし。飲んでみる?」
俺は自分の飲んでいるグラスを横のさくらの前に出してみる。
俺が口つけたグラスで飲め、とか、セクハラかな…嫌だったら何とか断ってくれるよな…
これは、さくらの気持ちを知る、賭けだった。
さくらは一瞬とまどったが
「いいんですか?いただきます。」
と、一口飲んだ。
「あ、ほんと、飲みやすいですね、」
俺はさくらが口をつけたグラスを受け取って、年甲斐もなくドキドキした。
冷静を装って飲み続ける。
お堅い子に見えて、気さくで笑顔が可愛くて、誘った時より俺はさくらに惹かれている。
今は他の部の課長。この子の特別になるにはどうしたらいいんだろう。
でも、気まずくして会社で顔合わせずらくなるのも困る。
俺は社内恋愛ってものをしたことがない。
学生時代は同じ大学に彼女がいて、就職後、仕事優先で会わずにいるうちに他に彼氏を作られた。その後は広告代理店勤務っていう肩書を利用して同期や先輩がセッティングした合コンに呼ばれて、一緒に飲みに行ったり、お持ち帰りしたりされたりあったけど、仕事関連で知り合う女性は、戦友みたいなもんだし、仕事に響くこと考えたらある程度距離をとるのが当然になっていた。
でも、さくらとは近づきたかった。どうしても。
同じグラスから飲み物を飲める程度には、俺のこと嫌じゃないらしい。
自分も遅くまで働いて帰り際に、紅茶淹れて、高級チョコレート持ってきてくれる位だから、残業してたら気にしてくれる程度には関心をもってくれているらしい。
だから、余計に欲が出る。
おれは少し、さくらのせいにして言い訳して、もっと親しくなりたい。さくらの特別な存在になりたいと欲を出した。
「さくらさん、彼氏は?」
「え?」
「ごめん、セクハラ?」
「あ、いえ、えっと~いないです。」
やった。
「へ~え。いない歴、何年?」
ごめんさくら、気になるんだ。
「…ずっといないです。」
恥ずかしそうに答える。
「え?うそでしょ、かわいいのに」
思わず、かわいいといってしまう。
「かわいくなんかないですよ、お堅いってずっと言われて…」
若い男どもには、手を出しずらいのかもしれない。うわ、マジか…。ニヤつくのを何とか隠す。
多分さくらがいない歴何年って答えていたら、最後の彼氏のことを根掘り葉掘り聞いて、引かれていたかもしれない。でも、ずっといないと聞いて、嬉しくて仕方ない。
俺は自分がさくらに向けてる感情の正体を確信する。
いやまて、ガードが固くてよほど惚れないと付き合わないとかなのか?それはハードルが高い。
あ、そしたまだ、処女か。
ますますめったやたらに手が出せない。ゆっくり、焦らないように。大切に。
俺は自分に言い聞かせる。
俺は人と話すのは苦にならない方で、人の話を引き出すのが得意だと思っている。だから今の営業は天職だと思う。いい広告プランを作るにはまず、クライアントの要望をうまく聞き出すことが必要だ。
だけど、さくらと話していると気づくと自分のことを話している。さくらのことを知りたいと思いながら、俺の話に関心をもって質問しながら聞いてくれるさくらに、俺はどんどん話を引き出されていた。
普段自分でもあんまり意識していなかった仕事への思い、学生時代のバカみたいな思い出、子供の頃のこと。
でも、根掘り葉掘り聞かれる感じも、暴かれる感じもない。
俺はジョッキ2杯のビールで喉を潤して、焼酎のロックに切り替えた。
「藤堂さん、大人ですね~。焼酎、ロックですか~」
梅酒のソーダ割の後、2杯目に杏露酎のソーダ割を頼んださくらが言った。
「さくらさんは、甘いのがお好みだね。」
「お酒っぽくない味の、ソーダ割になっちゃいますね。藤堂さんみたいに、ビールごくごくとか、ロックで、とか憧れます。」
単なる酒好きを、憧れるとか言ってくれる。
「さっぱりして、飲みやすいよ。ちびちびやってる分には、そんなに酔わないし。飲んでみる?」
俺は自分の飲んでいるグラスを横のさくらの前に出してみる。
俺が口つけたグラスで飲め、とか、セクハラかな…嫌だったら何とか断ってくれるよな…
これは、さくらの気持ちを知る、賭けだった。
さくらは一瞬とまどったが
「いいんですか?いただきます。」
と、一口飲んだ。
「あ、ほんと、飲みやすいですね、」
俺はさくらが口をつけたグラスを受け取って、年甲斐もなくドキドキした。
冷静を装って飲み続ける。
お堅い子に見えて、気さくで笑顔が可愛くて、誘った時より俺はさくらに惹かれている。
今は他の部の課長。この子の特別になるにはどうしたらいいんだろう。
でも、気まずくして会社で顔合わせずらくなるのも困る。
俺は社内恋愛ってものをしたことがない。
学生時代は同じ大学に彼女がいて、就職後、仕事優先で会わずにいるうちに他に彼氏を作られた。その後は広告代理店勤務っていう肩書を利用して同期や先輩がセッティングした合コンに呼ばれて、一緒に飲みに行ったり、お持ち帰りしたりされたりあったけど、仕事関連で知り合う女性は、戦友みたいなもんだし、仕事に響くこと考えたらある程度距離をとるのが当然になっていた。
でも、さくらとは近づきたかった。どうしても。
同じグラスから飲み物を飲める程度には、俺のこと嫌じゃないらしい。
自分も遅くまで働いて帰り際に、紅茶淹れて、高級チョコレート持ってきてくれる位だから、残業してたら気にしてくれる程度には関心をもってくれているらしい。
だから、余計に欲が出る。
おれは少し、さくらのせいにして言い訳して、もっと親しくなりたい。さくらの特別な存在になりたいと欲を出した。
「さくらさん、彼氏は?」
「え?」
「ごめん、セクハラ?」
「あ、いえ、えっと~いないです。」
やった。
「へ~え。いない歴、何年?」
ごめんさくら、気になるんだ。
「…ずっといないです。」
恥ずかしそうに答える。
「え?うそでしょ、かわいいのに」
思わず、かわいいといってしまう。
「かわいくなんかないですよ、お堅いってずっと言われて…」
若い男どもには、手を出しずらいのかもしれない。うわ、マジか…。ニヤつくのを何とか隠す。
多分さくらがいない歴何年って答えていたら、最後の彼氏のことを根掘り葉掘り聞いて、引かれていたかもしれない。でも、ずっといないと聞いて、嬉しくて仕方ない。
俺は自分がさくらに向けてる感情の正体を確信する。
いやまて、ガードが固くてよほど惚れないと付き合わないとかなのか?それはハードルが高い。
あ、そしたまだ、処女か。
ますますめったやたらに手が出せない。ゆっくり、焦らないように。大切に。
俺は自分に言い聞かせる。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
59
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる