【R-18】藤堂課長は溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。

絵夢子

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@さくらside

13.藤堂さんと会わない翌週@さくらside

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 家に帰って、シャワーを浴びる。
 藤堂さんの臭いを、汗を、唾液を、このまま留めておけないことを惜しく思いながら。

 遠くで見ていた憧れの人に、処女を捧げることができた。
 もう、この数年の藤堂さんへの思いから卒業する時だ。
 いつもまでも現実味なく憧れの人に執着している場合ではない。社会人4年目、25歳である。
 私は会社の採用サイトから出力して飾っていた藤堂さんと高峰さんの写真をクローゼットの奥にしまい込んだ。

 藤堂さんは私を抱いてくれて、「かわいい」って言ってくれた。それが体を重ねている私を安心させるための社交辞令だっとしても、少しは男の人にアピールできる部分があるのかも、と考えることにした。
 少なくとも、藤堂さんは私を相手に、そういう行為ができるくらいには反応してくれたのだから。

 婚活ってわけじゃないけど、現実的にパートナーを見つけよう。
 遠くから藤堂さんを見つめて満足といいう日々に見切りをつけなきゃ。
 私も、誰か一人に選ばれるという経験をして、自信をつけたい。

 でも、どうやって相手を見つけるんだろう。
 そんな相手、周りにはいない。大学時代の友達…会社だと…賢くん?ないなあ。

 月曜日から、私は営業側の休憩室から藤堂さんを見つめるという習慣を捨てた。
 エレベーターから総務部へは営業側の通路を通るから、階段で昇り降りする。
 しばらく藤堂さんを視界に入れないようにすることに決めた。

 月曜日、私は自席で賢くんと並んで持参したお弁当を食べていた。

「ねえ、賢くん。賢くんの同期で仲がいい…西島さん?女子力高い系の?」
「西ちゃんですか?女子力っていうか…まあ、男受け狙いまくってますからね。」
「え?そうなの?モテる?」
「モテますよ。モテようとしてますからね。」
「すごい…。ねえ、紹介して?」
 賢くんがびっくりしてこちらを見る。
「どうしたんですか、さくらさん。西ちゃんなんて絶対気が合いませんよ。」
「いや、色々教えてもらいたい。」

 賢くんが西島恵さんをLINEで呼び出してくれた。
「お疲れ様です~。小林さんが私にって?」
 ふわふわの巻き毛、ピンクのミニスカートの西島さんが現れた。

「お疲れ、西ちゃん。ごめんね、うちのさくらさんが、西ちゃん紹介してっていうから。」
「え?どうしたんですか~?」
「うん、えっと…、ちょっとイメチェンっていうか、ちょっとかわいい感じにしてみたくて…相談したいなって。」
「え?そうなんですか~?うんうん、小林さん、あ、賢くんと紛らわしいから、さくらさんって呼ばせてもらいますね。あ、私のことも恵って呼んでくださいね。うん。勿体ないです。いっつもそんなガチガチのパンツスーツじゃ。いっつも思ってたんです!」

 恵ちゃんが食いつく。私にはこんな色が似合うだの、髪型も変えましょう!だの。私以上に熱心。
「さくらさん。もしかして、好きな人がいる、とか?」
「いや、これからちょっと出会いを探そうかな。みたいな。」
「え、さくらさん大丈夫ですか?」
 賢くんが思いっきり引いている。
「何それ。大丈夫よ。」
「さくらさん、だったら、金曜日、合コン、行きません?私の大学の先輩とその同僚なんですけど、丸菱商事なんです。」
「合コン?いきなり?」
「行ったことないんですか?まずは場慣れです。」

 そして恵ちゃんにスカートをはけだのなんだのアドバイスをもらい、いきなりの展開に、恵ちゃんを紹介してもらったことに少し後悔した。

 木曜日、なんだか藤堂さんからやたら申請書が送信されてくる。と思ったら本人が現れた。どうしよう。あの後初めて顔見る。どんな顔して話せばいいのかわかんない。

「賢くん、ごめん、お願い。」
 手が離せないふりをする。

 今は未だ、藤堂さんを見たらあの夜を思い出してドキドキしちゃう。また、あの声で「さくら」って呼んでほしくなる。
 だからしばらく、藤堂さんとはお話しないようにすると決めた。
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