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61.メリークリスマース!!
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マキノは、思いつきでブッシュドノエルを美緒ちゃんに任せてしまった。
お料理は男子チームに任せているし、マキノ自身は散らかった道具類を定位置に戻したり、使い終わった器をシンクにまとめたりと、それぞれの作業をがスムーズに進むように補佐しつつ、傍観を決め込んでいた。
急なオーダーだったのに、美緒ちゃんはためらう様子もなく慣れた手つきで作業を進めていく。
フルーツ缶のフルーツといちごをダイスに刻んで、生クリームは電動の泡だて器で泡立てて、チョコを湯煎にかけて溶かしてゆっくりとまぜる。
今日は春樹さんも厨房に入っているから狭いようだ。無造作に動くとぶつかったりする。
「ごめんなさい。すぐ避けますね。」
材料が揃ったらシンクに使い終わったボウルや器具を放り込んで、美緒ちゃんはカウンターの方へと移動した。
ロールケーキを何秒か電子レンジにかけて少し柔らかくして、一旦伸ばして広げる。そうして広がった生地に生チョコのクリームとフルーツを挟んで、もう一度もとどおりに巻く。
端の方を斜めに切って、小さい方を長い方に乗せて、その形の通りに豪快に生チョコクリームをパレットナイフでナッペしていく。
「ナッペするの久しぶりです・・。」
美緒ちゃんがつぶやいた。
「あの店、辞めたの?」
その声が聞こえたのか、ヒロトが聞いた。
「うん。今年の2月ぐらいに・・。あの店ではいろいろなことを勉強してきたけど、夜も遅いし休みが取りにくいし疲れたから。転職したの。」
全体を塗り終えてから、青いクリスマス用のプレートに移してフォークで切株風の線をつけると、外郭はほぼできあがった。
「へえ・・。初めての厨房なのに、早いねぇ。」
マキノは感心して、美緒ちゃんを称賛した。
「いえ、使う道具をよく知っていらして、出してくださったから・・。」
美緒ちゃんは、ヒロトが盛り付けていたフルーツ盛からイチゴをいくつか取って、できあがったケーキに飾り付けた。そして「粉砂糖かココアパウダーは?」と尋ねてきた。
どっちもある。外で雪が降っているから、粉砂糖がいいな。それを振るには茶こしもいる。それから、マキノは自分の判断で枝の形のチョコを渡した。市販のお菓子だが、こんなケーキにはよく似合うと思ったのだ。
美緒ちゃんは、マキノの顔を見た。
「必要な道具と一緒にぴったり合う材料が一緒に出てくるんですね・・。」
「うふふ。」
マキノは、嬉しくなって、春樹に声をかけた。
「春樹さん!わたしパティシエさんから褒められたみたいよ。」
「よかったね。こっちももうすぐ終わるよ。」
フライヤーの担当をしていた春樹も笑っていた。
さっきまでフライドポテトをしていて、今は唐揚げ。もうすぐそれも終わる。
切株の形になったロールケーキに、フルーツとチョコを飾って、その上から粉砂糖を振りかけると、一気に完成度が上がった。何度も褒めてしまう。
「さすがだねぇ。」
「あるものを使わせてもらっただけだから・・。」
美緒ちゃんが謙遜した。
ヒロトは妙な顔をして黙ったまま自分の仕事をしている。
出来上がった料理を大皿に盛り付けたら、あとは並べるだけだ。
「春樹さん。後は彼らに任せて、もう我々は座っちゃおう。」
そう言っておいて、自分はヒイラギの葉っぱを取りに裏庭へと出た。
雪がはらはらと降りはじめていた。
裏庭で採ってきたヒイラギの葉っぱをブッシュドノエルに飾り付けていると、一番乗りで真央と未来のペアが、男子をひとりつれてきた。3人とも大きな袋を両手に下げている。
「こんばんは。メリークリスマス。」
「景品係さん、お疲れさまだったね。」
「このケーキいいですね。クリスマス仕様。」
「こちらのパティシエさんが仕上げてくれました。」
「あっそうなんですか?こちらの方は?」
マキノは少し考えてから答えた。
「ヒロトのお友達。」
真央ちゃんはふんふんと納得して、店に入るなり、BGMをクリスマスソングに変えた。
この男の子は、どちらの彼氏なのかな?と2人を見た。
真央ちゃんは遊のことが好きかも、って以前春樹さんが感知していたし、いつも落ち着いている未来ちゃんがそわそわしているから、未来ちゃんの彼氏だと予想。
「会費の集金をしまーす。」
と真央ちゃんが言って、カウンターで幹事らしいことをしはじめた。
未来ちゃんは男の子と一緒に座敷に上がって、2人でクリスマスツリーのそばに景品を飾り付けはじめた。
うふふん・・やはり。
ヒロトが3000円持って来て、真央ちゃんに耳打ちをしている。
ヒロトと遊は仕事をしてもらう代わりに会費を免除にしたから、美緒ちゃんの分のつもりだろう。
次のお客様は、千尋さんとそのご主人だった。マキノはご主人さんに挨拶をした。
「こんばんは。」
「こんばんは。」
千尋さんのご主人は、メガネをかけてて事務系のサラリーマンって感じだ。
「いつも千尋さんにはお世話になっています。おじいちゃんの具合はどうですか?」
「うん・・あんまり元気がないのよね。病院に付き添うのもおばあちゃんと交替で頑張ってるんだけど、大変なの。お仕事あまり入れなくてごめんね。」
「いいんですよそんなこと。」
千尋は自分の仕事は配達がメインだと考えているようで、ヒロトがスーパーに出すようになってからは、朝の配達とお昼のお弁当の配達のどちらかを必ず担当してくれている。それだけでも本当に助かっていた。
「忙しいのに配達のこと気にしてもらって、いつも感謝してます。おじいちゃんお大事にしてくださいね。」
有希ちゃんは女の子の友達二人を連れてきた。
有希ちゃんは二人を席に座らせてから、小さな声でマキノに聞いた。
「適性がありそうだったら、春からここのバイトにスカウトしていいですか?」
「グッジョブ。期待してます!両方でもいいよ。」
次は、イズミさんの家族と仁美さんの家族が同時に来た。
「メリークリスマス!寛菜ちゃん奈々ちゃんいらっしゃい。」
「子ども達が、ここにくるとおいしいものが食べられるって学習しちゃってるのよね。」
「それは光栄ですね。ありがと。かんちゃんななちゃん。」
「そして、マキノちゃん今日は素敵ね。」
「あ。ありがとう。これ全部、春樹さんが買ってくれたんです。」
「まぁっ。そのネックレスも?春ちゃんやるわね。あら、またその春ちゃんの恰好どういう余興?なんとも似合うわねぇ。」
家族みんなの靴を片付けながら、イズミさんが笑った。
春樹さんがイズミさんにからかわれている。
もしかして、春樹さんはイズミさんに弱い?そんな気がするなぁ。お世話になって来たのかな。
次は、カズ君が後輩を一人連れてきた。
「マキノさんこんばんは。コイツがどうしても来たいって言うから・・。」
「はじめまして。どうぞごゆっくり。」
「ちーっす。はじめましてー。」
「最近はうちにも有能なシェフがいるのよ。花矢倉の若造くんには負けないわよ~。」
「オレらなんて、元から張り合ってもないですよ・・。」
カズ君と後輩君が顔を見合わせた。
最後に来たのは敏ちゃんの家族だった。
敏ちゃんはヒロトに声をかけた。
「メリークリスマース。あらヒロト君がんばってるね。期待してるからねー。」
「メリクリですー。敏ちゃんさんの期待が一番ずしんと来ますよ。」
ヒロトが何とか返事を返した。
「おほほほ、もっと怖がってもいいよ。」
敏ちゃんはヒロトを怖がらせてご満悦だ。
「みんな揃ったから、ヒロトも遊もこっちへおいでよ。一緒に乾杯しよう。美緒ちゃんの隣りに座ってあげて。」
マキノはそう言いながら、自分は春樹が座っている隣に座った。
みんなの視線は、美緒ちゃんに集まった。
「この素晴らしいブッシュドノエルを仕上げてくれたパティシエさんでーす。」
とマキノが紹介した。
ほおお・・・と小さなどよめきが起こって、美緒ちゃんが顔を赤くして身を縮めた。
「真央ちゃん。お願いね。」
「はあーい。」
飲み物とクラッカーが配られ、いきわたったのを確認してから、真央ちゃんが立ちあがって司会を始めた。
「みなさん。寒い中、多数お集まりいただきありがとうございました。目の前のお料理は、ヒロトさんと遊君が準備してくれました。ご苦労さまでした。クリスマスパーティーの言いだしっぺは私ですが、今夜はカフェドルポの忘年会を兼ねています。だから皆さんからの会費は半分がお料理、半分が景品になりますが、実はマキノさんがたくさん出してくれてて、こんなに豪華になりました。みんなで感謝してください。
まずはオーナーのマキノさんから、一言お願いします!」
「いやいや。感謝するのはみんなじゃなくて、わたしのほうだから・・。」
こほん。とせきばらいをひとつして、マキノは立ち上がって静かに話し始めた。
「カフェルルポがオープンして約一年経ちました。わたしは、一人でこの町にやってきて、一人でお店を始めましたが、いつもひとりではありませんでした。ここまでやってこれたのは、ここにいる皆さんや、来てくれたお客さん。その他たくさんの人達に助けていただいたおかげです。本当にありがとうございました。私は、私に与えられたすべての出会いを、神様に感謝したい・・。」
元気よく挨拶するつもりだったのに、なんだかちょっと泣きそう。
「そばにいてくれる人と、関わってくれた人を大切にしていきます。これからもずっと、皆さんの愛と力を貸してください。私も、全力で頑張ります!」
マキノは、そこで一旦言葉をとめた。そして息を大きく吸って、大きな声で宣言した。
「一年間ご苦労さま。今日はゆっくり楽しみましょうっ!」
マキノは挨拶を終えて、春樹の隣りに座り直し、顔を見てにこっと笑った。春樹の腕にぎゅっとつかまりたい衝動をひそかに押さえた。
真央ちゃんが司会の続きをする。
「じゃあ、みんな乾杯の用意はいいですか?クラッカー全部配ったね?はい,じゃあ・・いくよー?」
ノンアルコールのシャンパンが入ったグラスをかかげて、真央ちゃんが大きな声で言った。
「メリークリスマス!」
パンパンッ パン パンパパンッ
クラッカーがあちこちではじけ「メリークリスマース」「かんぱーい」という声が飛び交いパーティーは始まった。
お料理は男子チームに任せているし、マキノ自身は散らかった道具類を定位置に戻したり、使い終わった器をシンクにまとめたりと、それぞれの作業をがスムーズに進むように補佐しつつ、傍観を決め込んでいた。
急なオーダーだったのに、美緒ちゃんはためらう様子もなく慣れた手つきで作業を進めていく。
フルーツ缶のフルーツといちごをダイスに刻んで、生クリームは電動の泡だて器で泡立てて、チョコを湯煎にかけて溶かしてゆっくりとまぜる。
今日は春樹さんも厨房に入っているから狭いようだ。無造作に動くとぶつかったりする。
「ごめんなさい。すぐ避けますね。」
材料が揃ったらシンクに使い終わったボウルや器具を放り込んで、美緒ちゃんはカウンターの方へと移動した。
ロールケーキを何秒か電子レンジにかけて少し柔らかくして、一旦伸ばして広げる。そうして広がった生地に生チョコのクリームとフルーツを挟んで、もう一度もとどおりに巻く。
端の方を斜めに切って、小さい方を長い方に乗せて、その形の通りに豪快に生チョコクリームをパレットナイフでナッペしていく。
「ナッペするの久しぶりです・・。」
美緒ちゃんがつぶやいた。
「あの店、辞めたの?」
その声が聞こえたのか、ヒロトが聞いた。
「うん。今年の2月ぐらいに・・。あの店ではいろいろなことを勉強してきたけど、夜も遅いし休みが取りにくいし疲れたから。転職したの。」
全体を塗り終えてから、青いクリスマス用のプレートに移してフォークで切株風の線をつけると、外郭はほぼできあがった。
「へえ・・。初めての厨房なのに、早いねぇ。」
マキノは感心して、美緒ちゃんを称賛した。
「いえ、使う道具をよく知っていらして、出してくださったから・・。」
美緒ちゃんは、ヒロトが盛り付けていたフルーツ盛からイチゴをいくつか取って、できあがったケーキに飾り付けた。そして「粉砂糖かココアパウダーは?」と尋ねてきた。
どっちもある。外で雪が降っているから、粉砂糖がいいな。それを振るには茶こしもいる。それから、マキノは自分の判断で枝の形のチョコを渡した。市販のお菓子だが、こんなケーキにはよく似合うと思ったのだ。
美緒ちゃんは、マキノの顔を見た。
「必要な道具と一緒にぴったり合う材料が一緒に出てくるんですね・・。」
「うふふ。」
マキノは、嬉しくなって、春樹に声をかけた。
「春樹さん!わたしパティシエさんから褒められたみたいよ。」
「よかったね。こっちももうすぐ終わるよ。」
フライヤーの担当をしていた春樹も笑っていた。
さっきまでフライドポテトをしていて、今は唐揚げ。もうすぐそれも終わる。
切株の形になったロールケーキに、フルーツとチョコを飾って、その上から粉砂糖を振りかけると、一気に完成度が上がった。何度も褒めてしまう。
「さすがだねぇ。」
「あるものを使わせてもらっただけだから・・。」
美緒ちゃんが謙遜した。
ヒロトは妙な顔をして黙ったまま自分の仕事をしている。
出来上がった料理を大皿に盛り付けたら、あとは並べるだけだ。
「春樹さん。後は彼らに任せて、もう我々は座っちゃおう。」
そう言っておいて、自分はヒイラギの葉っぱを取りに裏庭へと出た。
雪がはらはらと降りはじめていた。
裏庭で採ってきたヒイラギの葉っぱをブッシュドノエルに飾り付けていると、一番乗りで真央と未来のペアが、男子をひとりつれてきた。3人とも大きな袋を両手に下げている。
「こんばんは。メリークリスマス。」
「景品係さん、お疲れさまだったね。」
「このケーキいいですね。クリスマス仕様。」
「こちらのパティシエさんが仕上げてくれました。」
「あっそうなんですか?こちらの方は?」
マキノは少し考えてから答えた。
「ヒロトのお友達。」
真央ちゃんはふんふんと納得して、店に入るなり、BGMをクリスマスソングに変えた。
この男の子は、どちらの彼氏なのかな?と2人を見た。
真央ちゃんは遊のことが好きかも、って以前春樹さんが感知していたし、いつも落ち着いている未来ちゃんがそわそわしているから、未来ちゃんの彼氏だと予想。
「会費の集金をしまーす。」
と真央ちゃんが言って、カウンターで幹事らしいことをしはじめた。
未来ちゃんは男の子と一緒に座敷に上がって、2人でクリスマスツリーのそばに景品を飾り付けはじめた。
うふふん・・やはり。
ヒロトが3000円持って来て、真央ちゃんに耳打ちをしている。
ヒロトと遊は仕事をしてもらう代わりに会費を免除にしたから、美緒ちゃんの分のつもりだろう。
次のお客様は、千尋さんとそのご主人だった。マキノはご主人さんに挨拶をした。
「こんばんは。」
「こんばんは。」
千尋さんのご主人は、メガネをかけてて事務系のサラリーマンって感じだ。
「いつも千尋さんにはお世話になっています。おじいちゃんの具合はどうですか?」
「うん・・あんまり元気がないのよね。病院に付き添うのもおばあちゃんと交替で頑張ってるんだけど、大変なの。お仕事あまり入れなくてごめんね。」
「いいんですよそんなこと。」
千尋は自分の仕事は配達がメインだと考えているようで、ヒロトがスーパーに出すようになってからは、朝の配達とお昼のお弁当の配達のどちらかを必ず担当してくれている。それだけでも本当に助かっていた。
「忙しいのに配達のこと気にしてもらって、いつも感謝してます。おじいちゃんお大事にしてくださいね。」
有希ちゃんは女の子の友達二人を連れてきた。
有希ちゃんは二人を席に座らせてから、小さな声でマキノに聞いた。
「適性がありそうだったら、春からここのバイトにスカウトしていいですか?」
「グッジョブ。期待してます!両方でもいいよ。」
次は、イズミさんの家族と仁美さんの家族が同時に来た。
「メリークリスマス!寛菜ちゃん奈々ちゃんいらっしゃい。」
「子ども達が、ここにくるとおいしいものが食べられるって学習しちゃってるのよね。」
「それは光栄ですね。ありがと。かんちゃんななちゃん。」
「そして、マキノちゃん今日は素敵ね。」
「あ。ありがとう。これ全部、春樹さんが買ってくれたんです。」
「まぁっ。そのネックレスも?春ちゃんやるわね。あら、またその春ちゃんの恰好どういう余興?なんとも似合うわねぇ。」
家族みんなの靴を片付けながら、イズミさんが笑った。
春樹さんがイズミさんにからかわれている。
もしかして、春樹さんはイズミさんに弱い?そんな気がするなぁ。お世話になって来たのかな。
次は、カズ君が後輩を一人連れてきた。
「マキノさんこんばんは。コイツがどうしても来たいって言うから・・。」
「はじめまして。どうぞごゆっくり。」
「ちーっす。はじめましてー。」
「最近はうちにも有能なシェフがいるのよ。花矢倉の若造くんには負けないわよ~。」
「オレらなんて、元から張り合ってもないですよ・・。」
カズ君と後輩君が顔を見合わせた。
最後に来たのは敏ちゃんの家族だった。
敏ちゃんはヒロトに声をかけた。
「メリークリスマース。あらヒロト君がんばってるね。期待してるからねー。」
「メリクリですー。敏ちゃんさんの期待が一番ずしんと来ますよ。」
ヒロトが何とか返事を返した。
「おほほほ、もっと怖がってもいいよ。」
敏ちゃんはヒロトを怖がらせてご満悦だ。
「みんな揃ったから、ヒロトも遊もこっちへおいでよ。一緒に乾杯しよう。美緒ちゃんの隣りに座ってあげて。」
マキノはそう言いながら、自分は春樹が座っている隣に座った。
みんなの視線は、美緒ちゃんに集まった。
「この素晴らしいブッシュドノエルを仕上げてくれたパティシエさんでーす。」
とマキノが紹介した。
ほおお・・・と小さなどよめきが起こって、美緒ちゃんが顔を赤くして身を縮めた。
「真央ちゃん。お願いね。」
「はあーい。」
飲み物とクラッカーが配られ、いきわたったのを確認してから、真央ちゃんが立ちあがって司会を始めた。
「みなさん。寒い中、多数お集まりいただきありがとうございました。目の前のお料理は、ヒロトさんと遊君が準備してくれました。ご苦労さまでした。クリスマスパーティーの言いだしっぺは私ですが、今夜はカフェドルポの忘年会を兼ねています。だから皆さんからの会費は半分がお料理、半分が景品になりますが、実はマキノさんがたくさん出してくれてて、こんなに豪華になりました。みんなで感謝してください。
まずはオーナーのマキノさんから、一言お願いします!」
「いやいや。感謝するのはみんなじゃなくて、わたしのほうだから・・。」
こほん。とせきばらいをひとつして、マキノは立ち上がって静かに話し始めた。
「カフェルルポがオープンして約一年経ちました。わたしは、一人でこの町にやってきて、一人でお店を始めましたが、いつもひとりではありませんでした。ここまでやってこれたのは、ここにいる皆さんや、来てくれたお客さん。その他たくさんの人達に助けていただいたおかげです。本当にありがとうございました。私は、私に与えられたすべての出会いを、神様に感謝したい・・。」
元気よく挨拶するつもりだったのに、なんだかちょっと泣きそう。
「そばにいてくれる人と、関わってくれた人を大切にしていきます。これからもずっと、皆さんの愛と力を貸してください。私も、全力で頑張ります!」
マキノは、そこで一旦言葉をとめた。そして息を大きく吸って、大きな声で宣言した。
「一年間ご苦労さま。今日はゆっくり楽しみましょうっ!」
マキノは挨拶を終えて、春樹の隣りに座り直し、顔を見てにこっと笑った。春樹の腕にぎゅっとつかまりたい衝動をひそかに押さえた。
真央ちゃんが司会の続きをする。
「じゃあ、みんな乾杯の用意はいいですか?クラッカー全部配ったね?はい,じゃあ・・いくよー?」
ノンアルコールのシャンパンが入ったグラスをかかげて、真央ちゃんが大きな声で言った。
「メリークリスマス!」
パンパンッ パン パンパパンッ
クラッカーがあちこちではじけ「メリークリスマース」「かんぱーい」という声が飛び交いパーティーは始まった。
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