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63.ビンゴゲーム
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「あらまぁヒロトってば、女の子泣かせて、いけないんだ。」
春樹は厨房に笑顔で戻ってきた。
「いや・・いや、これは・・。」
「ヒロトは、次の料理サーブしないとだよ?」
「あっ!じゃ、仕事してくるから。」
ヒロトは、美緒を気にしながらも立ち上がり、寸胴が乗ったコンロに火をつけて動き出した。
まだ出してない料理があるから、早く進めてもらわなくてはね。
美緒は涙ぐんだのを見られてばつが悪そうにしていたが、春樹はまったく気にもせずに、さっきと違う料理の乗ったお皿を差し出した。
「今日は、男子が仕事をすることになってるんだ。もっと食べて。これもヒロトが作ったんだよ。」
「・・はい。」
「美緒ちゃんって、何歳?」
「25です。」
「ヒロトと同い年?」
「はい。」
「じゃあマキノより2つ年下だな。ちなみにオレは30。・・・あーまたやったな、女性に年を聞いちゃいけないんだった・・。」
美緒はくすっと笑った。
「言ったっけ?オレ、マキノの亭主ね。あやしいものではありません。」
「はい、ヒロトから聞きました。」
春樹は、しまったな・・というように自分のこめかみのあたりを指で押さえてから、美緒ちゃんに勧めたお皿から、自分もサーモンをつまんで食べた。
そして、ヒロトが仕事している隙に、今度は美緒ちゃんに対して声を落して話を始めた。
「美緒ちゃん今日さ、ヒロトに会いにここまで来たんだろ?」
美緒ちゃんは少しためらいつつちいさくうなずいた。
「これだけの行動ができるってことは、ヒロトに何らかの感情があるからだよね。」
「・・・。」
「あのね、美緒ちゃんが、ヒロトのことを、その・・何らかの視野に入れてるという前提で言わせてもらうと、せっかくだけど、今、ヒロトのことお勧めできない理由というか、事情があるんだよ。」
「あ・・あの、家の事情、お父さんのことですか?」
「ほぅ。そっか聞いてるんだ。そうそれです。関わると一生地獄かもしれない事情。」
「・・・。」
「ヒロトはあんな性格だから、家族の事ほっとけないと思う。」
「そうですね。そうだと思います。」
「僕としては、ヒロトは、人間としては最高にいいやつだと思うけど、美緒ちゃんはヒロトの事を待つのはやめて、違う人を探したほうがいい。」
「えっ・・。」
「常識的に考えたらね。」
「・・・。」
「一緒にいたら、まして結婚したら、苦労するよ。」
「そんなこと考えてないですけど・・・。」
「うん・・。そうだった。マキノにも時々怒られるんだ、結論から話しはじめるのはやめろって。」
美緒は、こんなことを話す真意が測りかねているような感じで自分のほうを伺っている。
言葉をわざと辛辣にしているが、できるだけ優しい顔をしているつもりだ。
「ヒロトっていいやつだろ?」
「はい。」
美緒は、こんどははっきりとうなずいた。
「んとね、さっき言った問題って、一年二年じゃどうこうできるもんじゃないかもしれないけど、ヒロトは今すごく頑張ってる。疲れもピークだと思う。今日はこの夜の仕事が入ったからいつもより随分きついはずなんだ。」
「ヒロトが・・疲れてるのは・・わかります。」
「だろ? この宴会は子どももいるから9時頃終了の予定だけど、ここが終わったら工房の方へ明日の朝の下準備に行かねばならんし、朝は5時から仕事なんだ。美緒ちゃんを送って行くって言ってたけど、文字通り,寝る時間がない。」
「わ、わたし、自分で帰りま・・」
春樹がまて・・と手をあげてさえぎって、少し小声になって続けた。
「それでもね、ヒロトはおそらく美緒ちゃんを送って行きたいと思ってる。でもそれはマキノが却下する。居眠りして事故っちゃうからね。そこで、明日の朝、ヒロトの手伝いをしてやってくれないかな?って思ったわけ。」
「お手伝い・・・ですか。」
「うん。もちろん美緒ちゃんの都合が良ければ。断ってくれても問題なし。駅までなら送れるから・・。ええとね・・あんまり遅く帰すのも心配だけど8時がタイムリミットかな。H市まで電車だと2時間ぐらいかかるね?」
「はぁ・・はい・・。」
「もし明日朝の仕事を手伝ってくれるって言うなら、今夜うちで泊まってもらったらどうかなってマキノと話してたんだ。さっきもいったけど朝5時からだから結構きついよ。それに、初対面の我々のうちに泊まるのは抵抗あるかもだけど・・。」
「・・・。」
「ま、8時のリミットまでヒロトと話すなり、ゆっくり考えといて。」
「あっ・・はい。」
「あとでマキノも話に来るからね。」
そう声をかけて、春樹は自分の席に戻って行った。
― ― ― ― ―
パーティーの会場では、ビンゴのカードが配られて「ちゅうもーく」と真央ちゃんが仕切りはじめた。
有希ちゃんがアシスタントとして横に控えていて、ミニサイズのビンゴマシンをカラカラカラとまわす。数字を書いた球がコロンと落ちてくると、それを取り上げて真央ちゃんに渡していくのだ。
マキノは、数字を聞くために少し静かになった参加者たちを見渡した。
真央ちゃんが数字を読み上げていく。人を惹きつけるアドリブがなかなかよい。盛り上げるのが上手。意外な才能だ。
ヒロトと美緒ちゃんにもカードが配られている。ヒロトは仕事をするので、美緒ちゃんが2枚分の数字を見ていた。美緒ちゃんは遠慮しようとしたが、会費ももらったし景品の数は余裕を見て用意したから大丈夫なのだ。
遊も美緒ちゃんと並んでカウンターの中にいて、真央ちゃんと自分のカードの2枚の数字を見ている。
未来ちゃんと直也くんは一番後ろで仲良く並んで壁にもたれて足を伸ばして座っている。
カズ君と後輩君は、有希ちゃんが連れてきた2人組のそばにちゃっかり席を陣取っていて、しゃべりかけてはウザがられている。でも二人組も男子二人をからかって楽しんでいる風でもある。
小学生の子ども達は、気に入ったごちそうを好きなだけ食べておなかが満足したらしく、ご馳走は放置状態。真央ちゃんのすぐ前に陣取って、それぞれのビンゴのカードをぷすぷすと穴をあけて「次は35番を出してー」とか「あと1個なのにー」とか「景品はどんなの?」と声をかけている。
シニアな大人の女性たちは自分たちがもってきたシャンパンやワインをシェアし合って、おしゃべりに忙しそうにしつつも、ちゃっかりカードを片手に持っていた。
敏ちゃんにいたっては、ウエイターとしてヒロトが近づいてくるたびにつかまえて「ヒロト君、しっかり頑張るんだよ。応援してるからね。」と何度も同じセリフを投げて絡んでいた。敏ちゃんはヒロトが気に入ってるのかな。
仁美さんと敏ちゃんと千尋さんの旦那さん達と達彦さん男性陣はみな知り合いらしくて、男ばかりが集まり日本酒と焼酎といった渋いお酒を空けつつ、ビンゴのカードも手に持たされている。
いくつかの番号が読み上げられていくと、寛菜ちゃんが「リーチ!」と叫んだ。
「早いねー。やるねぇ。」と真央ちゃんが応える。
ヒロトと遊は、空いた器を下げて2種のパスタをあちこちのテーブルに出して回っていた。
あちこちで「リーチィ」の声が上がり始めて、しばらくして最初の「ビンゴ!」と言う声が飛んだ。菜々ちゃんだった。リーチは寛菜ちゃんのほうが早かったのにね。
「一番の人は番号が1のプレゼントを取ってくださーい。何かな~?ゆっくり開けてみてね~。」
「つぎは?はやくー。次の番号何~?」
「次は24! 24だよー。」
「ビンゴ―!」
達彦さんが声をあげた。
めったにしゃべらない人がビンゴとか言うと笑えちゃう。
「達彦さんは番号2のプレゼントだよ。」
1番は、ペアのマグカップのセット。
2番は、抱き心地のいいビーズ入りのぬいぐるみ。
「おじさん似合わない!それちょうだーい。」という子どもの声が上がった。
「あとで達彦のおじちゃんに交換してくれるように丁寧にお願いするといいよ。」
真央ちゃんが子ども達をあしらっている。
「達彦のおじちゃーんおねが~い。」
子ども達も乗っている
「チョイスが抜群だね。」
と洗濯物のハンガーが当たったマキノは言った。
「ありがとうございまーす。実は自信ありました。」
「真央ちゃん、ビンゴ来たよー。」
遊が真央ちゃんを呼んでいる。バランスボールが当たったようだ。
「遊、私にダイエットさせる気!」
景品は自分達で選んで、遊にカードを見させて、理不尽だ。
春樹が当たったのは、クリスマスのアレンジメントだった。
「家にクリスマスらしいものが何もなかったから丁度いいね。」
「うん。」
マフラー。
女性用の手袋。
大袋のお菓子のセット。
あったかいくつした。
ボードゲーム。
文房具セット。
ラーメンのセット。
低反発枕。
デカラケのバドミントンセット。
ニワトリの形のスリッパ。
どんどん景品が行き渡ってゆく。
マキノは、みんながそれぞれ楽しんでいるのを眺めてとても満足していた。
スタッフ達にはそれぞれの家庭があり、主婦が家を空けることでいろいろ不自由なことや調整が必要な場合ある。楽しく快く仕事に来てもらえるのも家族の理解があってこそ。このパーティーだって、高校生が提案したことだが、こうしてたくさん集まってくれると、この店が愛されてるんだなと実感することができた。
マキノは、スタッフの家族たちの席を回って、挨拶をしなければと思った。
ビンゴが終わると、真央ちゃんと未来ちゃんはカラオケのリクエストカードを配りはじめた。ゲーム機を操作するとカラオケの画面になった。
「今時のゲーム機はこんなことまでできるんだ・・。」と感心する。
「マキノさん古い。もう随分前からあるんですよぉ。」
真央ちゃんが子ども達にウケそうなアニメソングを勝手に入れてイントロが流れ出すと「これ知ってる!」「歌いたい!」と、きゃあきゃあマイクの取り合いが始まった。
「何でもかんでも歌っちゃダメだよ。みんなが順番になるようにしないと。この曲はお姉ちゃんが入れたから、全員で歌いなさい。ほらほら、前に出てきてこっち向いて並んで。歌いながら次の曲も考えとくんだよ。大人も順番に入れてねー。」
「はーい。」
子ども達が耳慣れたアニメソングを歌い、大人達はそれにあわせて手拍子をした。
カラオケが始まると、美緒ちゃんはまた厨房に入って行った。
春樹は厨房に笑顔で戻ってきた。
「いや・・いや、これは・・。」
「ヒロトは、次の料理サーブしないとだよ?」
「あっ!じゃ、仕事してくるから。」
ヒロトは、美緒を気にしながらも立ち上がり、寸胴が乗ったコンロに火をつけて動き出した。
まだ出してない料理があるから、早く進めてもらわなくてはね。
美緒は涙ぐんだのを見られてばつが悪そうにしていたが、春樹はまったく気にもせずに、さっきと違う料理の乗ったお皿を差し出した。
「今日は、男子が仕事をすることになってるんだ。もっと食べて。これもヒロトが作ったんだよ。」
「・・はい。」
「美緒ちゃんって、何歳?」
「25です。」
「ヒロトと同い年?」
「はい。」
「じゃあマキノより2つ年下だな。ちなみにオレは30。・・・あーまたやったな、女性に年を聞いちゃいけないんだった・・。」
美緒はくすっと笑った。
「言ったっけ?オレ、マキノの亭主ね。あやしいものではありません。」
「はい、ヒロトから聞きました。」
春樹は、しまったな・・というように自分のこめかみのあたりを指で押さえてから、美緒ちゃんに勧めたお皿から、自分もサーモンをつまんで食べた。
そして、ヒロトが仕事している隙に、今度は美緒ちゃんに対して声を落して話を始めた。
「美緒ちゃん今日さ、ヒロトに会いにここまで来たんだろ?」
美緒ちゃんは少しためらいつつちいさくうなずいた。
「これだけの行動ができるってことは、ヒロトに何らかの感情があるからだよね。」
「・・・。」
「あのね、美緒ちゃんが、ヒロトのことを、その・・何らかの視野に入れてるという前提で言わせてもらうと、せっかくだけど、今、ヒロトのことお勧めできない理由というか、事情があるんだよ。」
「あ・・あの、家の事情、お父さんのことですか?」
「ほぅ。そっか聞いてるんだ。そうそれです。関わると一生地獄かもしれない事情。」
「・・・。」
「ヒロトはあんな性格だから、家族の事ほっとけないと思う。」
「そうですね。そうだと思います。」
「僕としては、ヒロトは、人間としては最高にいいやつだと思うけど、美緒ちゃんはヒロトの事を待つのはやめて、違う人を探したほうがいい。」
「えっ・・。」
「常識的に考えたらね。」
「・・・。」
「一緒にいたら、まして結婚したら、苦労するよ。」
「そんなこと考えてないですけど・・・。」
「うん・・。そうだった。マキノにも時々怒られるんだ、結論から話しはじめるのはやめろって。」
美緒は、こんなことを話す真意が測りかねているような感じで自分のほうを伺っている。
言葉をわざと辛辣にしているが、できるだけ優しい顔をしているつもりだ。
「ヒロトっていいやつだろ?」
「はい。」
美緒は、こんどははっきりとうなずいた。
「んとね、さっき言った問題って、一年二年じゃどうこうできるもんじゃないかもしれないけど、ヒロトは今すごく頑張ってる。疲れもピークだと思う。今日はこの夜の仕事が入ったからいつもより随分きついはずなんだ。」
「ヒロトが・・疲れてるのは・・わかります。」
「だろ? この宴会は子どももいるから9時頃終了の予定だけど、ここが終わったら工房の方へ明日の朝の下準備に行かねばならんし、朝は5時から仕事なんだ。美緒ちゃんを送って行くって言ってたけど、文字通り,寝る時間がない。」
「わ、わたし、自分で帰りま・・」
春樹がまて・・と手をあげてさえぎって、少し小声になって続けた。
「それでもね、ヒロトはおそらく美緒ちゃんを送って行きたいと思ってる。でもそれはマキノが却下する。居眠りして事故っちゃうからね。そこで、明日の朝、ヒロトの手伝いをしてやってくれないかな?って思ったわけ。」
「お手伝い・・・ですか。」
「うん。もちろん美緒ちゃんの都合が良ければ。断ってくれても問題なし。駅までなら送れるから・・。ええとね・・あんまり遅く帰すのも心配だけど8時がタイムリミットかな。H市まで電車だと2時間ぐらいかかるね?」
「はぁ・・はい・・。」
「もし明日朝の仕事を手伝ってくれるって言うなら、今夜うちで泊まってもらったらどうかなってマキノと話してたんだ。さっきもいったけど朝5時からだから結構きついよ。それに、初対面の我々のうちに泊まるのは抵抗あるかもだけど・・。」
「・・・。」
「ま、8時のリミットまでヒロトと話すなり、ゆっくり考えといて。」
「あっ・・はい。」
「あとでマキノも話に来るからね。」
そう声をかけて、春樹は自分の席に戻って行った。
― ― ― ― ―
パーティーの会場では、ビンゴのカードが配られて「ちゅうもーく」と真央ちゃんが仕切りはじめた。
有希ちゃんがアシスタントとして横に控えていて、ミニサイズのビンゴマシンをカラカラカラとまわす。数字を書いた球がコロンと落ちてくると、それを取り上げて真央ちゃんに渡していくのだ。
マキノは、数字を聞くために少し静かになった参加者たちを見渡した。
真央ちゃんが数字を読み上げていく。人を惹きつけるアドリブがなかなかよい。盛り上げるのが上手。意外な才能だ。
ヒロトと美緒ちゃんにもカードが配られている。ヒロトは仕事をするので、美緒ちゃんが2枚分の数字を見ていた。美緒ちゃんは遠慮しようとしたが、会費ももらったし景品の数は余裕を見て用意したから大丈夫なのだ。
遊も美緒ちゃんと並んでカウンターの中にいて、真央ちゃんと自分のカードの2枚の数字を見ている。
未来ちゃんと直也くんは一番後ろで仲良く並んで壁にもたれて足を伸ばして座っている。
カズ君と後輩君は、有希ちゃんが連れてきた2人組のそばにちゃっかり席を陣取っていて、しゃべりかけてはウザがられている。でも二人組も男子二人をからかって楽しんでいる風でもある。
小学生の子ども達は、気に入ったごちそうを好きなだけ食べておなかが満足したらしく、ご馳走は放置状態。真央ちゃんのすぐ前に陣取って、それぞれのビンゴのカードをぷすぷすと穴をあけて「次は35番を出してー」とか「あと1個なのにー」とか「景品はどんなの?」と声をかけている。
シニアな大人の女性たちは自分たちがもってきたシャンパンやワインをシェアし合って、おしゃべりに忙しそうにしつつも、ちゃっかりカードを片手に持っていた。
敏ちゃんにいたっては、ウエイターとしてヒロトが近づいてくるたびにつかまえて「ヒロト君、しっかり頑張るんだよ。応援してるからね。」と何度も同じセリフを投げて絡んでいた。敏ちゃんはヒロトが気に入ってるのかな。
仁美さんと敏ちゃんと千尋さんの旦那さん達と達彦さん男性陣はみな知り合いらしくて、男ばかりが集まり日本酒と焼酎といった渋いお酒を空けつつ、ビンゴのカードも手に持たされている。
いくつかの番号が読み上げられていくと、寛菜ちゃんが「リーチ!」と叫んだ。
「早いねー。やるねぇ。」と真央ちゃんが応える。
ヒロトと遊は、空いた器を下げて2種のパスタをあちこちのテーブルに出して回っていた。
あちこちで「リーチィ」の声が上がり始めて、しばらくして最初の「ビンゴ!」と言う声が飛んだ。菜々ちゃんだった。リーチは寛菜ちゃんのほうが早かったのにね。
「一番の人は番号が1のプレゼントを取ってくださーい。何かな~?ゆっくり開けてみてね~。」
「つぎは?はやくー。次の番号何~?」
「次は24! 24だよー。」
「ビンゴ―!」
達彦さんが声をあげた。
めったにしゃべらない人がビンゴとか言うと笑えちゃう。
「達彦さんは番号2のプレゼントだよ。」
1番は、ペアのマグカップのセット。
2番は、抱き心地のいいビーズ入りのぬいぐるみ。
「おじさん似合わない!それちょうだーい。」という子どもの声が上がった。
「あとで達彦のおじちゃんに交換してくれるように丁寧にお願いするといいよ。」
真央ちゃんが子ども達をあしらっている。
「達彦のおじちゃーんおねが~い。」
子ども達も乗っている
「チョイスが抜群だね。」
と洗濯物のハンガーが当たったマキノは言った。
「ありがとうございまーす。実は自信ありました。」
「真央ちゃん、ビンゴ来たよー。」
遊が真央ちゃんを呼んでいる。バランスボールが当たったようだ。
「遊、私にダイエットさせる気!」
景品は自分達で選んで、遊にカードを見させて、理不尽だ。
春樹が当たったのは、クリスマスのアレンジメントだった。
「家にクリスマスらしいものが何もなかったから丁度いいね。」
「うん。」
マフラー。
女性用の手袋。
大袋のお菓子のセット。
あったかいくつした。
ボードゲーム。
文房具セット。
ラーメンのセット。
低反発枕。
デカラケのバドミントンセット。
ニワトリの形のスリッパ。
どんどん景品が行き渡ってゆく。
マキノは、みんながそれぞれ楽しんでいるのを眺めてとても満足していた。
スタッフ達にはそれぞれの家庭があり、主婦が家を空けることでいろいろ不自由なことや調整が必要な場合ある。楽しく快く仕事に来てもらえるのも家族の理解があってこそ。このパーティーだって、高校生が提案したことだが、こうしてたくさん集まってくれると、この店が愛されてるんだなと実感することができた。
マキノは、スタッフの家族たちの席を回って、挨拶をしなければと思った。
ビンゴが終わると、真央ちゃんと未来ちゃんはカラオケのリクエストカードを配りはじめた。ゲーム機を操作するとカラオケの画面になった。
「今時のゲーム機はこんなことまでできるんだ・・。」と感心する。
「マキノさん古い。もう随分前からあるんですよぉ。」
真央ちゃんが子ども達にウケそうなアニメソングを勝手に入れてイントロが流れ出すと「これ知ってる!」「歌いたい!」と、きゃあきゃあマイクの取り合いが始まった。
「何でもかんでも歌っちゃダメだよ。みんなが順番になるようにしないと。この曲はお姉ちゃんが入れたから、全員で歌いなさい。ほらほら、前に出てきてこっち向いて並んで。歌いながら次の曲も考えとくんだよ。大人も順番に入れてねー。」
「はーい。」
子ども達が耳慣れたアニメソングを歌い、大人達はそれにあわせて手拍子をした。
カラオケが始まると、美緒ちゃんはまた厨房に入って行った。
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