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「てな訳で、引っ越し先が決まりました」
「え、早くない?入居したの先週よね」
「正確には、先々週の土曜ですけどね」
週が明けて月曜日。
朝から坂下さんに物件が決まった為住所変更をしたい旨をメールしたところ、満田さんのアドレスが追加された状態で「今日、夜ディナー行きましょう」と店のURLが載せられたメールが返ってきた。
それにOKの返事を返して今に至る。
因みに、ご飯はなんかおしゃれなステーキ屋だ。カウンター席と4人掛けのテーブルが3セットくらいの小さなお店だが静かな雰囲気で落ち着いて食べられるし、何より大天使系美女と清楚系美女に挟まれて食べる肉は美味いなぁ!!今日はカウンター席で、目の前で肉を焼く手捌きを見るのも楽しい。
「だよね、早いよね。私の感覚可笑しくなかった、良かった・・・・」
「ちゃんと内覧した?アクセスとか家周りの環境とか大丈夫?」
「大丈夫ですよぅ!大塚駅から歩いてそう掛からないとこですし、周りにコンビニもスーパーもありました」
「いや生活面大事だけどさ、治安とか大丈夫なの?」
「それこそ安心です。近くに交番もあるし、コンシェルジュの方が24時間いてくれるオートロック式マンションなんですよ」
「へー、よくそんないい物件空いてたわね」
「しかもオーナーは楠木さんですし!知ってる人が大家さんって気が楽ですよねぇ」
「は?」
「へ?」
「?」
両サイドからバッと凝視された。え、なになに。
「楠木君のマンションって、赤坂の・・・?」
「いえ、大塚駅の近くの方です」
「や、そもそも、住所変更って事は契約したのよね?」
「えぇ、マンションまで連れて行ってもらいまして、その場で契約書類にサインを」
「ちょちょちょ、ちょーっと待って、待って!」
「? なんです?」
「連れて行ってもらった?」
「はい」
「誰に?」
「楠木さんに」
「・・・ちょっとそこんとこ詳しく教えてくれないかしら」
おおお、両サイドからの圧が、なんか気迫がすごい。
少しビビりながら、金曜日の夜に浮気野郎がいたところから土曜日に一緒に物件を見てまわったこと、日曜日に日用品や家具の買出しまで付き合ってくれた事を話した。
本当は日曜日は一人でのんびり日用品の買出しをする予定だったが、揃えるのは早い方がいいし万が一浮気野郎が彷徨いている場合危険、という事で車まで出してもらい、買ったものはマンションに置かせてくれた。買ったもの全て店から郵送しようと思っていたから助かった。郵送代って結構馬鹿にならないんだよなぁ・・・。
朝迎えに来てもらったが、荷物が増えるだろうと土曜日とは違う車だった。マークは見たことあったけど名前が思い出さなかった。かっこよかったからまた写メ撮らせてもらった、仲川がオフィスにいるときに聞こう、あいつ車とバイク好きだったはず。
「日曜もデートした、と」
「デートっていうか、ボディーガード的な?楠木さんって心配性ですよねぇ・・・あっ満田さん、週末大丈夫でしたか?浮気野郎から何かアクションありました!?」
「いや、連絡もなかったし家まで来ることもなかったから大丈夫よ。このままフェイドアウトしていくわ・・・それよりも、楠木課長が週末ずっといてくれたの?用心はした方がいいんだろうけど、そこまでするかしら」
「楠木君、特に心配性って事はなかったと思うけどなぁ・・・あ、話変わるけど。なんで秦と付き合ったの?」
「あ、私もそれ気になってたんだよね。私はフリーだったからOKしたんだけど、海野さんも?」
「あー・・・実は、私誰かとお付き合いってした事がなくて。前の会社の事があって、人肌に飢えてたんですよね」
前の会社での事は毎日残業、休日出勤は当たり前だったから、疲れはてて仕事以外の時間は食事と睡眠に充てるしかなく、友人達と連絡を取る事もなくなり遊びに行く時間もなかった為、だんだん疎遠になっていった。就職を機に会社近くにひとり暮らしを始めてしまい、家族から離れたのもよくなかった。家が近いからすぐに呼び出されるし、残業も長くしてしまう。誰にも相談できず、会社以外誰とも話もせず働き続けて6年。
人肌に飢えまくっていたのだ。迫られればコロリと行くくらい。
退職してすぐに今の会社に就職し、早々に浮気野郎に声をかけられお付き合いする事になったのだった。
「いやー、本当に、本っ当にチョロい奴だったんですよ、去年の私」
「頑張ったのねぇ、仕方ないわよ」
「そういう風にした会社が悪いわ。海野さんは何も悪くないわよ」
話し終えたところで、よしよし、と2人から頭を撫でられる。
むふふふ、役得。
会社に就職したての頃は確かに酷かったが、今は余裕も出来て学生時代の友人や魔法少年少女仲間とも連絡を取り合い、時間が会えば食事や遊びに行くようになったので、もう人肌恋しいと思う事もなくなった。
「恋愛はいっときお休みします。お一人様満喫する事にします」
「そう・・・頑張ってね(無理だと思うけど)」
「はい!」
それからは坂下さんのお子さんの話をしたり(写真を見せてもらったが、大天使の子は天使だった)、美味しいランチの店を教えてもらったりしてお喋りを満喫した。お互いに名前で呼び合うくらいに仲を深めたところで、また女子会しましょう、とその日は解散した。
「え、早くない?入居したの先週よね」
「正確には、先々週の土曜ですけどね」
週が明けて月曜日。
朝から坂下さんに物件が決まった為住所変更をしたい旨をメールしたところ、満田さんのアドレスが追加された状態で「今日、夜ディナー行きましょう」と店のURLが載せられたメールが返ってきた。
それにOKの返事を返して今に至る。
因みに、ご飯はなんかおしゃれなステーキ屋だ。カウンター席と4人掛けのテーブルが3セットくらいの小さなお店だが静かな雰囲気で落ち着いて食べられるし、何より大天使系美女と清楚系美女に挟まれて食べる肉は美味いなぁ!!今日はカウンター席で、目の前で肉を焼く手捌きを見るのも楽しい。
「だよね、早いよね。私の感覚可笑しくなかった、良かった・・・・」
「ちゃんと内覧した?アクセスとか家周りの環境とか大丈夫?」
「大丈夫ですよぅ!大塚駅から歩いてそう掛からないとこですし、周りにコンビニもスーパーもありました」
「いや生活面大事だけどさ、治安とか大丈夫なの?」
「それこそ安心です。近くに交番もあるし、コンシェルジュの方が24時間いてくれるオートロック式マンションなんですよ」
「へー、よくそんないい物件空いてたわね」
「しかもオーナーは楠木さんですし!知ってる人が大家さんって気が楽ですよねぇ」
「は?」
「へ?」
「?」
両サイドからバッと凝視された。え、なになに。
「楠木君のマンションって、赤坂の・・・?」
「いえ、大塚駅の近くの方です」
「や、そもそも、住所変更って事は契約したのよね?」
「えぇ、マンションまで連れて行ってもらいまして、その場で契約書類にサインを」
「ちょちょちょ、ちょーっと待って、待って!」
「? なんです?」
「連れて行ってもらった?」
「はい」
「誰に?」
「楠木さんに」
「・・・ちょっとそこんとこ詳しく教えてくれないかしら」
おおお、両サイドからの圧が、なんか気迫がすごい。
少しビビりながら、金曜日の夜に浮気野郎がいたところから土曜日に一緒に物件を見てまわったこと、日曜日に日用品や家具の買出しまで付き合ってくれた事を話した。
本当は日曜日は一人でのんびり日用品の買出しをする予定だったが、揃えるのは早い方がいいし万が一浮気野郎が彷徨いている場合危険、という事で車まで出してもらい、買ったものはマンションに置かせてくれた。買ったもの全て店から郵送しようと思っていたから助かった。郵送代って結構馬鹿にならないんだよなぁ・・・。
朝迎えに来てもらったが、荷物が増えるだろうと土曜日とは違う車だった。マークは見たことあったけど名前が思い出さなかった。かっこよかったからまた写メ撮らせてもらった、仲川がオフィスにいるときに聞こう、あいつ車とバイク好きだったはず。
「日曜もデートした、と」
「デートっていうか、ボディーガード的な?楠木さんって心配性ですよねぇ・・・あっ満田さん、週末大丈夫でしたか?浮気野郎から何かアクションありました!?」
「いや、連絡もなかったし家まで来ることもなかったから大丈夫よ。このままフェイドアウトしていくわ・・・それよりも、楠木課長が週末ずっといてくれたの?用心はした方がいいんだろうけど、そこまでするかしら」
「楠木君、特に心配性って事はなかったと思うけどなぁ・・・あ、話変わるけど。なんで秦と付き合ったの?」
「あ、私もそれ気になってたんだよね。私はフリーだったからOKしたんだけど、海野さんも?」
「あー・・・実は、私誰かとお付き合いってした事がなくて。前の会社の事があって、人肌に飢えてたんですよね」
前の会社での事は毎日残業、休日出勤は当たり前だったから、疲れはてて仕事以外の時間は食事と睡眠に充てるしかなく、友人達と連絡を取る事もなくなり遊びに行く時間もなかった為、だんだん疎遠になっていった。就職を機に会社近くにひとり暮らしを始めてしまい、家族から離れたのもよくなかった。家が近いからすぐに呼び出されるし、残業も長くしてしまう。誰にも相談できず、会社以外誰とも話もせず働き続けて6年。
人肌に飢えまくっていたのだ。迫られればコロリと行くくらい。
退職してすぐに今の会社に就職し、早々に浮気野郎に声をかけられお付き合いする事になったのだった。
「いやー、本当に、本っ当にチョロい奴だったんですよ、去年の私」
「頑張ったのねぇ、仕方ないわよ」
「そういう風にした会社が悪いわ。海野さんは何も悪くないわよ」
話し終えたところで、よしよし、と2人から頭を撫でられる。
むふふふ、役得。
会社に就職したての頃は確かに酷かったが、今は余裕も出来て学生時代の友人や魔法少年少女仲間とも連絡を取り合い、時間が会えば食事や遊びに行くようになったので、もう人肌恋しいと思う事もなくなった。
「恋愛はいっときお休みします。お一人様満喫する事にします」
「そう・・・頑張ってね(無理だと思うけど)」
「はい!」
それからは坂下さんのお子さんの話をしたり(写真を見せてもらったが、大天使の子は天使だった)、美味しいランチの店を教えてもらったりしてお喋りを満喫した。お互いに名前で呼び合うくらいに仲を深めたところで、また女子会しましょう、とその日は解散した。
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