青の話

豆腐

文字の大きさ
15 / 20

14

しおりを挟む
佳代さんが部屋を見たい、と言うので案内する。
加賀地さんと楠木さんは、何やら話すことがあるんだとかでリビングに残って居る。

「こっちがパウダールーム、隣がトイレです」
「お風呂広いわね。前のとこ、バストイレ一緒だったから嫌だって言ってたわよね。良かったわねぇ」
「いやほんと、あれだけはストレスだったんですよねー、お風呂ゆっくり入れないし・・・あ、隣は書斎です」
「あなたの場合、書斎では無くて趣味部屋よ・・・うわ、広っ」
「でしょでしょ!?10畳あるんですよ、10畳!」

ここだけは配置に拘った。
この趣味部屋、リビングからと廊下側、2箇所から入れるようになっており、間で間仕切りが出来るようになっている。間仕切りをすると、廊下側の部屋が6畳、リビング側の部屋が4畳になるので間仕切りで仕切られる位置に人が通れるスペースを開けて背の低い本棚を置いて、4畳側は作業、リラックススペースにして、6畳側は窓を除いた壁全面に本棚を置いた。スペースがまだあったので、中央に間仕切り部分と同じく背が低い本棚を置いた。
これで、今までトランクルームに預けていた本が全て収納出来た・・・・持ってきてくれた業者さん、本と書いてた箱の多さに引いてたしな。せっかく能力があるから生かそうと、いろんな国の和訳辞書やら専門書やら雑誌やら買ってたら増えたんだ。いつの間にか。言葉を覚える為だ、仕方ない。
4畳の方にはパソコンデスクと隠さないといかんやつBLやTL等のR18本を収納した隙間本棚、中央に大きめの一人掛けソファーとミニテーブルを置いている。

「うわ、完っ全に趣味部屋だわ・・・あなた、ここから動かなくなりそう」
「うっ・・・そ、そんなことないですよー」
「絶対そうなるわ。ベッドがないだけマシね・・・ここで寝ないようにね」
「ど、努力します」

これ以上言われないよう、そそくさと部屋を出る。
玄関前まで戻り、ベッドルームの扉を開ける。
ここはまだ殆ど片付けておらず、収納付きベッドとサイドチェスト、さっき運んでもらったダンボールしかない。

「こっちは寝室です!」
「相変わらず大きいベッドで寝てるのね。サイズは何これ、クイーン?」
「ですですー、初任給で買って以来、このサイズじゃないと満足出来なくて」
「あら、ベッド変えた?前と違うわよね」
「もう古かったし、アイツが寝たベッドに寝たくなかったんで、さすがに変えました」
「あぁね、いいんじゃない?ベッドもあの会社にいた頃から使ってたやつでしょ、丁度良かったじゃない」
「ですね。出費は痛かったけど、貯金だけはありましたし。家具を統一したかったのもあったんで、心機一転ってやつです・・・ところで」
「なぁに?」
「あのショッパー、何です?」
「あぁ、結子がね、『買っちゃったから着て写メって送ってください☆』だって」
「え~~~またですか」

加賀地さんの娘、結子ちゃんは同人漫画を趣味で描いていて、ジャンルは女性向け男性向けどちらも描く。たまにこうして、参考資料として私がモデルをするのだ。が、ポーズがちょっと、うん、エロい方向なのでめちゃくちゃ恥ずかしい。なんであの子、エロ漫画しか描かないのよ・・・たまには健全も描けよ・・・・。一番問題なのは、佳代さんが割とノリノリなとこだ。何でだよ娘を止めろよ止めてくださいよ。
ジッパーを開けて中を見る。フリルのシャツと、ジャンスカ・・・や、コルセット着いてる、吊りスカートか?あと、何だこのグレーのニット、やたら面積が・・・・

「あらこれ、童殺服じゃない。ちょっと古くない?次何描くのかしら」
「いや、だから止めてくださいよ!!!!」
「・・・何、どした?」
「!!??」

開けたままだった扉から、ひょこ、と加賀地さんと楠木さんが顔を出した。
慌てて袋に服を戻す。
加賀地さんは結子ちゃんの同人活動を知らないのだ。バラすのはさすがにかわいそうだし・・・加賀地さんが。

「ナ、ナンデモアリマセン」
「?そうか。佳代、そろそろ帰ろう。ディナーの予約に間に合わなくなる」
「あら、もうそんな時間?」
「お、デートですか?デートですかぁ?お熱いですねぇ加賀地さん」
「うるさい、あほ」

ひゅーひゅー、とからかうと、ぽかっとグーで殴られた。痛い。
いやいや、いつまでもお熱い夫婦ですね。
二人を見送り、時間を見るとそろそろ18時になりそうだった。

「楠木さん、夕ご飯どうします?」
「お昼は作ってもらったし、夜はご馳走させてくれないか?」
「え、あれは、引っ越しお手伝いしてもらいましたし、むしろ私がご馳走します」
「引っ越し祝いだと思ってくれ。それに、困ってる子は助けるのが普通だろ」

な?と押し切られ、お互い汗を流して身支度し、そのまま近所のバルに連れて行かれご馳走してもらい、最後は家の前まで送ってもらった。
何だあの人、彼氏かよ。いつか絶対お返ししないと申し訳無さすぎる・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

処理中です...