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「とは言ってもなぁ」
駅まで一緒に帰ってくれた仲川に手を振って分かれ、家に向かう電車に乗る。
警戒とはどのように?というか、面倒事が増えたぞう。
まぁ、浮気野郎の方はそろそろ警戒しなくても良さそうだ。
今日は楠木さん、横浜で飲み会参加になったって連絡きたから帰らなさそうだし、久しぶりにひとりご飯だからどうしようかな。食べに行ってもいいし、テイクアウトもいいなぁ。
駅に着いたところで、ぴろろ、とラインの通知が来た。
見ると、魔法少女仲間からのご飯のお誘いだった。
明日も用事はないし、近況報告がてら誘いに乗る事にした。
***************
「みんな久しぶりかんぱーい」
「適当か・・・かんぱーい」
「ぱーい」
それぞれビール、焼酎、カクテル、日本酒を手にグラスを鳴らして飲む。
あ、ここカクテル美味しい。
「まさか、横浜からこっちに引っ越してるとはねぇ。今度泊まり行ってもいい?ベッドサイズ変わってないでしょ」
「変わっとらんよ!おいでおいでー」
「わたしも止まりたーい」
「なら、今度パジャマパーティしようよー、予定合わせよ」
ビールを片手に、小橋千陽こと、はるが言うのに続き、静岡夢美こと、ゆめと葛西望ことのんちゃんが続いてのってくる。
みんな、魔法少女だった仲間だ。
あと一人、井池渚ーーなぎがいるが、夏コミのコスプレ衣装追い込みだとかで今日は欠席だ。今年は絶対に私は着ない、絶対にだ。何がなんでも一般参加で薄い本を買い倒すんだ・・・っっ。
他にも魔法少年もいるが、今日は女子会なので来ていない。
長い付き合いなので、方言が出ても気にせず話せるから、酒の席でも気をつけなくて済む。
「にしてもさぁ、ゆめの先週のあれ、大丈夫だったの?いきなりあんな写真送られてきて、心臓止まるかと思ったわ」
「だって、銀行にお金おろしに行ったらまさかの銀行強盗よ?あんな機会絶対ないし、試しに今どこまで影薄くできるか実験してみたかったのよ」
「だからって、みんな捕まってる現場背景にピースしながら自撮りするなよ」
「ちゃんと無音カメラで撮ったよ?」
「そうじゃないでしょ。ばか」
何とか解決はしたようだったからよかったものの、昔のように完璧に気配遮断出来る訳ではないのだ。勘の鋭い、気配に敏い人には気付かれる。現に1人気付いていた人がいたようだし。
夢美の能力は透明人間。魔法少女のときは、隣りに居ても居ないものと思わせるくらい存在感を無くす事ができた。
千陽は身体強化、望はどんなものの匂いもかぎ分けられる能力だった。他にも数人いるが、それぞれの能力から日本チームはSHINOBIと他国から呼ばれていたくらい、隠密特化していた。
「だって、あの人警察官だったし。逮捕手伝ったあとは事情聴取だけで帰ったし・・・あ、金森さんいたからすんなり帰れたよ。メディア関係には、私の事はうまく隠してくれたみたい」
「金森さん!?なつかしー!!あの人覚えてくれてたんだ」
「巡査から警部になってたよ。流石にちょっと老けたけどまだまだ現役って感じで現場に行ったりしてるみたい」
「まぁ、お疲れさま。もう何もない事を祈ろう」
15年前、宇宙人捜索中にお世話になったり逆に手助けしたりした金森巡査を思い出しながら、もう一度みんなで乾杯する。
それぞれのグラスの中身を飲み干し、好きな飲み物を注文する。
「っぁー!ビールうまい」
「はるのおっさん化が進行してる・・・」
「うっさい。ていうか、あんたよあんた、ゆず!!」
「ひゃい!?」
ごつん、と乱暴にジョッキを置きながらはるに指をさされる。
顔が真っ赤になっているのは酔っ払っているのか、怒っているのか。
その矛先が自分に向くとは思っていなかったから変な声出ちゃった。
「あのクズ男に浮気されたってどういう事よ!?」
「それ、私も言おうと思ってたの!グレから聞いてビックリしたのよ、あの子もカンッカンに怒ってたんだから!」
「え、何それあたし聞いてないんだけど」
「やだ、どこから情報仕入れたん?まだ会社内しか知らないと思っとったんだけど」
「横浜の野良猫からカラス経由で仕入れたんだって・・・・って、そんな事どうでもいいのよ!だから言ったでしょ、あのクズ男は止めておきなさいって」
「野良猫にカラスて・・・グレってば野生に帰るん?」
グレこと木暮信明は、望の婚約者にして、魔法少年だった子だ。今でも動物と意思疎通が出来て、以前は動物にテレパシーで情報収集もしていた。逃げ道なども教えてくれてかなり助かった。
家は動物病院をやっていて、望はそこに併設している動物同伴可能なカフェで働いている。何年かしたら結婚するそうだ。
しかし、まさかの所から浮気情報まで漏れているとは思わなかった。説教はもうされたくないので誤魔化そう。
「そ、そういや、グレってば去年獣医資格受かったんでしょ?今実家の病院??」
「そうだよ、最近やーっと落ち着いたから、一緒に暮らすようにしたんだー」
「ずっと言ってたもんね、おめでと!今度何か送るから住所あとで教えてね」
「うん、ラインで送るわ。それよりもユズの話よ」
「誤魔化そうったって、そうはいかないわよ」
「そうそう、ちょっとそこに正座しなさい」
それからずっと説教された。全員お酒がはいっているから全く止まってくれない。
楽しいお酒だったのにー!!
駅まで一緒に帰ってくれた仲川に手を振って分かれ、家に向かう電車に乗る。
警戒とはどのように?というか、面倒事が増えたぞう。
まぁ、浮気野郎の方はそろそろ警戒しなくても良さそうだ。
今日は楠木さん、横浜で飲み会参加になったって連絡きたから帰らなさそうだし、久しぶりにひとりご飯だからどうしようかな。食べに行ってもいいし、テイクアウトもいいなぁ。
駅に着いたところで、ぴろろ、とラインの通知が来た。
見ると、魔法少女仲間からのご飯のお誘いだった。
明日も用事はないし、近況報告がてら誘いに乗る事にした。
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「みんな久しぶりかんぱーい」
「適当か・・・かんぱーい」
「ぱーい」
それぞれビール、焼酎、カクテル、日本酒を手にグラスを鳴らして飲む。
あ、ここカクテル美味しい。
「まさか、横浜からこっちに引っ越してるとはねぇ。今度泊まり行ってもいい?ベッドサイズ変わってないでしょ」
「変わっとらんよ!おいでおいでー」
「わたしも止まりたーい」
「なら、今度パジャマパーティしようよー、予定合わせよ」
ビールを片手に、小橋千陽こと、はるが言うのに続き、静岡夢美こと、ゆめと葛西望ことのんちゃんが続いてのってくる。
みんな、魔法少女だった仲間だ。
あと一人、井池渚ーーなぎがいるが、夏コミのコスプレ衣装追い込みだとかで今日は欠席だ。今年は絶対に私は着ない、絶対にだ。何がなんでも一般参加で薄い本を買い倒すんだ・・・っっ。
他にも魔法少年もいるが、今日は女子会なので来ていない。
長い付き合いなので、方言が出ても気にせず話せるから、酒の席でも気をつけなくて済む。
「にしてもさぁ、ゆめの先週のあれ、大丈夫だったの?いきなりあんな写真送られてきて、心臓止まるかと思ったわ」
「だって、銀行にお金おろしに行ったらまさかの銀行強盗よ?あんな機会絶対ないし、試しに今どこまで影薄くできるか実験してみたかったのよ」
「だからって、みんな捕まってる現場背景にピースしながら自撮りするなよ」
「ちゃんと無音カメラで撮ったよ?」
「そうじゃないでしょ。ばか」
何とか解決はしたようだったからよかったものの、昔のように完璧に気配遮断出来る訳ではないのだ。勘の鋭い、気配に敏い人には気付かれる。現に1人気付いていた人がいたようだし。
夢美の能力は透明人間。魔法少女のときは、隣りに居ても居ないものと思わせるくらい存在感を無くす事ができた。
千陽は身体強化、望はどんなものの匂いもかぎ分けられる能力だった。他にも数人いるが、それぞれの能力から日本チームはSHINOBIと他国から呼ばれていたくらい、隠密特化していた。
「だって、あの人警察官だったし。逮捕手伝ったあとは事情聴取だけで帰ったし・・・あ、金森さんいたからすんなり帰れたよ。メディア関係には、私の事はうまく隠してくれたみたい」
「金森さん!?なつかしー!!あの人覚えてくれてたんだ」
「巡査から警部になってたよ。流石にちょっと老けたけどまだまだ現役って感じで現場に行ったりしてるみたい」
「まぁ、お疲れさま。もう何もない事を祈ろう」
15年前、宇宙人捜索中にお世話になったり逆に手助けしたりした金森巡査を思い出しながら、もう一度みんなで乾杯する。
それぞれのグラスの中身を飲み干し、好きな飲み物を注文する。
「っぁー!ビールうまい」
「はるのおっさん化が進行してる・・・」
「うっさい。ていうか、あんたよあんた、ゆず!!」
「ひゃい!?」
ごつん、と乱暴にジョッキを置きながらはるに指をさされる。
顔が真っ赤になっているのは酔っ払っているのか、怒っているのか。
その矛先が自分に向くとは思っていなかったから変な声出ちゃった。
「あのクズ男に浮気されたってどういう事よ!?」
「それ、私も言おうと思ってたの!グレから聞いてビックリしたのよ、あの子もカンッカンに怒ってたんだから!」
「え、何それあたし聞いてないんだけど」
「やだ、どこから情報仕入れたん?まだ会社内しか知らないと思っとったんだけど」
「横浜の野良猫からカラス経由で仕入れたんだって・・・・って、そんな事どうでもいいのよ!だから言ったでしょ、あのクズ男は止めておきなさいって」
「野良猫にカラスて・・・グレってば野生に帰るん?」
グレこと木暮信明は、望の婚約者にして、魔法少年だった子だ。今でも動物と意思疎通が出来て、以前は動物にテレパシーで情報収集もしていた。逃げ道なども教えてくれてかなり助かった。
家は動物病院をやっていて、望はそこに併設している動物同伴可能なカフェで働いている。何年かしたら結婚するそうだ。
しかし、まさかの所から浮気情報まで漏れているとは思わなかった。説教はもうされたくないので誤魔化そう。
「そ、そういや、グレってば去年獣医資格受かったんでしょ?今実家の病院??」
「そうだよ、最近やーっと落ち着いたから、一緒に暮らすようにしたんだー」
「ずっと言ってたもんね、おめでと!今度何か送るから住所あとで教えてね」
「うん、ラインで送るわ。それよりもユズの話よ」
「誤魔化そうったって、そうはいかないわよ」
「そうそう、ちょっとそこに正座しなさい」
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楽しいお酒だったのにー!!
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