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「あー・・・酷い目にあった」
あれから浮気野郎の事から始まり、警戒心が無いとか男の見る目がなさ過ぎだとか説教が続き、終電間際になってようやっと解放されたのだ。
分かってるよ、男の見る目が無いことくらい・・・時期的にしょうがなかったんだよう、しくしく。
まだ痺れが残る足を引きずりながら、駅からマンションまでそう遠くない道のりをふらふら歩く。
週末だった事もあり、終電の時間でも少ないながらも人がちらほらいるため、変な人に絡まれないようにと、ちょっと警戒してしまう。あと補導も。
絡まれる事なく、マンションまで着いた。エントランスの明かりにほ、と息を吐きながら、パネルにカードキーを翳して開いた自動ドアをくぐる。
しかし、この時間に帰ったなんて楠木さんにバレたら。
「なんでこんな時間に帰ってんだーって、怒られそうだなぁ・・・・」
「ほーぅ、分かってるんだなぁ」
「ぴぇっ」
後ろからガッと肩を掴まれ、悲鳴をあげようとした口を手で塞がれた。
聞き覚えのある声に顔をあげると、にっこり笑顔の楠木さんがのぞき込んでくる。
あぁ今日は見れないんだと残念に思ってたけど大天使スマイル見れたよありがとうございますでも何かちょっと圧を感じるなぁ・・・ってか、え、何で楠木さんがいんの!?
「な、んで、いらっしゃるんでしょうか・・・」
「ん?終電で帰ってきたからだよ。マンションの方の仕事が入ったから帰ってきたら、警戒心を持てとよくよく言い聞かせてる筈の、見覚えある背中が前を歩いてるんだもんなぁ。ビックリしたよ」
「・・・・・・」
「おっかしいなぁ、1人で夜外歩くなって言ったと思ったんだけどなぁ」
「・・・・・え、えへへー、お疲れ様でっす・・・」
笑って誤魔化しつつ離れようとするも、肩にあった手がスルッと腰に回されて動けず、そのままエレベーターへ向かう。
あ、あんまり近いと、汗臭くないかなぁ?今日のバーは周りでタバコ吸ってる人は居ないようだったからタバコ臭はしないだろうけど、結構飲んだからお酒臭いかもしんない。大天使は全然臭くないってか汗の匂いしなくてちょっと甘いような、苦いような?落ち着く香りがするから余計に気になる。てかなんの香りだろう、どこの香水かな、好きな香りだから欲しいなぁ。
つらつら考えながら、離れようと腰にまわった手を引っ張る。が、がっちり力が入っているのか動かない。
「あ、あのー」
「ん?」
「わたし、お酒と汗臭いので、離してください」
「んー、そうか?」
髪に鼻を近付け、すん、と嗅がれる。
うああああああやめれええええええええ
「だ、だめです、臭いって言ったじゃないですかっ」
「別に臭くない」
「ひええぇ」
離そうにも、力が強すぎて微動だにしない。
抵抗する間にも、すんすんと頭を嗅がれる。
さ、さてはこの人酔ってんな!?顔平気そうだけど、結構酔ってんな!?!?
「あ、あの、酔ってます!?」
「いや、酔ってないよ」
「いやそれ酔ってない人絶対言うやつ・・・あ、うちでお茶でも飲んでから帰ったがいいですよ!」
丁度、家のある階に着いたためそのままちょっと強引に引っ張るようにして家まで連れて行く。
楠木さん、家最上階だからエレベーターで寝そう・・・もしくは関係ない階で降りたりしてなんかあったら、後味悪いし。ちょっと酔い醒まして帰ってもらおう。
家にあげてリビングのソファで待ってもらい、薄手のジャケットを受け取って玄関のポールハンガーに掛けておく。
就寝前だし、私はノンカフェインで温めの紅茶にしとこう。楠木さんは作り置きのアイスコーヒーだ。
自分もお酒が入っててちょっと眠いが、まぁ堪えられる範囲だ。あと1時間くらいは起きられるはず。
「お待たせしましたー」
「ありがとう」
「いえいえ」
コーヒーと一緒にオランジェットを出す。
夜遅いけど、ちょっとだけならまぁいいだろう。今日は金曜日、すでに遅くまで飲み食いしているのだ。ちょっとの甘いもので体重も脂肪も左右されまい。明日から頑張ればいいだけの話だ。
「これ美味いな・・・伊予柑、か?」
「そうです!前にバレンタインで友人から友チョコで貰ったんですが、ハマっちゃって。それからこのオランジェット、たまにお取り寄せしちゃってるんです」
「へぇ・・・作ったりしないのか?」
「時間ある時に、たまにですが作りますよ」
「今度食べたい」
「はぁい、今度作りますね」
甘いもの好きなのかなぁ?なんか可愛い。
それから出張での会議の内容や横浜の業務課の様子など教えてもらいつつ、こちらの様子も報告する。
皆さん元気そうで良かった。にしても、さっきからめっちゃ頭撫でてくるし、隣に座ってるけどなんだかいつもよか距離近い、というかほぼくっついてるし。やっぱり酔ってんのかな、距離感狂ってるんじゃ?
「それで、金井さんが・・・ふあぁ」
「・・・さっきから、眠そうだな。大丈夫か?」
「らいじょうぶ、っす・・・あー、ぽんぽん、きもちいです」
合間合間に撫でてくる手が気持ちよくて、だんだん眠くなってきた。距離も近いから、なんかあったかいし。
ぽんぽんもいいけど、なでなでも、きもちいい、なぁ・・・・・だめだ、ねむい・・・・ねそう・・・・・・・・
「酔ってないっていってるんだけど・・・ほんと、警戒心がなさ過ぎるなぁ」
あれから浮気野郎の事から始まり、警戒心が無いとか男の見る目がなさ過ぎだとか説教が続き、終電間際になってようやっと解放されたのだ。
分かってるよ、男の見る目が無いことくらい・・・時期的にしょうがなかったんだよう、しくしく。
まだ痺れが残る足を引きずりながら、駅からマンションまでそう遠くない道のりをふらふら歩く。
週末だった事もあり、終電の時間でも少ないながらも人がちらほらいるため、変な人に絡まれないようにと、ちょっと警戒してしまう。あと補導も。
絡まれる事なく、マンションまで着いた。エントランスの明かりにほ、と息を吐きながら、パネルにカードキーを翳して開いた自動ドアをくぐる。
しかし、この時間に帰ったなんて楠木さんにバレたら。
「なんでこんな時間に帰ってんだーって、怒られそうだなぁ・・・・」
「ほーぅ、分かってるんだなぁ」
「ぴぇっ」
後ろからガッと肩を掴まれ、悲鳴をあげようとした口を手で塞がれた。
聞き覚えのある声に顔をあげると、にっこり笑顔の楠木さんがのぞき込んでくる。
あぁ今日は見れないんだと残念に思ってたけど大天使スマイル見れたよありがとうございますでも何かちょっと圧を感じるなぁ・・・ってか、え、何で楠木さんがいんの!?
「な、んで、いらっしゃるんでしょうか・・・」
「ん?終電で帰ってきたからだよ。マンションの方の仕事が入ったから帰ってきたら、警戒心を持てとよくよく言い聞かせてる筈の、見覚えある背中が前を歩いてるんだもんなぁ。ビックリしたよ」
「・・・・・・」
「おっかしいなぁ、1人で夜外歩くなって言ったと思ったんだけどなぁ」
「・・・・・え、えへへー、お疲れ様でっす・・・」
笑って誤魔化しつつ離れようとするも、肩にあった手がスルッと腰に回されて動けず、そのままエレベーターへ向かう。
あ、あんまり近いと、汗臭くないかなぁ?今日のバーは周りでタバコ吸ってる人は居ないようだったからタバコ臭はしないだろうけど、結構飲んだからお酒臭いかもしんない。大天使は全然臭くないってか汗の匂いしなくてちょっと甘いような、苦いような?落ち着く香りがするから余計に気になる。てかなんの香りだろう、どこの香水かな、好きな香りだから欲しいなぁ。
つらつら考えながら、離れようと腰にまわった手を引っ張る。が、がっちり力が入っているのか動かない。
「あ、あのー」
「ん?」
「わたし、お酒と汗臭いので、離してください」
「んー、そうか?」
髪に鼻を近付け、すん、と嗅がれる。
うああああああやめれええええええええ
「だ、だめです、臭いって言ったじゃないですかっ」
「別に臭くない」
「ひええぇ」
離そうにも、力が強すぎて微動だにしない。
抵抗する間にも、すんすんと頭を嗅がれる。
さ、さてはこの人酔ってんな!?顔平気そうだけど、結構酔ってんな!?!?
「あ、あの、酔ってます!?」
「いや、酔ってないよ」
「いやそれ酔ってない人絶対言うやつ・・・あ、うちでお茶でも飲んでから帰ったがいいですよ!」
丁度、家のある階に着いたためそのままちょっと強引に引っ張るようにして家まで連れて行く。
楠木さん、家最上階だからエレベーターで寝そう・・・もしくは関係ない階で降りたりしてなんかあったら、後味悪いし。ちょっと酔い醒まして帰ってもらおう。
家にあげてリビングのソファで待ってもらい、薄手のジャケットを受け取って玄関のポールハンガーに掛けておく。
就寝前だし、私はノンカフェインで温めの紅茶にしとこう。楠木さんは作り置きのアイスコーヒーだ。
自分もお酒が入っててちょっと眠いが、まぁ堪えられる範囲だ。あと1時間くらいは起きられるはず。
「お待たせしましたー」
「ありがとう」
「いえいえ」
コーヒーと一緒にオランジェットを出す。
夜遅いけど、ちょっとだけならまぁいいだろう。今日は金曜日、すでに遅くまで飲み食いしているのだ。ちょっとの甘いもので体重も脂肪も左右されまい。明日から頑張ればいいだけの話だ。
「これ美味いな・・・伊予柑、か?」
「そうです!前にバレンタインで友人から友チョコで貰ったんですが、ハマっちゃって。それからこのオランジェット、たまにお取り寄せしちゃってるんです」
「へぇ・・・作ったりしないのか?」
「時間ある時に、たまにですが作りますよ」
「今度食べたい」
「はぁい、今度作りますね」
甘いもの好きなのかなぁ?なんか可愛い。
それから出張での会議の内容や横浜の業務課の様子など教えてもらいつつ、こちらの様子も報告する。
皆さん元気そうで良かった。にしても、さっきからめっちゃ頭撫でてくるし、隣に座ってるけどなんだかいつもよか距離近い、というかほぼくっついてるし。やっぱり酔ってんのかな、距離感狂ってるんじゃ?
「それで、金井さんが・・・ふあぁ」
「・・・さっきから、眠そうだな。大丈夫か?」
「らいじょうぶ、っす・・・あー、ぽんぽん、きもちいです」
合間合間に撫でてくる手が気持ちよくて、だんだん眠くなってきた。距離も近いから、なんかあったかいし。
ぽんぽんもいいけど、なでなでも、きもちいい、なぁ・・・・・だめだ、ねむい・・・・ねそう・・・・・・・・
「酔ってないっていってるんだけど・・・ほんと、警戒心がなさ過ぎるなぁ」
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