踊るキミを見ていたい

朝賀 悠月

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12・ライブ配信_舞音4

緊急ライブ配信① みんな、おまたせ

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『マオトくん、こんばんは!』
『あれ? いない?』
『マオトどこ?』
『間違って配信押した?』
「ごめん、間違ってない! ちょっといま配信の準備しないで開始ボタン押しちゃって、三脚立ててるとこ。ごめんもうちょっと待って?」

 カメラ前に顔を出して、画面の向こうにいるみんなに声を掛けた。

『はーい』
『待ってるよー』
『ちょっと元気になったっぽい?』

 準備している間も、画面の中でいろんな言葉がコメント欄に書かれていく。
 俺はそれを見ながら机に三脚を立てて、スマホをストッパーにカチッと嵌め込んだ。

「よし、おけ。あ、マイク……音大丈夫?」
『だいじょうぶー』
『いい声で聴こえてる』
「あ、ほんと? よかったー」

 設置が済んで、漸くデスクチェアに座った。
 画面を見ながら乱れた髪を整えて、向こう側にいるみんなに手を振ってみる。すると画面右下から、ハートのスタンプがたくさん飛んでいくのが目に入った。

「みんな、おまたせ」
『おかえり!』
『会いたかった~』
『マオトの顔が見られてうれしい!』
『元気になった?』
「うん。みんなのおかげ。本当にありがとう」

 みんなが喜んでくれている。コメント欄がそんな声でいっぱいになる中、『ユーダイくんの動画見た?』との言葉が目に飛び込んできた。

「雄代くんの動画見たよ! 実は俺、またずっと電源切ってたんだけどさ、今日あの、例の男の子がみんなのコメントに気付いてくれて。……うん、そう。一緒にいたの。それで、スマホで雄代くんの動画見せてくれてね。知りました」
『男の子ナイス!』
『その彼に感謝』
『何歳ですか?』
「ん? 十七かな。高校生」
『年下彼氏か』
「違う違う! もう、すぐそっちに持ってくぅ」

 思わず笑いながらツッコミを入れたら、コメント欄が泣き笑いと号泣とwの記号で溢れた。『久しぶりのツッコミきた』『マオトが帰ってきたぁ』『待って今のだけで泣くんだが』なんて言ってて、俺は、どれだけみんなに心配を掛けていたんだろう。

「ほんと、ごめんね心配かけちゃってて。もう大丈夫。みんなが雄代くんのアカウントが開設されたって、教えてくれたおかげだよ。あれがなかったらまだまだ引き籠ったままだった」
『私たちのコメントを発見してくれた年下彼氏くんが神』
「だから彼氏じゃないんだってば~。弟みたいなもんなの、その子は」
『アカウント作ってくれたユーダイくんにも感謝したい』
「そうだね。それは本当に、そう。この配信しようって思ったのもね、みんなにお礼が言いたかったのと、そのことでちょっと語りたかったからなんだ。聞いてくれる?」
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