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是空と愛の炎編
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:是空と愛の炎
『我が空…是を以って魔を打ち砕く!受けなさい「是空の一撃!」』
ボフン!
しかし、星美の八角棒は光を宿さず、煙を吹いて、その「奥の手」は不発に終わる。
…結局、その「黒い影の魔霊」は手負いのまま逃亡して、後にもう一人の「独覚」ロウエンに葬られた。
(先祖に伝わる八角棒が力を貸してくれない…何で?)
ゆったりとした白装束に、兜巾を被った姿の「独覚女」新山星美の疑問に、八卦庵の地下拠点でこれを聞いた「独覚の呪符使い」ロウエンと「ケイオスの姫」セリーヌは、口々に言う。
「それは、心がちゃんと「空」になっていないんじゃないか?」
「今の貴女には「空」もそうだけど「愛」も必要かも知れませんね」
(どうしよう…八角棒の力が無ければ、私の力は半減する「ロウガード」にもいられないかも…)
星美の不安に、応えたのは同僚の、Tシャツに青いジーンズ姿の「夢使い」冬川誠二だった。
「星美さんに力がなくなっても、俺は味方だよ。八角棒が力を貸してくれないなら仕方ない。二人で「ロウガード」を抜けよう」
「誠二…」
嬉しくないはずはないのだが、そう言われても、星美には納得しきれない部分があった。
「修行者」である星美には「こだわらない心が重要だ」と幾人もの先達から聞かされてきたからだ。
それは、誠二の「使い魔」である「キャラクター」達への信頼や愛情と対極をなすもので、この差が、星美と誠二の距離を遠ざけているといってもいい。
なので、再度星美は誠二に問う。
「もし、私が「独覚」でなくなっても、誠二は側にいてくれる?」
「もちろんさ。何だったら、今から俺と駆け落ちする?セリーヌとその護衛のゼイギルみたいにさ」
誠二は即答した。そこには微塵にも迷いというものがない。星美にはそれが嬉しかった。
星美は目に涙が浮かぶのを自覚した。
(何でこんなに想われているのに、今まで気づかなかったのだろう)
星美は誠二の「使い魔」である「キャラクター」達との事で、これまで誠二と距離を置いていた自分を恥じた。
「じゃあ、私の側に居て、ずっと離れないで、お願い…」
…この星美の懇願で、誠二と星美は「ロウガード」に長期の休暇を願い、ロウガードの宿舎の星美の部屋で、同棲する事となった。誠二の部屋は、物が散らばるカオスな状態なので、こういう形になったのだ。
二人は、調度品の少ない畳敷きの部屋で、布団を敷くと、同じ布団に収まり、互いを抱きしめた。
…ただ、互いにそうするだけで、それ以上の事もしなかったが。
それでも、星美は誠二の鼓動を身近に感じて、彼に深く愛されていた事を知った。
ずっと彼は、こんな風に、自分を優しく見守っていたのだ。
星美はその想いを告げた。
「誠二、私達「婚約」しない?このままじゃあ、いつまでたっても前に進めないわ」
誠二もこの想いに答える。
「それが星美さんの望みなら、そうするよ。そして、本当に想いが通じ合えたら結婚しよう」
…こうして、この不器用な二人は、六道区の役所に「婚約」を約する「誓書」を提出した。
いかし、この同棲生活は、半年もしないうちに途中で中断された。
ロウガードの上層部が「他に示しがつかない」という理由で、宿舎から二人を追い出したのだ。
とはいえ、二人にはこれまでの任務で稼いだ報酬がある。
「六道区を離れて、旅に出よう」と、誠二はいい、
「そうね。八卦庵のみんなには悪いけど、私は元々「修行者」だから、それもいいわね」
星美もこれを、承諾した。
六道区に、凶悪な「敵」が出たのは、その「旅」にでる準備中の事であった…。
☆
「いけい、石将軍。今こそ「ロウガード」の拠点、八卦庵を踏みつぶすのじゃ」
それは、瀕死の重傷から立ち直った蘇霊であった。
彼は「石の大像」である「石将軍」を操り、その肩を借り、かつての方仙の用いた「エグレグール」と同様に、街を破壊しつつ進んだ。
違うのは「ロウガード」の拠点である「八卦庵」を目指しているところか。
…この石将軍、本来は「魔除けの石像」なのだが、蘇霊はその本質を邪術で捻じ曲げて、大兵として使っている。
「石将軍」は、地鳴りを挙げて八卦庵に進撃する。その精神世界では、ロウエンやセリーヌ達が、黒い瘴気を纏った「石将軍」に苦戦中だ。
旅にでようとしていた星美は誠二と顔を見合わせると頷き合い、それぞれこの「石将軍」の精神世界にフルダイブした。
「ロウガード」でなくても、例え、以前程の力が無くとも、二人にこれは見過ごせなかった。
星美はどこまでいっても「独覚女」であり、誠二も「夢使い」だと言う事だろうか。
☆
石将軍の精神世界は、魔霊のそれと同じように、薄暗い空間であった。
美麗と鳳燕、セリーヌとゼイギル、ロウエンとラジーナらもそこにいたが、そびえたつ「石将軍」相手に、手も足もだせない様子だった。
『星美さん、先に行くよ…「とっておき」だ。我は求め召喚する…「対魔霊砲、アストラル・バスター!」』
霊力を纏った大筒を召喚して、即座に構える誠二。そして、その霊砲で石将軍に虹色の照射の砲撃を浴びせる。
しかし、その砲撃は石将軍のその霊的堅固さに、それを多少穿つ傷を負わせるにとどまる。
「甘いわ、そんなもので、こやつは倒せん!まとめて冥府に送ってくれるわ!」
石将軍にの肩に乗る、蘇霊が哄笑する。石将軍は、誠二に向けて、口から火炎を吐く。
「結!」
星美が左手で「結界の印」を組み、誠二を中心に結界を張り、これを防ぐ。
「先祖に伝わる八角棒よ…。もう一度、私に力を…」
『無駄じゃ、お前が「奥の手」を使えんのは計算済みじゃ!』
蘇霊は叫ぶ。しかし、星美の想いが通じたのか、八角棒が、光を、いや、神々しい炎を帯び始める。
「我が空…そして、其の愛の炎を以って魔を焼き払う!」
新たな境地で、星美はその技を振るう。激情のような愛の赤は、神々しい炎と化して、八角棒に燃え盛る。
『これまでよ!受けなさい「是空炎滅撃!」』
「縮地」のような勢いで間合いを詰め、跳躍して、大上段から繰り出されるその神々しい炎を纏った八角棒の一撃は、石将軍の頭をを粉々に砕き、その巨体をも炎上、滅殺する。
その巻きあがる炎に、石将軍の肩に乗る蘇霊も巻き込まれて、断末魔の叫びを挙げる。
「グワァァァァ!」
それが「ケイオス」から脱走し、さらに「ロウガード」とも敵対して、様々な事件を起こした怪僧「蘇霊」の最後の叫びだった。
『すげえ、あれが本当の「独覚」か…』
それを見ていた、「呪符使い」のロウエンは、彼にしては珍しく、驚嘆の声をあげる。
「どうやら、星美も一皮むけたようね」
同じく見ていた「ケイオスの姫」セリーヌも満足げだ。
赤いチャイナドレス姿の六道区でのリーダー格、大人の女性、美麗は韻を踏むように言う。
『「独覚の、本性みたり、愛の華」て所かしら?』
緑の武闘服姿の美麗の相棒、鳳燕は「韻を踏んでる場合か。ここはもう終わりだな、撤収するぞ」と冷静に、戦いの終わりを告げる。
こうして「蘇霊」と「石将軍」は倒れて、各々は、この「石将軍」の精神世界から実体世界に撤収した。
☆
実体世界では、またもガレキの山となった六道区の中華街。復興には、また時間と人手がいるだろう。
その中で、誠二は星美に駆け寄ると、少しきつめのハグをする。
星美もそれに、逆らわない。むしろ、情熱的に、抱きかえす。
「誠二、あなたのおかげよ。あなたがいるから、私はまた強くなれた」
「じゃあ、俺も、もっと強くならないとね。新しい召喚武具も、作らないと」
…こうして「独覚」として、一皮むけた星美と、彼女と寄り添う事を選んだ誠二。
そこまでは、よかったのだが…。
「何、結局のところまだ抱いてないのか?早くしないと「独覚女」どこかのだれかにさらわれちまうぜ」
Tシャツに黒いジーンズ姿のロウエンが、誠二に呆れ、茶化すように言うと、
「ロウエン。身体を求めるだけが愛情ではないでしょう。あなたのそれは、即物的すぎよ」
金髪碧眼、赤いドレス姿のセリーヌは、逆に、誠二と星美を擁護する構えだ。
セリーヌの護衛、ロウガードの制服を着た山賊顔の太刀使い、大男のゼイギルは無言、気の利いた台詞がでないのだろう。
ロウエンの彼女、白いワンピース姿の淑やかなお嬢さん、ラジーナは優し気に微笑んで「まあ、いいじゃないですか」とこの展開を受け入れる。
ともあれ、様々な事件の元凶の一人「蘇霊」は倒した。この事で「ロウガード」の上層部は手の平を返すように誠二と星美の復帰を認めて、まだ間取りもそのままの「ロウガード」の宿舎の星美の部屋に、二人は落ち着く。
☆
星美と誠二はその調度の少ない畳敷きの部屋で、抱き合うと、情熱的な口づけを交わした。
そして、そっと二人は身体を離す。星美は誠二にこう告げる。
『「蘇霊」は倒したけど「ケイオス」の勢力はまだ健在だから、油断しちゃだめよ。しっかり私についてきてね「誠二」』
いつのまにか、主導権が星美に移っているが、誠二も星美も気にせずに向かい合い、屈託のない笑顔を交わす。
…「独覚女」新山星美と「夢使い」冬川誠二は、これからも闇の組織「ケイオス」と戦い続けるだろう…。
…そしてそれは、彼らが「ケイオス」の「総統ヴァイン」を打ち倒すまで続くのだ。
「独覚女」新山星美と「夢使い」冬川誠二の物語はここで一つの幕を下ろす…。
『「独覚女と夢使い」「了」』
『我が空…是を以って魔を打ち砕く!受けなさい「是空の一撃!」』
ボフン!
しかし、星美の八角棒は光を宿さず、煙を吹いて、その「奥の手」は不発に終わる。
…結局、その「黒い影の魔霊」は手負いのまま逃亡して、後にもう一人の「独覚」ロウエンに葬られた。
(先祖に伝わる八角棒が力を貸してくれない…何で?)
ゆったりとした白装束に、兜巾を被った姿の「独覚女」新山星美の疑問に、八卦庵の地下拠点でこれを聞いた「独覚の呪符使い」ロウエンと「ケイオスの姫」セリーヌは、口々に言う。
「それは、心がちゃんと「空」になっていないんじゃないか?」
「今の貴女には「空」もそうだけど「愛」も必要かも知れませんね」
(どうしよう…八角棒の力が無ければ、私の力は半減する「ロウガード」にもいられないかも…)
星美の不安に、応えたのは同僚の、Tシャツに青いジーンズ姿の「夢使い」冬川誠二だった。
「星美さんに力がなくなっても、俺は味方だよ。八角棒が力を貸してくれないなら仕方ない。二人で「ロウガード」を抜けよう」
「誠二…」
嬉しくないはずはないのだが、そう言われても、星美には納得しきれない部分があった。
「修行者」である星美には「こだわらない心が重要だ」と幾人もの先達から聞かされてきたからだ。
それは、誠二の「使い魔」である「キャラクター」達への信頼や愛情と対極をなすもので、この差が、星美と誠二の距離を遠ざけているといってもいい。
なので、再度星美は誠二に問う。
「もし、私が「独覚」でなくなっても、誠二は側にいてくれる?」
「もちろんさ。何だったら、今から俺と駆け落ちする?セリーヌとその護衛のゼイギルみたいにさ」
誠二は即答した。そこには微塵にも迷いというものがない。星美にはそれが嬉しかった。
星美は目に涙が浮かぶのを自覚した。
(何でこんなに想われているのに、今まで気づかなかったのだろう)
星美は誠二の「使い魔」である「キャラクター」達との事で、これまで誠二と距離を置いていた自分を恥じた。
「じゃあ、私の側に居て、ずっと離れないで、お願い…」
…この星美の懇願で、誠二と星美は「ロウガード」に長期の休暇を願い、ロウガードの宿舎の星美の部屋で、同棲する事となった。誠二の部屋は、物が散らばるカオスな状態なので、こういう形になったのだ。
二人は、調度品の少ない畳敷きの部屋で、布団を敷くと、同じ布団に収まり、互いを抱きしめた。
…ただ、互いにそうするだけで、それ以上の事もしなかったが。
それでも、星美は誠二の鼓動を身近に感じて、彼に深く愛されていた事を知った。
ずっと彼は、こんな風に、自分を優しく見守っていたのだ。
星美はその想いを告げた。
「誠二、私達「婚約」しない?このままじゃあ、いつまでたっても前に進めないわ」
誠二もこの想いに答える。
「それが星美さんの望みなら、そうするよ。そして、本当に想いが通じ合えたら結婚しよう」
…こうして、この不器用な二人は、六道区の役所に「婚約」を約する「誓書」を提出した。
いかし、この同棲生活は、半年もしないうちに途中で中断された。
ロウガードの上層部が「他に示しがつかない」という理由で、宿舎から二人を追い出したのだ。
とはいえ、二人にはこれまでの任務で稼いだ報酬がある。
「六道区を離れて、旅に出よう」と、誠二はいい、
「そうね。八卦庵のみんなには悪いけど、私は元々「修行者」だから、それもいいわね」
星美もこれを、承諾した。
六道区に、凶悪な「敵」が出たのは、その「旅」にでる準備中の事であった…。
☆
「いけい、石将軍。今こそ「ロウガード」の拠点、八卦庵を踏みつぶすのじゃ」
それは、瀕死の重傷から立ち直った蘇霊であった。
彼は「石の大像」である「石将軍」を操り、その肩を借り、かつての方仙の用いた「エグレグール」と同様に、街を破壊しつつ進んだ。
違うのは「ロウガード」の拠点である「八卦庵」を目指しているところか。
…この石将軍、本来は「魔除けの石像」なのだが、蘇霊はその本質を邪術で捻じ曲げて、大兵として使っている。
「石将軍」は、地鳴りを挙げて八卦庵に進撃する。その精神世界では、ロウエンやセリーヌ達が、黒い瘴気を纏った「石将軍」に苦戦中だ。
旅にでようとしていた星美は誠二と顔を見合わせると頷き合い、それぞれこの「石将軍」の精神世界にフルダイブした。
「ロウガード」でなくても、例え、以前程の力が無くとも、二人にこれは見過ごせなかった。
星美はどこまでいっても「独覚女」であり、誠二も「夢使い」だと言う事だろうか。
☆
石将軍の精神世界は、魔霊のそれと同じように、薄暗い空間であった。
美麗と鳳燕、セリーヌとゼイギル、ロウエンとラジーナらもそこにいたが、そびえたつ「石将軍」相手に、手も足もだせない様子だった。
『星美さん、先に行くよ…「とっておき」だ。我は求め召喚する…「対魔霊砲、アストラル・バスター!」』
霊力を纏った大筒を召喚して、即座に構える誠二。そして、その霊砲で石将軍に虹色の照射の砲撃を浴びせる。
しかし、その砲撃は石将軍のその霊的堅固さに、それを多少穿つ傷を負わせるにとどまる。
「甘いわ、そんなもので、こやつは倒せん!まとめて冥府に送ってくれるわ!」
石将軍にの肩に乗る、蘇霊が哄笑する。石将軍は、誠二に向けて、口から火炎を吐く。
「結!」
星美が左手で「結界の印」を組み、誠二を中心に結界を張り、これを防ぐ。
「先祖に伝わる八角棒よ…。もう一度、私に力を…」
『無駄じゃ、お前が「奥の手」を使えんのは計算済みじゃ!』
蘇霊は叫ぶ。しかし、星美の想いが通じたのか、八角棒が、光を、いや、神々しい炎を帯び始める。
「我が空…そして、其の愛の炎を以って魔を焼き払う!」
新たな境地で、星美はその技を振るう。激情のような愛の赤は、神々しい炎と化して、八角棒に燃え盛る。
『これまでよ!受けなさい「是空炎滅撃!」』
「縮地」のような勢いで間合いを詰め、跳躍して、大上段から繰り出されるその神々しい炎を纏った八角棒の一撃は、石将軍の頭をを粉々に砕き、その巨体をも炎上、滅殺する。
その巻きあがる炎に、石将軍の肩に乗る蘇霊も巻き込まれて、断末魔の叫びを挙げる。
「グワァァァァ!」
それが「ケイオス」から脱走し、さらに「ロウガード」とも敵対して、様々な事件を起こした怪僧「蘇霊」の最後の叫びだった。
『すげえ、あれが本当の「独覚」か…』
それを見ていた、「呪符使い」のロウエンは、彼にしては珍しく、驚嘆の声をあげる。
「どうやら、星美も一皮むけたようね」
同じく見ていた「ケイオスの姫」セリーヌも満足げだ。
赤いチャイナドレス姿の六道区でのリーダー格、大人の女性、美麗は韻を踏むように言う。
『「独覚の、本性みたり、愛の華」て所かしら?』
緑の武闘服姿の美麗の相棒、鳳燕は「韻を踏んでる場合か。ここはもう終わりだな、撤収するぞ」と冷静に、戦いの終わりを告げる。
こうして「蘇霊」と「石将軍」は倒れて、各々は、この「石将軍」の精神世界から実体世界に撤収した。
☆
実体世界では、またもガレキの山となった六道区の中華街。復興には、また時間と人手がいるだろう。
その中で、誠二は星美に駆け寄ると、少しきつめのハグをする。
星美もそれに、逆らわない。むしろ、情熱的に、抱きかえす。
「誠二、あなたのおかげよ。あなたがいるから、私はまた強くなれた」
「じゃあ、俺も、もっと強くならないとね。新しい召喚武具も、作らないと」
…こうして「独覚」として、一皮むけた星美と、彼女と寄り添う事を選んだ誠二。
そこまでは、よかったのだが…。
「何、結局のところまだ抱いてないのか?早くしないと「独覚女」どこかのだれかにさらわれちまうぜ」
Tシャツに黒いジーンズ姿のロウエンが、誠二に呆れ、茶化すように言うと、
「ロウエン。身体を求めるだけが愛情ではないでしょう。あなたのそれは、即物的すぎよ」
金髪碧眼、赤いドレス姿のセリーヌは、逆に、誠二と星美を擁護する構えだ。
セリーヌの護衛、ロウガードの制服を着た山賊顔の太刀使い、大男のゼイギルは無言、気の利いた台詞がでないのだろう。
ロウエンの彼女、白いワンピース姿の淑やかなお嬢さん、ラジーナは優し気に微笑んで「まあ、いいじゃないですか」とこの展開を受け入れる。
ともあれ、様々な事件の元凶の一人「蘇霊」は倒した。この事で「ロウガード」の上層部は手の平を返すように誠二と星美の復帰を認めて、まだ間取りもそのままの「ロウガード」の宿舎の星美の部屋に、二人は落ち着く。
☆
星美と誠二はその調度の少ない畳敷きの部屋で、抱き合うと、情熱的な口づけを交わした。
そして、そっと二人は身体を離す。星美は誠二にこう告げる。
『「蘇霊」は倒したけど「ケイオス」の勢力はまだ健在だから、油断しちゃだめよ。しっかり私についてきてね「誠二」』
いつのまにか、主導権が星美に移っているが、誠二も星美も気にせずに向かい合い、屈託のない笑顔を交わす。
…「独覚女」新山星美と「夢使い」冬川誠二は、これからも闇の組織「ケイオス」と戦い続けるだろう…。
…そしてそれは、彼らが「ケイオス」の「総統ヴァイン」を打ち倒すまで続くのだ。
「独覚女」新山星美と「夢使い」冬川誠二の物語はここで一つの幕を下ろす…。
『「独覚女と夢使い」「了」』
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