淫魔の力に振り回される訳あり令嬢は、騎士様の執愛から逃れられない

高瀬ゆみ

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食事の時間②

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「——っ!」

 ぞわっと体が震えて、ルナは息をのむ。
 体の中に何かが入ってくる。初めての感覚だった。
 でも、それが嫌ではないから不思議だ。

「辛いか?」

 ロイドの気遣いに、ルナは首を横に振る。
 辛いというよりも、むしろ……

(気持ち、いい? 初めてなのに全然痛くない。この体、どれだけ都合よくできているの……?)

 さすがサキュバスだと我ながら呆れてしまう。
 もしかしたら現実と夢の中では体の作りが違うのかもしれないと思いながら、心配そうに見つめてくるロイドにそっと微笑む。

「大丈夫です」

 ロイドからすれば、ルナとの行為は不本意だろうに、同意してくれたばかりかルナに触れる手はとても優しい。
 鍛え上げた体も、キリッとした顔立ちも、一見怖そうに見えるけれど、見た目に反して良い人だった。

 躊躇いながら、ルナは首に回した腕に力を入れてロイドを引き寄せると、願いを口にする。

「本当に、大丈夫ですので。どうか私の中に入れてください」

 あと、これだけは忘れてはならないとルナは一言付け加えた。

「いっぱい中に出して」

 ルナにとっては精気を得るために必要な伝達だったけれど、ロイドからすればそうは聞こえない。

 「ハアアアア……」と本日何度目かわからない溜息をつくと、ロイドはうっすらと目元を赤く染めてルナを睨んだ。

「言ったな? 煽ったのはお前なんだから後悔するなよ」

 そう言ってロイドは夜着を寛げると肉棒を取り出した。
 そり立ったソレはロイドの逞しい体同様、大きくて太い。
 ルナは勇ましい肉棒を見て、口の中に唾が溜まっていくのを感じた。

 眠っているロイドを見たときに感じた、美味しそうだと思う感覚が蘇ってくる。
 それなのに、サキュバスとしての興奮と同じくらいなんだか嫌な予感がして、ルナは思わず待ったをかけた。

「ま、待ってください! あの、ちょっと心の準備を……」

「待たない。欲しがったのはお前だろう」

 ロイドはそう言ってルナの足を広げると、濡れた蜜口に宛がってゆっくりと押し入った。

 熱くて硬いものが、中に入ってくる。
 それと同時にキスの比ではない甘美な精気を感じて、ルナは大きく背を反らした。

「ああっ!」

 グッと奥まで突き入れられて、頭を振って身悶える。
 中を擦りつけられる動きに、堪らなくなった。

 腰を進めていたロイドの動きが止まる。一つ息をつくと、ルナの顔を覗き込んだ。

「痛くないか?」

 ロイドの優しい心遣い。
 けれど今のルナにはそれを感じられる余裕はなかった。

(痛くは、ない。痛くはないけれど、これは……)

「~~ッ、~~!」

 体の奥で感じる強烈な精気に、ルナの視界がピンク色に染まる。
 それは、信じられないくらいの快感だった。

「あ……あ……」

 頭の中が『気持ちいい』という単語で埋め尽くされる。
 奥まで突き入れただけでこの快感。これに動きが加わってしまったらどうなってしまうんだろう。

 怖くなったルナは待ったをかけようとしたものの、ルナの蕩けきった顔を見たロイドは問題ないと判断したらしい。
 制止する前に腰を動かし始めた。

「やああぁぁ! ま、待ってぇぇ!」

 腰を引いて、そして奥まで突き入れる。
 たったそれだけの行為なのに、途轍もないほどの愉悦がルナを襲う。
 ロイドも快感を得ているのか眉を寄せて耐えるような表情を浮かべた。

「どうして? 気持ちいいんだろッ?」

 ロイドが動くたびに、ぐちゅぐちゅと淫らな音が部屋に響く。

「気持ち、イイっ、のが……いや、なのォ」

 ひんひんと甘い声をあげながらルナが否定する。
 繋がったところから感じる快感は甘さを通り越していっそ暴力的なほどだった。

 一人でしたことのないルナには絶頂の感覚がわからないけれど、イくというのが快感の高まりであるならば、今のルナはずっとイっていることになる。

(もう、ずっと、気持ちいい状態から抜け出せない……!)

 白い体をほんのりと赤く染めながら、涙を流して快感を訴えるルナを見て、ロイドもまた興奮していた。
 気持ちよすぎて怖いと訴えるルナの手をベッドに押し付けて、グリグリと奥を刺激する。

「ああっ! 奥、だめぇっ! 良すぎるの」

「ハハッ、可愛いな」

 自分の一挙手一投足に身悶えるルナを見て、ロイドは嬉しそうに笑う。
 匂い立つような色気にあてられて、思わず舌なめずりしてしまう。獲物を狙う騎士の視線を一心に浴びて、ルナは体を震わせた。

「ぁぁ……や、やぁ……」

 怖いのか嬉しいのか、自分でもよくわからない。
 それでもロイドの強い眼差しは、ルナの心を揺さぶって、抗えないほどの充足感を与えた。

(今だって信じられないくらい気持ちいいのに……精気を感じるだけでこれほどの快感なら、中に出されてしまったら一体どうなってしまうの?)

 ロイドに最奥で吐精されることを想像して、ルナは恐ろしさにふるりと震えた。
 これ以上快感を与えられたらおかしくなってしまう。
 中に出してほしいと言ったのは自分だけれど、早く撤回しなければ。

 そう思いロイドを見ると、ルナの視線に気付いたロイドは目を細めた。
 男性的な魅力に溢れた裸体を晒し、逞しい動きで攻め立てる姿。
 ルナが思わず見惚れていると、ロイドは上からルナを抱き締めて体を密着させると、耳元で熱く囁いた。

「満足したか?」

「~~し、した! しましたっ! だから、中には……」

「なら、イクぞ。お前の一番奥に出してやる」

 そうじゃないと言おうとしたルナの声は、ロイドから与えられた口付けによってかき消されてしまった。
 唇からも膣内からもロイドの精気を浴びて、ルナの思考はドロドロに溶けていく。

(あ……ダメ、なのに……上も下も、ぜんぶ気持ちイイ……)

 再び視界がピンク色に染まる。
 ロイドの精気がどんどん濃くなっていくのをルナは全身で感じていた。

 それはルナの理性を簡単に吹き飛ばしてしまう。
 もう抵抗なんてできなかった。荒々しい口付けも、激しい腰の動きも、ロイドから与えられる全てが欲しくて堪らない。


 彼の全部が、欲しい——


 ルナがロイドを求めたのと、ロイドが大きく腰を動かして最奥まで突き上げたのはほぼ同時だった。

「……ッ……イク……!」

 ロイドの掠れた低い声。
 一番奥の深いところで肉棒から熱い精を吐き出されて、ルナの頭の中は真っ白に染まった。

「~~~~っっ!」

 多幸感で体中満たされていく。


 ——嬉しい、気持ちいい、幸せ……


 強烈でありながら、体を包み込むようなじんわりとした喜びを感じて、ルナは心も身体も満たされたような心地になった。


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