9 / 12
食事の時間②
しおりを挟む「——っ!」
ぞわっと体が震えて、ルナは息をのむ。
体の中に何かが入ってくる。初めての感覚だった。
でも、それが嫌ではないから不思議だ。
「辛いか?」
ロイドの気遣いに、ルナは首を横に振る。
辛いというよりも、むしろ……
(気持ち、いい? 初めてなのに全然痛くない。この体、どれだけ都合よくできているの……?)
さすがサキュバスだと我ながら呆れてしまう。
もしかしたら現実と夢の中では体の作りが違うのかもしれないと思いながら、心配そうに見つめてくるロイドにそっと微笑む。
「大丈夫です」
ロイドからすれば、ルナとの行為は不本意だろうに、同意してくれたばかりかルナに触れる手はとても優しい。
鍛え上げた体も、キリッとした顔立ちも、一見怖そうに見えるけれど、見た目に反して良い人だった。
躊躇いながら、ルナは首に回した腕に力を入れてロイドを引き寄せると、願いを口にする。
「本当に、大丈夫ですので。どうか私の中に入れてください」
あと、これだけは忘れてはならないとルナは一言付け加えた。
「いっぱい中に出して」
ルナにとっては精気を得るために必要な伝達だったけれど、ロイドからすればそうは聞こえない。
「ハアアアア……」と本日何度目かわからない溜息をつくと、ロイドはうっすらと目元を赤く染めてルナを睨んだ。
「言ったな? 煽ったのはお前なんだから後悔するなよ」
そう言ってロイドは夜着を寛げると肉棒を取り出した。
そり立ったソレはロイドの逞しい体同様、大きくて太い。
ルナは勇ましい肉棒を見て、口の中に唾が溜まっていくのを感じた。
眠っているロイドを見たときに感じた、美味しそうだと思う感覚が蘇ってくる。
それなのに、サキュバスとしての興奮と同じくらいなんだか嫌な予感がして、ルナは思わず待ったをかけた。
「ま、待ってください! あの、ちょっと心の準備を……」
「待たない。欲しがったのはお前だろう」
ロイドはそう言ってルナの足を広げると、濡れた蜜口に宛がってゆっくりと押し入った。
熱くて硬いものが、中に入ってくる。
それと同時にキスの比ではない甘美な精気を感じて、ルナは大きく背を反らした。
「ああっ!」
グッと奥まで突き入れられて、頭を振って身悶える。
中を擦りつけられる動きに、堪らなくなった。
腰を進めていたロイドの動きが止まる。一つ息をつくと、ルナの顔を覗き込んだ。
「痛くないか?」
ロイドの優しい心遣い。
けれど今のルナにはそれを感じられる余裕はなかった。
(痛くは、ない。痛くはないけれど、これは……)
「~~ッ、~~!」
体の奥で感じる強烈な精気に、ルナの視界がピンク色に染まる。
それは、信じられないくらいの快感だった。
「あ……あ……」
頭の中が『気持ちいい』という単語で埋め尽くされる。
奥まで突き入れただけでこの快感。これに動きが加わってしまったらどうなってしまうんだろう。
怖くなったルナは待ったをかけようとしたものの、ルナの蕩けきった顔を見たロイドは問題ないと判断したらしい。
制止する前に腰を動かし始めた。
「やああぁぁ! ま、待ってぇぇ!」
腰を引いて、そして奥まで突き入れる。
たったそれだけの行為なのに、途轍もないほどの愉悦がルナを襲う。
ロイドも快感を得ているのか眉を寄せて耐えるような表情を浮かべた。
「どうして? 気持ちいいんだろッ?」
ロイドが動くたびに、ぐちゅぐちゅと淫らな音が部屋に響く。
「気持ち、イイっ、のが……いや、なのォ」
ひんひんと甘い声をあげながらルナが否定する。
繋がったところから感じる快感は甘さを通り越していっそ暴力的なほどだった。
一人でしたことのないルナには絶頂の感覚がわからないけれど、イくというのが快感の高まりであるならば、今のルナはずっとイっていることになる。
(もう、ずっと、気持ちいい状態から抜け出せない……!)
白い体をほんのりと赤く染めながら、涙を流して快感を訴えるルナを見て、ロイドもまた興奮していた。
気持ちよすぎて怖いと訴えるルナの手をベッドに押し付けて、グリグリと奥を刺激する。
「ああっ! 奥、だめぇっ! 良すぎるの」
「ハハッ、可愛いな」
自分の一挙手一投足に身悶えるルナを見て、ロイドは嬉しそうに笑う。
匂い立つような色気にあてられて、思わず舌なめずりしてしまう。獲物を狙う騎士の視線を一心に浴びて、ルナは体を震わせた。
「ぁぁ……や、やぁ……」
怖いのか嬉しいのか、自分でもよくわからない。
それでもロイドの強い眼差しは、ルナの心を揺さぶって、抗えないほどの充足感を与えた。
(今だって信じられないくらい気持ちいいのに……精気を感じるだけでこれほどの快感なら、中に出されてしまったら一体どうなってしまうの?)
ロイドに最奥で吐精されることを想像して、ルナは恐ろしさにふるりと震えた。
これ以上快感を与えられたらおかしくなってしまう。
中に出してほしいと言ったのは自分だけれど、早く撤回しなければ。
そう思いロイドを見ると、ルナの視線に気付いたロイドは目を細めた。
男性的な魅力に溢れた裸体を晒し、逞しい動きで攻め立てる姿。
ルナが思わず見惚れていると、ロイドは上からルナを抱き締めて体を密着させると、耳元で熱く囁いた。
「満足したか?」
「~~し、した! しましたっ! だから、中には……」
「なら、イクぞ。お前の一番奥に出してやる」
そうじゃないと言おうとしたルナの声は、ロイドから与えられた口付けによってかき消されてしまった。
唇からも膣内からもロイドの精気を浴びて、ルナの思考はドロドロに溶けていく。
(あ……ダメ、なのに……上も下も、ぜんぶ気持ちイイ……)
再び視界がピンク色に染まる。
ロイドの精気がどんどん濃くなっていくのをルナは全身で感じていた。
それはルナの理性を簡単に吹き飛ばしてしまう。
もう抵抗なんてできなかった。荒々しい口付けも、激しい腰の動きも、ロイドから与えられる全てが欲しくて堪らない。
彼の全部が、欲しい——
ルナがロイドを求めたのと、ロイドが大きく腰を動かして最奥まで突き上げたのはほぼ同時だった。
「……ッ……イク……!」
ロイドの掠れた低い声。
一番奥の深いところで肉棒から熱い精を吐き出されて、ルナの頭の中は真っ白に染まった。
「~~~~っっ!」
多幸感で体中満たされていく。
——嬉しい、気持ちいい、幸せ……
強烈でありながら、体を包み込むようなじんわりとした喜びを感じて、ルナは心も身体も満たされたような心地になった。
10
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される
狭山雪菜
恋愛
マリアは学園卒業後の社交場で、王太子から婚約破棄を言い渡されるがそもそも婚約者候補であり、まだ正式な婚約者じゃなかった
公の場で婚約破棄されたマリアは縁談の話が来なくなり、このままじゃ一生独身と落ち込む
すると、友人のエリカが気分転換に騎士団員への慰労会へ誘ってくれて…
全編甘々を目指しています。
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
碧眼の小鳥は騎士団長に愛される
狭山雪菜
恋愛
アリカ・シュワルツは、この春社交界デビューを果たした18歳のシュワルツ公爵家の長女だ。
社交会デビューの時に知り合ったユルア・ムーゲル公爵令嬢のお茶会で仮面舞踏会に誘われ、参加する事に決めた。
しかし、そこで会ったのは…?
全編甘々を目指してます。
この作品は「アルファポリス」にも掲載しております。
燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。
夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。
気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……?
「こんな本性どこに隠してたんだか」
「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」
さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。
+ムーンライトノベルズにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる