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48.貴方のせいじゃないの?(3)
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※ストーリーの展開上、うるさくてヤバい奴が出てきます。登場話は明日更新分までで終わる予定です。
「わっ!」
「……ッ!」
アメリの顔に勢いよく煙が吹き付けられる。煙がこちらにまで漂ってくるのが見えて、口を閉じてきつく目をつぶった。
この煙の睡眠効果はどれほど強いものだっただろうか。記憶を呼び起こそうとしたけれど、呼吸が出来ないなか上手く頭が働かない。息を止めて、ただひたすら時が経つのを待つのは辛かった。
……不意に、ツタの一つが私の足に触れた。
「ッ!」
ビクッと体が震える。
驚きのあまり、声を上げそうになるのを必死で耐える。
そのツタはふくらはぎを通り過ぎると、太ももを這い上がり、どんどん上にのぼってくる。足を振っても落ちる気配がない。
ソレは私の体を好き勝手に這い回り、制服で隠れていない首元に……素肌に直接触れる。にゅるっとしたものが顔に触れ、次の瞬間、口の中に入ってきた。
「んぐっ!」
口の中を動き回るツタによって呼吸を止めていることができず、不快感に眉を寄せる。
「んんっ……んう……!」
ガブッと歯を立てて噛み付くとツタは口から離れていった。
恐る恐る目を開ける。煙はもう晴れたようで、息を吸っても違和感はない。
視線を横に向けると、ツタに拘束されたまま、ぐったりとしたアメリの姿があった。
「アメリッ!」
鋭い悲鳴を上げてツタに取られた腕を動かしてもがく。
「アメリ! アメリ! 大丈夫なの⁉」
声を張り上げると、反応するようにアメリから声が漏れた。
「ぐう……」
「ね、寝てるだけ……?」
寝息を立てて眠るアメリを見て、はあっと息をつく。ただ寝ているだけのようでよかった。
直接煙を吹き掛けられたアメリと違い、私は睡眠効果のある煙を吸わずにすんだため意識を保ったままでいられている。
「でも、どうしてこんなことに」
魔法植物の植え替えをするためにやって来たはずなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。部屋の中を見回してみても、アメリが開けた箱以外に植え替えに関するようなものは見当たらない。
そして、箱の中には魔力を吸収する希少種と、魔力を浴びると成長し睡眠効果のある煙を吐き出す魔法植物が入っていた。植え替え分と間違えて入れてしまったとは到底思えない。
つまり、私たちが来ると知っていて、あえて用意したのだろう。
アメリが言っていた、『絶対に私を連れてくるように』という言葉……
もじゃもじゃの青い髪に大きな丸い眼鏡をかけた魔法植物の先生の姿を思い浮かべた。
ガラッと扉が開く。
機嫌良さそうに鼻歌を歌いながら部屋の中に入ってきた男は、私の顔を見てにっこりと笑った。
「こんにちは。クランベルさん」
私に話し掛ける先生は、いつも身に纏っている白衣を着て、いつもと変わらない笑顔を見せている。
今はそれが余計に怖く感じる。女子生徒二人が魔法植物に拘束されているという異様な光景を、先生は疑問に感じていないようだった。
「あ、貴方の仕業なの?」
怯えていると悟られないように、強気な態度を崩さず声を張り上げる。
目の前の男を睨み付けると、先生はうっとりと口元を綻ばせた。
「ああ、ジェシカたんだぁ……」
「――……は?」
――ジェシカ、たん……?
固まった私に気付いているのかいないのか、先生は口に手を当てて身悶えていた。
「あああああ、触手に捕らえられてるジェシカたん可愛いいい! スチルのまんまじゃん! いや、現物の方が何万倍もいいわ! それにジェシカたんの強気な顔、たまらんんん!」
「尊いぃ」と言って、拳を握り胸の前でガッツポーズを決める男。
前世で聞いたことのある単語を口にする男を、私は呆然と見つめた。
「わっ!」
「……ッ!」
アメリの顔に勢いよく煙が吹き付けられる。煙がこちらにまで漂ってくるのが見えて、口を閉じてきつく目をつぶった。
この煙の睡眠効果はどれほど強いものだっただろうか。記憶を呼び起こそうとしたけれど、呼吸が出来ないなか上手く頭が働かない。息を止めて、ただひたすら時が経つのを待つのは辛かった。
……不意に、ツタの一つが私の足に触れた。
「ッ!」
ビクッと体が震える。
驚きのあまり、声を上げそうになるのを必死で耐える。
そのツタはふくらはぎを通り過ぎると、太ももを這い上がり、どんどん上にのぼってくる。足を振っても落ちる気配がない。
ソレは私の体を好き勝手に這い回り、制服で隠れていない首元に……素肌に直接触れる。にゅるっとしたものが顔に触れ、次の瞬間、口の中に入ってきた。
「んぐっ!」
口の中を動き回るツタによって呼吸を止めていることができず、不快感に眉を寄せる。
「んんっ……んう……!」
ガブッと歯を立てて噛み付くとツタは口から離れていった。
恐る恐る目を開ける。煙はもう晴れたようで、息を吸っても違和感はない。
視線を横に向けると、ツタに拘束されたまま、ぐったりとしたアメリの姿があった。
「アメリッ!」
鋭い悲鳴を上げてツタに取られた腕を動かしてもがく。
「アメリ! アメリ! 大丈夫なの⁉」
声を張り上げると、反応するようにアメリから声が漏れた。
「ぐう……」
「ね、寝てるだけ……?」
寝息を立てて眠るアメリを見て、はあっと息をつく。ただ寝ているだけのようでよかった。
直接煙を吹き掛けられたアメリと違い、私は睡眠効果のある煙を吸わずにすんだため意識を保ったままでいられている。
「でも、どうしてこんなことに」
魔法植物の植え替えをするためにやって来たはずなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。部屋の中を見回してみても、アメリが開けた箱以外に植え替えに関するようなものは見当たらない。
そして、箱の中には魔力を吸収する希少種と、魔力を浴びると成長し睡眠効果のある煙を吐き出す魔法植物が入っていた。植え替え分と間違えて入れてしまったとは到底思えない。
つまり、私たちが来ると知っていて、あえて用意したのだろう。
アメリが言っていた、『絶対に私を連れてくるように』という言葉……
もじゃもじゃの青い髪に大きな丸い眼鏡をかけた魔法植物の先生の姿を思い浮かべた。
ガラッと扉が開く。
機嫌良さそうに鼻歌を歌いながら部屋の中に入ってきた男は、私の顔を見てにっこりと笑った。
「こんにちは。クランベルさん」
私に話し掛ける先生は、いつも身に纏っている白衣を着て、いつもと変わらない笑顔を見せている。
今はそれが余計に怖く感じる。女子生徒二人が魔法植物に拘束されているという異様な光景を、先生は疑問に感じていないようだった。
「あ、貴方の仕業なの?」
怯えていると悟られないように、強気な態度を崩さず声を張り上げる。
目の前の男を睨み付けると、先生はうっとりと口元を綻ばせた。
「ああ、ジェシカたんだぁ……」
「――……は?」
――ジェシカ、たん……?
固まった私に気付いているのかいないのか、先生は口に手を当てて身悶えていた。
「あああああ、触手に捕らえられてるジェシカたん可愛いいい! スチルのまんまじゃん! いや、現物の方が何万倍もいいわ! それにジェシカたんの強気な顔、たまらんんん!」
「尊いぃ」と言って、拳を握り胸の前でガッツポーズを決める男。
前世で聞いたことのある単語を口にする男を、私は呆然と見つめた。
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