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67.悪役令嬢のポテンシャル

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 ――断罪はなかった。
 クロードとも結ばれた。

 これ以上ないくらい幸せなはずなのに、余韻に浸ることが出来ないって、一体どういうことなのかしら……?

(――むしろ、初夜っていつまで続くの⁉)

 私はいまだ終わる気配のない営みに戦々恐々としていた。

 ……おかしい。普通、初体験って一回したら終わりなんじゃないの?
 「初めてだから大事にしたい」って、クロード言ってなかった⁉
 その結果が、抱き殺されるんじゃないかと思うほどエッチしてるって、どういうこと⁉



「あぁぁっ、いやぁっ、もう、ゆるしてぇ!」

 奥まで突き上げられて、自分の声とは思えないほど甘さを帯びた嬌声が部屋に響き渡る。
 一晩かけて私の体を開発したクロードは、後ろから腰を動かしながら胸を鷲掴みにした。

「ひぃっ、やぁ!」
「まだジェシカの体は物足らないって言っていますよ?」

 ――言ってない!
 絶対に言ってない!

「だって、ホラ……」

 弄られ過ぎて赤く色付いた乳首を指で摘ままれて、きゅんとクロードを締め付けてしまう。

「もっと欲しいってねだってくる」

 違います!
 不可抗力です!

「も、もうっ、無理ぃ!」

 後ろを向いて泣きながら訴える私に、クロードは聞き分けがない子供を前にしたように、やれやれと溜息をついた。

「それ、嘘ですよね。ジェシカの体は愛されれば愛されるだけ、喜んでいただけるようですから」

 まるで私のせいだと言わんばかりの態度に、思わず目を吊り上げる。

「そんなことない!」
「ジェシカも気付いているんじゃないですか。自分には素質があるって」
「そんなこと……ない……」

 言いながら自信をなくしてしまって、どんどん声が小さくなる。

 そう。この体、快感には弱いくせにセックスへの耐久性が高すぎるのだ。
 初めのうちは破瓜の痛みに苦しんでいたけれど、それが落ち着いた頃には従順に刺激を甘受できるようになっていた。
 クロードに何をされても気持ちいい、という状態にまで至ったときには、自分の体ながら恐れおののいたものだ。

(これが悪役令嬢補正だっていうのなら、ちっとも嬉しくない……!)

 自分のポテンシャルの高さに目を白黒させていると、私が集中していないことに気付いたクロードが、ズンッと重たいひと突きを与えた。

「やぁぁぁぁ!」
「いっぱい気持ち良くなりましょうね」

 クロードが探し当てた、体の奥の気持ち良くなってしまうところを執拗に擦られて、過ぎる快感に目の奥がチカチカした。

 私は『絶倫』という言葉を、身をもって知ることとなったのだった……


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