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第一章 始まり
第五話 夢
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「…来で……ている…」
なんだ、ここは…どこだろう? 辺りを見回すと緑豊かな草木があり、一際大きい樹の下で誰かが僕に語りかけてくる。 ……上手く聞き取れない…。
「ここは…君は一体…」
僕がその誰かに問いかける、その誰かは幼い少女のような姿をしていた。
問いかけてはみるが少女に聴こえてはいないのか、反応はない。
「……名……天………霊………ル」
頭にはノイズが走り、声はだんだんと遠くなっていく。 少女の顔は哀しげな表情を見せていた。
「ま…間に……! あ……を……出し…!」
その言葉を最後に僕の意識は遠くなり、視界は暗転した。
「……夢…か」
僕は起き上がり、腕を伸ばしながら周りを見渡す。 昨日は確か…マスターとマリー様と三人で朝まで飲んでたところまでは覚えてはいるが…記憶がひどく曖昧だ。
しかしここは僕の家だ、どうやって帰ったかも分からないがどうやら自力で帰ってこれたらしい。
「…とりあえず顔を洗おう」
ゆっくりとベッドから体を起こし、水を保管してある部屋へ行こうとした時不意にその扉が開いた。
「おや、起きたのかい? よく眠っていたね」
……マリー様だ、ナゼココニ…? 頭が混乱して追い付かない。
「どうやら何故ここにボクがいるのか理解ができてないみたいだね、昨日は共に熱い夜を共にしたというのに……悲しいねぇ」
マリー様が微笑みながら意味深な言葉を口にするが、なにも笑えない…これはもしかしてとんでもない事をしてしまったのではないか…?
その考えが僕の頭に追いついた時、僕はマリー様に土下座をしていた。 覚えがないとはいえ子爵令嬢ともあろう方を…
「マリー様申し訳ありません酔った勢いとはいえ僕はなんてとんでもないことを……! これは責任を取って…」
ん? 責任を取るということは…嫁入り前の子爵令嬢に手を出してしまった=死!
「頭を上げなよナナキ君、キミが考えているような事態にはなってないから安心していいよ」
そう土下座している僕の前に屈みまるで読心術かのように考えを読んでくる、この方は何故いつも僕の考えに対して核心をついてくるのだろうか?
「ちょ…驚かさないで下さいマリー様 でもなんでマリー様はここに…?」
そう、僕が想像していた事ではなかったのならばなぜマリー様はここにいるのだろうか?
「昨晩キミが潰れてから家まで送り届けてあげたんだ、感謝してくれてもいいよ」
マリー様は得意げな笑顔を見せながらいきさつを教えてくれた。 どうやら朝まで飲むと言った割に早々に潰れてしまったようだ。
「キミを送り届けた後はもう深夜でね、夜道が恐ろしかった淑女はキミの家に泊まらせて貰ったってワケさ」
そう語るマリー様の言葉に納得しかけるが僕は一つの懸念していた事を口に出すことにした。
「あの…このことをルーデル卿は…?」
「モチロン知らないね まあなんとかなるだろう」
と暢気に言っていた。 今頃は大騒ぎしてるだろうなあ、ルーデル家。
「と、とりあえずルーデル卿に謝罪を…」
「その必要はないだろう、じゃあボクは帰るとするよ」
そう言いマリー様が玄関口を開くと数人の使用人とメイド達がまるで待っていたかのように立っていた。 一体いつからいたのだろうか…?
「では、また会おうナナキ君」
そう言うと彼女は馬車へと乗り込んでいった。 少し安心していると使用人の一人が話しかけてきた。
「ナナキ様なら心配はないとは考えておりました」
「僕もなにもなくて良かったですよ…」
ホッとした感じでつい気が緩んでしまう。
「万が一、間違いがあった場合は……でしたが」
なんだかとても怖い一言を言われた気がするが…やめておこう、思い出さないほうが身のためだ。
「では…失礼致します」
そう言うとゆっくりと動き出した馬車に付き従っていく使用人さんの姿を見ながら僕はある決意をした。 しばらくお酒は飲まないという決意を。
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なんだ、ここは…どこだろう? 辺りを見回すと緑豊かな草木があり、一際大きい樹の下で誰かが僕に語りかけてくる。 ……上手く聞き取れない…。
「ここは…君は一体…」
僕がその誰かに問いかける、その誰かは幼い少女のような姿をしていた。
問いかけてはみるが少女に聴こえてはいないのか、反応はない。
「……名……天………霊………ル」
頭にはノイズが走り、声はだんだんと遠くなっていく。 少女の顔は哀しげな表情を見せていた。
「ま…間に……! あ……を……出し…!」
その言葉を最後に僕の意識は遠くなり、視界は暗転した。
「……夢…か」
僕は起き上がり、腕を伸ばしながら周りを見渡す。 昨日は確か…マスターとマリー様と三人で朝まで飲んでたところまでは覚えてはいるが…記憶がひどく曖昧だ。
しかしここは僕の家だ、どうやって帰ったかも分からないがどうやら自力で帰ってこれたらしい。
「…とりあえず顔を洗おう」
ゆっくりとベッドから体を起こし、水を保管してある部屋へ行こうとした時不意にその扉が開いた。
「おや、起きたのかい? よく眠っていたね」
……マリー様だ、ナゼココニ…? 頭が混乱して追い付かない。
「どうやら何故ここにボクがいるのか理解ができてないみたいだね、昨日は共に熱い夜を共にしたというのに……悲しいねぇ」
マリー様が微笑みながら意味深な言葉を口にするが、なにも笑えない…これはもしかしてとんでもない事をしてしまったのではないか…?
その考えが僕の頭に追いついた時、僕はマリー様に土下座をしていた。 覚えがないとはいえ子爵令嬢ともあろう方を…
「マリー様申し訳ありません酔った勢いとはいえ僕はなんてとんでもないことを……! これは責任を取って…」
ん? 責任を取るということは…嫁入り前の子爵令嬢に手を出してしまった=死!
「頭を上げなよナナキ君、キミが考えているような事態にはなってないから安心していいよ」
そう土下座している僕の前に屈みまるで読心術かのように考えを読んでくる、この方は何故いつも僕の考えに対して核心をついてくるのだろうか?
「ちょ…驚かさないで下さいマリー様 でもなんでマリー様はここに…?」
そう、僕が想像していた事ではなかったのならばなぜマリー様はここにいるのだろうか?
「昨晩キミが潰れてから家まで送り届けてあげたんだ、感謝してくれてもいいよ」
マリー様は得意げな笑顔を見せながらいきさつを教えてくれた。 どうやら朝まで飲むと言った割に早々に潰れてしまったようだ。
「キミを送り届けた後はもう深夜でね、夜道が恐ろしかった淑女はキミの家に泊まらせて貰ったってワケさ」
そう語るマリー様の言葉に納得しかけるが僕は一つの懸念していた事を口に出すことにした。
「あの…このことをルーデル卿は…?」
「モチロン知らないね まあなんとかなるだろう」
と暢気に言っていた。 今頃は大騒ぎしてるだろうなあ、ルーデル家。
「と、とりあえずルーデル卿に謝罪を…」
「その必要はないだろう、じゃあボクは帰るとするよ」
そう言いマリー様が玄関口を開くと数人の使用人とメイド達がまるで待っていたかのように立っていた。 一体いつからいたのだろうか…?
「では、また会おうナナキ君」
そう言うと彼女は馬車へと乗り込んでいった。 少し安心していると使用人の一人が話しかけてきた。
「ナナキ様なら心配はないとは考えておりました」
「僕もなにもなくて良かったですよ…」
ホッとした感じでつい気が緩んでしまう。
「万が一、間違いがあった場合は……でしたが」
なんだかとても怖い一言を言われた気がするが…やめておこう、思い出さないほうが身のためだ。
「では…失礼致します」
そう言うとゆっくりと動き出した馬車に付き従っていく使用人さんの姿を見ながら僕はある決意をした。 しばらくお酒は飲まないという決意を。
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