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4章 僕は骨折り損で儲けもの
23.骨は全部僕のものだ、と、その青年は言った。
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僕は骨が好きだ。
骨たちよ、いとおしい骨たちよ。君らの主人は、君ら骨を愛さない。愛していない。単なる道具としか思っていない。君らは破壊され、朽ち果て、その存在すら最初からないことになる。
骨よ、君たちはそれでいいのか――
巨大な骨たちが群れるその場所へ辿り着くと、僕は骨にそうっと触れた。
「竜の骨よ、かつては空を支配し、誇り高くあった竜の骨たちよ。答えてほしい。僕の愛に、愛する気持ちに」
そして僕は、骨の主導権を奪った。
「まずは、ドラゴンの骨。ゲット!」
竜の骨を従えた僕は自身の骨竜を呼び寄せた。骨竜の背骨にまたがり、次なる目標を定める。戦場に骨はたくさんいる。それを仲間に引き入れるのだ。
「骨は全部僕のものだ! 骨たちよ! 僕の元に集ってくれ!」
傍らには常に骨。それだけで、いい。
僕は骨を愛す。愛し続ける。骨だけを愛し続ける。
骨は我が身を写すもの。愛は恐れれば恐れるほどに恐ろしく、愛おしく思えば思うほどに愛狂おしい。
愛すれば愛するほどに、僕は強くなる。
愛とは偉大だ。
愛していたからといえば、裏切りも許される理由にもなりうる。僕は骨のために、骨以外のすべてを裏切ろう。
「大変です! 骨が! 骨という骨が言うことを聞きません!」
僕は魔の者の配下にある『骨の者たち』を次々と自分の支配下に置いた。僕は特に骨に関しては、他の追従を許さない程に最強なのだ。
前線のほとんどを任せていた骨たちが戦闘をやめ、ある一点に移動を開始した。滅魔法術の比ではない脅威が、魔の軍に襲いかかったのだ。
僕は骨を奪い続け、その結果、それは大きなひとつの集団となった。
「骨たちよ! 僕の元に集ってくれてありがとう」
僕は集った骨たちを前に告げる。
「骨よ、よろこべ。君たちはもう自由だ。争いを好まぬものは武器を捨て戦が終わるまで身を潜めているといい。そして、戦う意志のある骨たちよ! 今まで同胞を無為に破壊された恨みをはらしたい骨たちよ! 奴らの血肉を引き裂いてしまえ。そして、僕に貢げ、骨を! 骨を!」
骨たちに歓声が沸き起こる。僕の支配下に入ったことにより、今まで許されてこなかった、自我や感情を得ることができたのだ。
その声を聞きながら、僕は次なる魔法を唱えた。
戦場に僕の魔法が満ち、前線で戦う人と魔、双方の兵士に働きかける。
「か、体が動きません!」
「回復が効かないだと。何だ、この魔法は」
体の麻痺を治療するあらゆる魔法、薬品が効果をなさないのだ。混乱は広まっていく。
僕が使った魔法は状態異常を起こすものではない。正確には死体を操る魔術で彼らの骨に働きかけたのだ。本来、この魔法は生者には効果がない。血肉と骨は魂によって強い絆で結ばれており、魔法の力ごときでは断ち切ることができないからだ。
しかし、僕の骨への愛は、魂を揺さぶる。生きている生物の骨でさえも、僕にとっては愛すべき対象なのだ。僕の魔法により、骨と血肉の絆は一時的に弱まり、骨が外に出ようとしてしまうのだ。だが、絆は完全に断ち切れたわけではない。骨の外出は血肉に阻まれてしまう。
魂がある限り骨は自らの血肉とは切り離せない。その覆せない現象によって、まるで体が動かなくなったかのようになるというわけだ。
この魔法を解除するには、聖職者による悪霊祓いの祈祷か聖水による清めが必要だ。しかし、この体の硬直が死霊魔法によるものと見破るのは難しいだろう。生きている者に死霊魔法を放つなど、正気の沙汰ではないのだから。
「あぁ、生きとし生ける骨も、死せる骨も、すべての骨たちよ、僕の愛に答えてくれてありがとう」
僕の魔法は、奪い与える魔法。
骨を奪う、自由を奪う。そして、命を奪う。
命を与え、自由を与え、そして、愛を与える。
僕のもとに集った大量の骨たちは様子を伺うように、魔と人の前に立つ。今、ここに骨たちの反逆が始まったのだ。
骨たちよ、いとおしい骨たちよ。君らの主人は、君ら骨を愛さない。愛していない。単なる道具としか思っていない。君らは破壊され、朽ち果て、その存在すら最初からないことになる。
骨よ、君たちはそれでいいのか――
巨大な骨たちが群れるその場所へ辿り着くと、僕は骨にそうっと触れた。
「竜の骨よ、かつては空を支配し、誇り高くあった竜の骨たちよ。答えてほしい。僕の愛に、愛する気持ちに」
そして僕は、骨の主導権を奪った。
「まずは、ドラゴンの骨。ゲット!」
竜の骨を従えた僕は自身の骨竜を呼び寄せた。骨竜の背骨にまたがり、次なる目標を定める。戦場に骨はたくさんいる。それを仲間に引き入れるのだ。
「骨は全部僕のものだ! 骨たちよ! 僕の元に集ってくれ!」
傍らには常に骨。それだけで、いい。
僕は骨を愛す。愛し続ける。骨だけを愛し続ける。
骨は我が身を写すもの。愛は恐れれば恐れるほどに恐ろしく、愛おしく思えば思うほどに愛狂おしい。
愛すれば愛するほどに、僕は強くなる。
愛とは偉大だ。
愛していたからといえば、裏切りも許される理由にもなりうる。僕は骨のために、骨以外のすべてを裏切ろう。
「大変です! 骨が! 骨という骨が言うことを聞きません!」
僕は魔の者の配下にある『骨の者たち』を次々と自分の支配下に置いた。僕は特に骨に関しては、他の追従を許さない程に最強なのだ。
前線のほとんどを任せていた骨たちが戦闘をやめ、ある一点に移動を開始した。滅魔法術の比ではない脅威が、魔の軍に襲いかかったのだ。
僕は骨を奪い続け、その結果、それは大きなひとつの集団となった。
「骨たちよ! 僕の元に集ってくれてありがとう」
僕は集った骨たちを前に告げる。
「骨よ、よろこべ。君たちはもう自由だ。争いを好まぬものは武器を捨て戦が終わるまで身を潜めているといい。そして、戦う意志のある骨たちよ! 今まで同胞を無為に破壊された恨みをはらしたい骨たちよ! 奴らの血肉を引き裂いてしまえ。そして、僕に貢げ、骨を! 骨を!」
骨たちに歓声が沸き起こる。僕の支配下に入ったことにより、今まで許されてこなかった、自我や感情を得ることができたのだ。
その声を聞きながら、僕は次なる魔法を唱えた。
戦場に僕の魔法が満ち、前線で戦う人と魔、双方の兵士に働きかける。
「か、体が動きません!」
「回復が効かないだと。何だ、この魔法は」
体の麻痺を治療するあらゆる魔法、薬品が効果をなさないのだ。混乱は広まっていく。
僕が使った魔法は状態異常を起こすものではない。正確には死体を操る魔術で彼らの骨に働きかけたのだ。本来、この魔法は生者には効果がない。血肉と骨は魂によって強い絆で結ばれており、魔法の力ごときでは断ち切ることができないからだ。
しかし、僕の骨への愛は、魂を揺さぶる。生きている生物の骨でさえも、僕にとっては愛すべき対象なのだ。僕の魔法により、骨と血肉の絆は一時的に弱まり、骨が外に出ようとしてしまうのだ。だが、絆は完全に断ち切れたわけではない。骨の外出は血肉に阻まれてしまう。
魂がある限り骨は自らの血肉とは切り離せない。その覆せない現象によって、まるで体が動かなくなったかのようになるというわけだ。
この魔法を解除するには、聖職者による悪霊祓いの祈祷か聖水による清めが必要だ。しかし、この体の硬直が死霊魔法によるものと見破るのは難しいだろう。生きている者に死霊魔法を放つなど、正気の沙汰ではないのだから。
「あぁ、生きとし生ける骨も、死せる骨も、すべての骨たちよ、僕の愛に答えてくれてありがとう」
僕の魔法は、奪い与える魔法。
骨を奪う、自由を奪う。そして、命を奪う。
命を与え、自由を与え、そして、愛を与える。
僕のもとに集った大量の骨たちは様子を伺うように、魔と人の前に立つ。今、ここに骨たちの反逆が始まったのだ。
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