僕は骨が好きだ。大好きだ!

まいまい@”

文字の大きさ
23 / 25
4章 僕は骨折り損で儲けもの

23.骨は全部僕のものだ、と、その青年は言った。

しおりを挟む
 僕は骨が好きだ。
 骨たちよ、いとおしい骨たちよ。君らの主人は、君ら骨を愛さない。愛していない。単なる道具としか思っていない。君らは破壊され、朽ち果て、その存在すら最初からないことになる。
 骨よ、君たちはそれでいいのか――


 巨大な骨たちが群れるその場所へ辿り着くと、僕は骨にそうっと触れた。
「竜の骨よ、かつては空を支配し、誇り高くあった竜の骨たちよ。答えてほしい。僕の愛に、愛する気持ちに」
 そして僕は、骨の主導権を奪った。
「まずは、ドラゴンの骨。ゲット!」
 竜の骨を従えた僕は自身の骨竜を呼び寄せた。骨竜の背骨にまたがり、次なる目標を定める。戦場に骨はたくさんいる。それを仲間に引き入れるのだ。

「骨は全部僕のものだ! 骨たちよ! 僕の元に集ってくれ!」
 傍らには常に骨。それだけで、いい。
 僕は骨を愛す。愛し続ける。骨だけを愛し続ける。
 骨は我が身を写すもの。愛は恐れれば恐れるほどに恐ろしく、愛おしく思えば思うほどに愛狂おしい。
 愛すれば愛するほどに、僕は強くなる。
 愛とは偉大だ。
 愛していたからといえば、裏切りも許される理由にもなりうる。僕は骨のために、骨以外のすべてを裏切ろう。


「大変です! 骨が! 骨という骨が言うことを聞きません!」
 僕は魔の者の配下にある『骨の者たち』を次々と自分の支配下に置いた。僕は特に骨に関しては、他の追従を許さない程に最強なのだ。
 前線のほとんどを任せていた骨たちが戦闘をやめ、ある一点に移動を開始した。滅魔法術の比ではない脅威が、魔の軍に襲いかかったのだ。

 僕は骨を奪い続け、その結果、それは大きなひとつの集団となった。

「骨たちよ! 僕の元に集ってくれてありがとう」
 僕は集った骨たちを前に告げる。
「骨よ、よろこべ。君たちはもう自由だ。争いを好まぬものは武器を捨て戦が終わるまで身を潜めているといい。そして、戦う意志のある骨たちよ! 今まで同胞を無為に破壊されたころされた恨みをはらしたい骨たちよ! 奴らの血肉を引き裂いてしまえ。そして、僕に貢げ、骨を! 骨を!」
 骨たちに歓声が沸き起こる。僕の支配下に入ったことにより、今まで許されてこなかった、自我や感情を得ることができたのだ。

 その声を聞きながら、僕は次なる魔法を唱えた。
 戦場に僕の魔法が満ち、前線で戦う人と魔、双方の兵士に働きかける。

「か、体が動きません!」
「回復が効かないだと。何だ、この魔法は」
 体の麻痺を治療するあらゆる魔法、薬品が効果をなさないのだ。混乱は広まっていく。
 僕が使った魔法は状態異常を起こすものではない。正確には死体を操る魔術ネクロマンシーで彼らの骨に働きかけたのだ。本来、この魔法は生者には効果がない。血肉と骨は魂によって強い絆で結ばれており、魔法の力ごときでは断ち切ることができないからだ。
 しかし、僕の骨への愛は、魂を揺さぶる。生きている生物の骨でさえも、僕にとっては愛すべき対象なのだ。僕の魔法あいにより、骨と血肉の絆は一時的に弱まり、骨が外に出ようとしてしまうのだ。だが、絆は完全に断ち切れたわけではない。骨の外出は血肉に阻まれてしまう。
 魂があるいきている限り骨は自らの血肉とは切り離せない。その覆せない現象ことわりによって、まるで体が動かなくなったかのようになるというわけだ。
 この魔法を解除するには、聖職者による悪霊祓いの祈祷か聖水による清めが必要だ。しかし、この体の硬直が死霊魔法によるものと見破るのは難しいだろう。生きている者に死霊魔法を放つなど、正気の沙汰ではないのだから。

「あぁ、生きとし生ける骨も、死せる骨も、すべての骨たちよ、僕の愛に答えてくれてありがとう」
 僕の魔法は、奪い与える魔法。
 骨を奪う、自由を奪う。そして、命を奪う。
 命を与え、自由を与え、そして、愛を与える。

 僕のもとに集った大量の骨たちは様子を伺うように、魔と人の前に立つ。今、ここに骨たちの反逆どくりつが始まったのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

処理中です...