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見送り

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そのまままた、2人で踊った。楽しかった。夜会を楽しむなんて何年ぶりだろう。それこそ私が旦那様に口説かれた時以来かもしれない。一息ついて、仮面の彼を見つめる。お礼が言いたかった。仲良くなりたかった。

「……私はサシャ・カサンドラです。あなたのお名前を聞いても?」
「残念ながら、ここでは言えません。ですがきっとすぐ、分かりますよ」

その言葉の意味はよくわからなかったけど。言いたくないことだけはわかった。でも別にそれで構わなかった。私の命を救ってくれて、その上楽しい時間、優しい言葉までくれて。これ以上望めば罪というものだ。そのまま闇に溶けて去っていく彼を私は見送った。
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