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国宝認定
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「これか、見つけたぞ」
そう言って彼が手に取ろうとしたのは、葉が本来よりも大きくぎざついていて。
「リーシェン!ダメ!!!」
咄嗟に体が動いて、動作停止の魔法をリーシェンにかける。
「これ、触ると手がかぶれる毒草よ……ってあ!ごめんなさい、今解くわ」
慌てて解除すれば、リーシェンはなぜだか、どこか嬉しげだった。
「止めてくれて助かった。しかし俺の方を振り返ってから毒草と見分けるまでの時間、そして咄嗟に動作停止魔法をかける判断力……アンタはすごいな。昔の森を遊び場にしていたことだって、アンタ自身は遊びだと思っていたとしても、俺からすれば立派な努力だ。誇っていい」
それに魔法をかける予備動作もほとんどなかった。慣れている証拠だな、なんてなおも続く賛辞にわたしは顔をあげられない……今顔をあげたら、真っ赤なのがバレてしまう。こんなにデレてくれるリーシェンが見られるなんて、ああ、どうしても嬉しいと思ってしまう。
「あ、ありがとう」
「テスト、楽しみにしている……ヴィー」
赤面していることなど頭から抜け落ちて、思わず顔が上がった。リーシェンは柔く、微笑んでいる。
はい、国宝認定。フィリちゃん以外誰一人としてこの顔を見ることは許されません。私は見てしまった大罪人です。でももう地獄に落ちてもいい……最後の視界がこの顔ならむしろハッピーだわ……赤面とかそういうものを通り越して無になっているであろう私の顔よ。頼む。そのまま緩むな。気持ち悪いにやけ顔をこの美しい人に晒すな。ああ幸せってこのことだわ。今にも踊り出しそうな気分。はあああ、一生分の運、使い果たした可能性ない???
「……頑張るわね、リーシェン」
「俺もせいぜい、アンタに負けないようにする」
これで初の定期テスト赤点だったら死ぬな、私。羞恥心とか諸々で。
改めて勉強を頑張ることを誓った。
そう言って彼が手に取ろうとしたのは、葉が本来よりも大きくぎざついていて。
「リーシェン!ダメ!!!」
咄嗟に体が動いて、動作停止の魔法をリーシェンにかける。
「これ、触ると手がかぶれる毒草よ……ってあ!ごめんなさい、今解くわ」
慌てて解除すれば、リーシェンはなぜだか、どこか嬉しげだった。
「止めてくれて助かった。しかし俺の方を振り返ってから毒草と見分けるまでの時間、そして咄嗟に動作停止魔法をかける判断力……アンタはすごいな。昔の森を遊び場にしていたことだって、アンタ自身は遊びだと思っていたとしても、俺からすれば立派な努力だ。誇っていい」
それに魔法をかける予備動作もほとんどなかった。慣れている証拠だな、なんてなおも続く賛辞にわたしは顔をあげられない……今顔をあげたら、真っ赤なのがバレてしまう。こんなにデレてくれるリーシェンが見られるなんて、ああ、どうしても嬉しいと思ってしまう。
「あ、ありがとう」
「テスト、楽しみにしている……ヴィー」
赤面していることなど頭から抜け落ちて、思わず顔が上がった。リーシェンは柔く、微笑んでいる。
はい、国宝認定。フィリちゃん以外誰一人としてこの顔を見ることは許されません。私は見てしまった大罪人です。でももう地獄に落ちてもいい……最後の視界がこの顔ならむしろハッピーだわ……赤面とかそういうものを通り越して無になっているであろう私の顔よ。頼む。そのまま緩むな。気持ち悪いにやけ顔をこの美しい人に晒すな。ああ幸せってこのことだわ。今にも踊り出しそうな気分。はあああ、一生分の運、使い果たした可能性ない???
「……頑張るわね、リーシェン」
「俺もせいぜい、アンタに負けないようにする」
これで初の定期テスト赤点だったら死ぬな、私。羞恥心とか諸々で。
改めて勉強を頑張ることを誓った。
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