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しょうがない、しょうがないけど

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グループは、私が想定したとおりになった。
アンジエに懐かれて困惑しながらも勉強を教えるレウザン様に、その横で魔法を練習するレフラル。レウザン様も、なんだかんだ楽しげだ。おそらく彼はこれまでアンジエのように後輩に懐かれたことがないのだろう……あの性格だ。まあ、アンジエが特殊なだけとも言える。それに様子をうかがっている限り、アンジエは教えれば教えるだけ上達する、乾いたスポンジくらい吸収力がある。ただ飽きっぽいだけだ。今回のように尊敬する人、レウザン様のような人に教わればみるみるうちに成長していく。それも相まって、レウザン様も教えるのが楽しくなっているのだろう。レフラルも、もとから立場を気にする性格ゆえ、王族の横で練習というのが、丁度いいくらいのスパイスになっているらしい。先程からびくびくしつつも、私の前、リーシェンの前、と段階を踏んだこともあって、確実に上達しているようだ。
リーシェンとフィリちゃんもいい雰囲気だ。気になったところは遠慮なく指摘するフィリちゃんに、リーシェンが逆に新しい視点をもらえているらしい。フィリちゃんの考え方に素直に感嘆している様子が見て取れる。それに何より、推しカプが2人で並んで勉強している状況って最高じゃない???目の保養でしかない。ありがたやありがたや。これを活力にこれからも私はリーフィリを推進し続けるよ……

そして私達は、というと。

「ねえ、ヴィーちゃん。今日もキミの瞳は美しいね。まるでアメジストの輝きを詰め込んだみたいだ。その瞳に見つめられると、オレはどうにも従うしかなくなってしまうよ」
「ありがとうございます、では勉強してください」
「ああ、オレをこんなに焦らすなんて。そんなに余裕のないオレが見たいのかい?」
「特に見たくないです」

始終、こんな調子でもくもくと自習する私に、ルディーがちょっかいをかけてくる。切って捨てても、いくらでも湧いてくるそのメンタルの強さは逆に見習うべきか。

「あ、ねえ、ここ間違っているよ」

突然普通の、気取っていない声で、細い指がとある一問を指さす。

「だって、問題にある前提と、これじゃあ逆のことを述べている。多分、このマンドラゴラに関する記述がおかしくなってる」

何の気なしに見ただろうに、すらすらとその薄い唇からは問題点が指摘される。しかもすべて、正しい。
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