【本編完結】推しと推しをくっつけたい！！！～溺愛されたのは私でした～

庶民と差

「リーシェン！よかった、見つけられて」
「にしたって、急にどうしたんだよ？」

リーシェンは答えない。視線を私達からそむけたままだ。

「……アンタらと俺は違う。今まで黙っていたが、俺は貴族でも何でもない。奨学金を受けて学園に通う、ただの一般市民だ……俺にあそこの店は高すぎる」

情けなくなったのか、声はどんどん小さくなっていった。

「ハッ、学年1位の俺が平民出身で失望したか？もう絡む気は失せた……よな」
「え、それってすごく頭がいいってことよね！？」
「は……？」

重苦しい空気を破って、まあ、本人にその自覚はないだろうが、フィリちゃんが話し出す。

「やっぱりリーシェンってすごいわ！学年テスト一位だった時も驚いたけど、今のはもっとびっくり！すごいのね！」

徐々に、空気が軽くなっていく。

「おう、そうだぜリーシェン！それにこれから先も、嫌って言われようが、俺たちはお前に絡むぞ？」
「うん、だって僕たち……友達だもん！」

みんなで笑って、リーシェンを見る。

「……ふん、勝手にしろ、けど……その、ありが、とう」

くしゃくしゃの笑顔。安堵の笑顔。どこか泣きそうにも見えるのは私の思い込みか。原作通りではないけれど、穏便におさまった。いや、むしろ原作よりもリーシェンとみんなの距離が縮まっていいのでは？そう私が安心しているとき、先程までの雰囲気が嘘のような重苦しい声が、発された。

「私も、ね、みんなに黙っていたことがあるの」

それは、フィリちゃんの、声だった。