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顔が、上げられない
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「おい、ヴィー、さすがにそろそろ帰るぞ。この雨、やむ気配がないどころか、どんどん強まってる」
「ええ……そうしましょうか。えーっと、こっちの方向よね……」
そう言って、足を一歩、踏み出したとき。
「危ない!!!」
「!?きゃああああ!」
体が急速に滑り落ちる感覚。衝撃で、私の意識は消えていった。
体が、きしんで痛い。あちこちが、じんじんする。
「ん……」
「あっ、ヴィーちゃん、起きたんだね。よかった」
目の前には、顔まで泥だらけのルディー。一瞬考えを巡らせて、理解する。私は崖から落ち、それにルディーを巻き込んだのだ。
「す、すみませっ!って、え?」
体が、動かなかった。というより、今更、ルディーに抱きかかえられていると気付く。腰に巻きつく腕は、今もなお力が込められている。
「おっと、ごめんね、はい」
解放されたと同時に、私は深く深く頭を下げる。
「ごめんなさい……!!!巻き込んでしまって本当に、ごめんなさい。慣れた場所だからって、油断してました」
なんて失態。視界が悪くさえなければ、なんて言葉が浮かぶが、雨で視界が悪くなるまであそこにい続けたのは、わたしのちっぽけな満足感、ルディーから帰りたいという言葉をききたい、ということのためだけだ。その結果、ルディーまで巻き込んで遭難して……恥ずかしくて、顔が上げられなかった。
「ええ……そうしましょうか。えーっと、こっちの方向よね……」
そう言って、足を一歩、踏み出したとき。
「危ない!!!」
「!?きゃああああ!」
体が急速に滑り落ちる感覚。衝撃で、私の意識は消えていった。
体が、きしんで痛い。あちこちが、じんじんする。
「ん……」
「あっ、ヴィーちゃん、起きたんだね。よかった」
目の前には、顔まで泥だらけのルディー。一瞬考えを巡らせて、理解する。私は崖から落ち、それにルディーを巻き込んだのだ。
「す、すみませっ!って、え?」
体が、動かなかった。というより、今更、ルディーに抱きかかえられていると気付く。腰に巻きつく腕は、今もなお力が込められている。
「おっと、ごめんね、はい」
解放されたと同時に、私は深く深く頭を下げる。
「ごめんなさい……!!!巻き込んでしまって本当に、ごめんなさい。慣れた場所だからって、油断してました」
なんて失態。視界が悪くさえなければ、なんて言葉が浮かぶが、雨で視界が悪くなるまであそこにい続けたのは、わたしのちっぽけな満足感、ルディーから帰りたいという言葉をききたい、ということのためだけだ。その結果、ルディーまで巻き込んで遭難して……恥ずかしくて、顔が上げられなかった。
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