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告白2

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「ヴィーちゃん、来てくれたんだね……よかった」
「ルディー先輩……」

本当に、心の底から安堵した笑みで。彼は笑った。

「まず、キミに……謝りたいことがある。あの時、キスしてごめんね」

頭を下げられる。何も、言えなかった。

「本当に、ごめん。嫌な思いをさせた……こんなオレが言うのは間違っているのかもしれない。でも」

ゆったりとした足取りで、近づいて。私を、まっすぐ見つめて。

「キミが、好きだ……最初は好奇心だった。掴みどころのない、不思議な子だと思って。それに、家柄上、仲良くした方がいいとも考えてた」

力強くて、視線から、逃げられない。言葉から、逃げられない。

「でも今は違う。家とか、そんなの関係なく、キミが好きだ。キミだけが、好きだ」
「……信じられると、思いますか」
「……ッ!」

でも、でも。

「……信じてしまって、いいんですか」
「!……ヴィーちゃん……うん、オレは本気だ。お願い、一度でいい。何かを疑った時点で振ってくれていい。だから、だから……お願い、します」
「……本当に、一瞬でも浮気を疑わせた時点で嫌いになりますよ」
「!」
「私も好きです、先輩」

知らないうちに、口が動いていた。知らないうちに、顔が笑っていた。知らないうちに、腕を広げていた。
心地よいぬくもりに包まれる。ああ、ここは、世界で一番、安心できる場所だ。ぎゅっと、回す腕に込めた力を、強くした。
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