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しおりを挟む兄の海里は、幼いころ、ネフローゼを患っていた。
少しでも具合が悪くなると、心配性の母親が、すぐに入院させたり、別荘(ここではない)で療養させたりした。
あのころの、兄……。
ーー顔色が悪くて、むくんでいて、みっともなかったのに。
寛解が早かったおかげで、ステロイドの副作用が身長に影響をおよぼすことはなかった。運動を制限されることも。
それでも。
高校生になった今でも、時折、倦怠感を訴える。ひたすら、眠りつづける。赤血球が欠乏しているみたいに、肌色を蒼白にして、やつれた頬で。
ーーこの男のひとは、海里なんだろうか。本当に?
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