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(閑話)結婚相談所、再開!(中編)
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クルトさんは、最高に幸せに結婚できる相手がカリーナさんであること自体は、喜んでくれた。
しかし……カリーナさんにとって、それが自分であるとは限らない、と悲しそうに言った。
本当のことを言えば、逆もまた真なり、だが、それを言うことはやめておいた。
現時点で、彼が彼女と結ばれる手段が、思いつかなかったからだ。
俺の『究極縁結能力者』は、最も幸せになれる結婚相手を示してくれるが、二番目、三番目に幸せになれる相手は教えてくれないのだ。
ただ、彼は、一番幸せになれる相手が彼女だという占い結果に感謝してくれた。
しかしそれでも、寂しそうに帰って行くその姿を見て、ユナは、
「うまくいかないこともあるね……」
と、めずらしく? 俺を励ましてくれた。
それから三日後、日も落ちて、そろそろ店を閉めようと思っていたときに、クルトさんが血相を変えて走ってくるのが見えた。
ちょうど、ユナも、隣である自分の店、『ユナ超級ハンター依頼受付所』を閉めているところで、彼の姿を見つけたようだった。
クルトさんは息を切らせながら、
「大変な事になった!」
と、早口でまくし立てた。
俺もユナも、彼に落ち着くように言って、とりあえず店の中に入ってもらい、水を一杯のませ、話を聞いてみる事にした。
「きょ……今日の朝から、いつもなら遅刻したこともない彼女が、勤め先のパン屋を無断で休んでたんだ……昼になっても、なんの連絡もない。心配になった僕は、自分の店を早退して、彼女の家に行ってみた……そしたら、一緒に住んでいるカリーナのお姉さんがいて……えっと……昨日の夜は、彼氏の家に泊まりに行って、直接出勤するって言ってたらしいんです……」
それを聞いて、ユナは思わず、
「うわっ……」
と言ってしまった……俺も、相当きついな、とは思ったが。
「……でも、そうだったとしても、勤め先を無断で休むなんて、真面目な彼女は滅多にある事じゃない。ただ、僕はその彼氏の家は知らない……けど、彼の勤め先は聞いていた。この街でも有名な貴金属店で、そこのチーフだって言う話だったから。僕なんかが気軽に入れる店じゃなかったけど、カリーナの事が心配だったから、思い切って入って、店員にその彼……ビョルンを呼んでもらうように告げたんだけど……その人は怪訝そうな顔をして、『そのような名前の方は、この店には勤めていません』って言ってきたんだ……」
「……えっ……それって……どういうこと?」
「僕も、訳が分からなかった……そんなはずはないって、ついムキになって言ってしまったら、その上司らしき人が出て来て、奥の部屋に連れて行かれた……そして、こう言われたんです。『その男性、ビョルンさんの名前を言ったのは、今月に入って、貴方で二人目です。もう一人の方は、別の女性の母親で、娘が帰ってこない、ここにビョルンという名の男がいるはずだから会わせて欲しいと、一週間ぐらい、毎日来ていました』と……」
……正直、彼が何をいっているのか、よく分からなかった。
「……えっと、つまり、ビョルンという名前の男の人はその店にはいなくて、なのに彼のことを探しに来た母親がいて、その娘さんが行方不明、ってこと? カリーナさんとは別で?」
「……そうなります……」
彼の不安げな言葉に、俺もちょっと寒気がする思いだった。
実際には存在しないビョルンという名の男と、行方不明の女性が二人……。
「……タク、その男の人、なんか怪しくない?」
「ああ、俺もそう思った……それで、あなたがここに来た理由は?」
「えっと……彼女の居場所を、もし占ってもらえるならと思って……藁をもつかむ思いなんです……」
彼は相当焦っているようだったが、それは正しい行動だった。
「それは正解でしたね。俺には見える……貴方とカリーナさんを結ぶ、運命の糸が。そしてそれを辿っていけば、かならず彼女に会える!」
俺が出かける準備をするようにユナに指示すると、彼女も大きく頷いて、それに応えたのだった。
しかし……カリーナさんにとって、それが自分であるとは限らない、と悲しそうに言った。
本当のことを言えば、逆もまた真なり、だが、それを言うことはやめておいた。
現時点で、彼が彼女と結ばれる手段が、思いつかなかったからだ。
俺の『究極縁結能力者』は、最も幸せになれる結婚相手を示してくれるが、二番目、三番目に幸せになれる相手は教えてくれないのだ。
ただ、彼は、一番幸せになれる相手が彼女だという占い結果に感謝してくれた。
しかしそれでも、寂しそうに帰って行くその姿を見て、ユナは、
「うまくいかないこともあるね……」
と、めずらしく? 俺を励ましてくれた。
それから三日後、日も落ちて、そろそろ店を閉めようと思っていたときに、クルトさんが血相を変えて走ってくるのが見えた。
ちょうど、ユナも、隣である自分の店、『ユナ超級ハンター依頼受付所』を閉めているところで、彼の姿を見つけたようだった。
クルトさんは息を切らせながら、
「大変な事になった!」
と、早口でまくし立てた。
俺もユナも、彼に落ち着くように言って、とりあえず店の中に入ってもらい、水を一杯のませ、話を聞いてみる事にした。
「きょ……今日の朝から、いつもなら遅刻したこともない彼女が、勤め先のパン屋を無断で休んでたんだ……昼になっても、なんの連絡もない。心配になった僕は、自分の店を早退して、彼女の家に行ってみた……そしたら、一緒に住んでいるカリーナのお姉さんがいて……えっと……昨日の夜は、彼氏の家に泊まりに行って、直接出勤するって言ってたらしいんです……」
それを聞いて、ユナは思わず、
「うわっ……」
と言ってしまった……俺も、相当きついな、とは思ったが。
「……でも、そうだったとしても、勤め先を無断で休むなんて、真面目な彼女は滅多にある事じゃない。ただ、僕はその彼氏の家は知らない……けど、彼の勤め先は聞いていた。この街でも有名な貴金属店で、そこのチーフだって言う話だったから。僕なんかが気軽に入れる店じゃなかったけど、カリーナの事が心配だったから、思い切って入って、店員にその彼……ビョルンを呼んでもらうように告げたんだけど……その人は怪訝そうな顔をして、『そのような名前の方は、この店には勤めていません』って言ってきたんだ……」
「……えっ……それって……どういうこと?」
「僕も、訳が分からなかった……そんなはずはないって、ついムキになって言ってしまったら、その上司らしき人が出て来て、奥の部屋に連れて行かれた……そして、こう言われたんです。『その男性、ビョルンさんの名前を言ったのは、今月に入って、貴方で二人目です。もう一人の方は、別の女性の母親で、娘が帰ってこない、ここにビョルンという名の男がいるはずだから会わせて欲しいと、一週間ぐらい、毎日来ていました』と……」
……正直、彼が何をいっているのか、よく分からなかった。
「……えっと、つまり、ビョルンという名前の男の人はその店にはいなくて、なのに彼のことを探しに来た母親がいて、その娘さんが行方不明、ってこと? カリーナさんとは別で?」
「……そうなります……」
彼の不安げな言葉に、俺もちょっと寒気がする思いだった。
実際には存在しないビョルンという名の男と、行方不明の女性が二人……。
「……タク、その男の人、なんか怪しくない?」
「ああ、俺もそう思った……それで、あなたがここに来た理由は?」
「えっと……彼女の居場所を、もし占ってもらえるならと思って……藁をもつかむ思いなんです……」
彼は相当焦っているようだったが、それは正しい行動だった。
「それは正解でしたね。俺には見える……貴方とカリーナさんを結ぶ、運命の糸が。そしてそれを辿っていけば、かならず彼女に会える!」
俺が出かける準備をするようにユナに指示すると、彼女も大きく頷いて、それに応えたのだった。
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