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魔獣との激闘
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赤い目をした「ジュオンオオイノシシ」、個体名:ヤマアラシは、猪突猛進の言葉通り、怒りに身を任せて少女達に向かって突っ込んでくる。
既に二人も殺している魔獣。
優奈は、タクからその攻撃力の高さを指摘されていた。
その反面、相手に遠距離攻撃能力はない。それならば、まずはナツミやハルカの遠隔攻撃、または幻惑呪術で弱らせるのが得策だ。実際、ここに来る道中でもそのように計画を立てていた。
まず、ナツミが黄金の弓を引き絞り、狐火を纏った矢を連続で放つ。
それらは正確に魔獣の体を捕え、炎が爆ぜる。
しかし、止まらない。
名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒
生命力:1199/1552
ダメージは確実に与えているが、高すぎる生命力のためにその進撃を止められない。
「水流爆!」
ここでハルカが、得意の水系上級攻撃呪術を発動する。
まともに当たれば岩をも破壊する威力、と言われたそれだが、流石に魔獣もこれは危険だと判断したのか、僅かに横にステップして躱す。
しかしそれで魔獣の勢いがそがれた。
「氷結っ!」
ハルカは引き続いて、より高度な冷却系の呪術を発動した。
水流爆が通過した後の湿った地面が凍結し、そこに足を踏み込んだ魔獣が足を取られる。
転倒し、さらにハルカが氷結呪法を重ねることで地面と体が凍り付き、身動きができなくなる。
「好機っ!」
ここがチャンスと、優奈が猛然とダッシュして距離を詰め、長刀を振りかざすが、魔獣はビクン、と体をくねらせ、自身の皮膚の一部を引きちぎりながら跳ね起き、その巨大な牙を振り回した。
すんでの所で長刀の柄を盾にして後方に飛び、その牙を受けた優奈だったが、僅かにダメージを負う。
さらに魔獣が追撃を駆けてきたが、彼女は素早く横に飛び退き難を逃れた。
魔獣はしつこく優奈を狙おうとしたが、ここで再びナツミの矢が複数回当たり、怒り狂ってそちらに狙いを変え、突っ込んでいく。
この状態でハルカが「濃霧」を発動、濃い霧に包まれ、魔獣は目標を見失った。
「濃霧」には、気配や匂いを消す効果もあることから、その大イノシシはしばらくウロウロとしてた。
優奈は、心臓がバクバクと激しく鼓動していることを実感していた。
危なかった。
うまく牙をいなすことができたが、まともに体で受けていたら、甲冑で保護されているとはいえ、大きなダメージを受けることは避けられない。
さらに転倒でもしようものなら、連続で追撃を受けて致命傷になっていたかもしれない。
「優奈、焦りすぎだ。まだあの魔獣の生命力は半分以上残っている、まずはナツミやハルカの遠距離攻撃で弱るのを待つんだ!」
タクがそう説得する。
あれだけ矢を当てられて、まだ生命力が半分以上残っている……そのことにも、優奈は驚愕した。
自分が突撃して数回直接攻撃したとしても、倒せる相手ではなかったのだ。
三つ星の魔獣……その脅威を実感した。
そして戦況は、以前の模擬戦の時と同様に、濃い霧の中でナツミが矢を放ち、相手がどこにいるのか正確に把握できていない魔獣の体力を確実に削っていく。
時折ハルカも水弾、氷弾を当てて、攻撃者の存在する方向を絞らせないようにしている。
しかし、ここでそのステータスに変化が現れる。
-----
名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒 (激)
生命力:323/1552
呪力:0/0
戦闘力:462
呪術攻撃力:0
防御力:76
素早さ:185
備考:
瘴気をため込んだイノシシが傷を受け深い恨みを抱き、魔獣化した姿。
非常に強い怒りにより、防御を忘れて相手を攻撃する本能のみに取り憑かれている。
野生の勘が鋭くなり、相手が目で見えずとも居そうな方向に当たりを付け、迷わず突っ込んでいく。
その牙による攻撃力は、まともに当たれば初級精霊巫女の鎧を軽く貫く。
-----
状態が「憤怒 (激)」となったことにより、防御能力が下がっている代わりに、さらに戦闘能力、素早さが上がっていることを、タクが確認した。
この戦闘能力は非常に危険だ。
だが、それ以上に、「野生の勘が鋭くなり、相手が目で見えずとも居そうな方向に当たりを付け、迷わず突っ込んでいく」という特性に恐ろしさを感じた。
魔獣が動く。
タクと同様、契約精霊であるキツネのリン、竜のユキアが上空から魔獣の位置を把握していた。
そしてその攻撃対象がこの濃霧の発生源、ハルカであることが分かった。
「ハルカ、右横に飛んでっ!」
ユキアの鋭い指摘により、ハルカ自身状況がよく分からないまま慌てて飛び退いた。
するとそのすぐ脇を、魔獣の巨体がかすめた。
牙が当たったわけではないが、それでもハルカの体はなぎ倒され、僅かにダメージを受ける。
それと同時に、それまで展開していた濃霧が晴れた。
魔獣はハルカの体を掠めた後、勢い余って10メートルほど通り過ぎたが、そこで体の向きを反転させ、明確に彼女を標的として捉えた。
倒れた姿勢のまま顔を引きつらせるハルカ。
そこにナツミが放った矢が当たり、顔をしかめる魔獣。
今度はナツミを標的に切り替えるが、彼女はハルカの右後方、魔獣との距離は15メートルほどだ。
今の魔獣ならば一瞬で詰められる距離、しかも目眩ましはない。
ナツミの表情も強ばったが、そこに斬撃波が飛び、防御力が弱まっていた魔獣にダメージを与える。
さしもの大イノシシもよろけたその一撃を放ったのは、走り込んできた優奈だった。
「接近戦なら任せてっ!」
優奈は気丈に叫ぶが、魔獣の牙による一撃は脅威。まともに当たれば命はない。
それでも、優奈は、標的を自分に定めた魔獣の正面に立った。
名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒 (激)
生命力:187/1552
戦闘力:462
ナツミの矢、優奈の斬撃波により、魔獣の残り生命力は僅かだ。
それでも、驚異的な戦闘力はそのまま残っている。
その状態で、優奈は自身が持つ長刀を、槍の形状に変えた。
次の一瞬で勝敗が決まる。
優奈は、完全カウンターによる一撃必殺を狙っていた。
既に二人も殺している魔獣。
優奈は、タクからその攻撃力の高さを指摘されていた。
その反面、相手に遠距離攻撃能力はない。それならば、まずはナツミやハルカの遠隔攻撃、または幻惑呪術で弱らせるのが得策だ。実際、ここに来る道中でもそのように計画を立てていた。
まず、ナツミが黄金の弓を引き絞り、狐火を纏った矢を連続で放つ。
それらは正確に魔獣の体を捕え、炎が爆ぜる。
しかし、止まらない。
名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒
生命力:1199/1552
ダメージは確実に与えているが、高すぎる生命力のためにその進撃を止められない。
「水流爆!」
ここでハルカが、得意の水系上級攻撃呪術を発動する。
まともに当たれば岩をも破壊する威力、と言われたそれだが、流石に魔獣もこれは危険だと判断したのか、僅かに横にステップして躱す。
しかしそれで魔獣の勢いがそがれた。
「氷結っ!」
ハルカは引き続いて、より高度な冷却系の呪術を発動した。
水流爆が通過した後の湿った地面が凍結し、そこに足を踏み込んだ魔獣が足を取られる。
転倒し、さらにハルカが氷結呪法を重ねることで地面と体が凍り付き、身動きができなくなる。
「好機っ!」
ここがチャンスと、優奈が猛然とダッシュして距離を詰め、長刀を振りかざすが、魔獣はビクン、と体をくねらせ、自身の皮膚の一部を引きちぎりながら跳ね起き、その巨大な牙を振り回した。
すんでの所で長刀の柄を盾にして後方に飛び、その牙を受けた優奈だったが、僅かにダメージを負う。
さらに魔獣が追撃を駆けてきたが、彼女は素早く横に飛び退き難を逃れた。
魔獣はしつこく優奈を狙おうとしたが、ここで再びナツミの矢が複数回当たり、怒り狂ってそちらに狙いを変え、突っ込んでいく。
この状態でハルカが「濃霧」を発動、濃い霧に包まれ、魔獣は目標を見失った。
「濃霧」には、気配や匂いを消す効果もあることから、その大イノシシはしばらくウロウロとしてた。
優奈は、心臓がバクバクと激しく鼓動していることを実感していた。
危なかった。
うまく牙をいなすことができたが、まともに体で受けていたら、甲冑で保護されているとはいえ、大きなダメージを受けることは避けられない。
さらに転倒でもしようものなら、連続で追撃を受けて致命傷になっていたかもしれない。
「優奈、焦りすぎだ。まだあの魔獣の生命力は半分以上残っている、まずはナツミやハルカの遠距離攻撃で弱るのを待つんだ!」
タクがそう説得する。
あれだけ矢を当てられて、まだ生命力が半分以上残っている……そのことにも、優奈は驚愕した。
自分が突撃して数回直接攻撃したとしても、倒せる相手ではなかったのだ。
三つ星の魔獣……その脅威を実感した。
そして戦況は、以前の模擬戦の時と同様に、濃い霧の中でナツミが矢を放ち、相手がどこにいるのか正確に把握できていない魔獣の体力を確実に削っていく。
時折ハルカも水弾、氷弾を当てて、攻撃者の存在する方向を絞らせないようにしている。
しかし、ここでそのステータスに変化が現れる。
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名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒 (激)
生命力:323/1552
呪力:0/0
戦闘力:462
呪術攻撃力:0
防御力:76
素早さ:185
備考:
瘴気をため込んだイノシシが傷を受け深い恨みを抱き、魔獣化した姿。
非常に強い怒りにより、防御を忘れて相手を攻撃する本能のみに取り憑かれている。
野生の勘が鋭くなり、相手が目で見えずとも居そうな方向に当たりを付け、迷わず突っ込んでいく。
その牙による攻撃力は、まともに当たれば初級精霊巫女の鎧を軽く貫く。
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状態が「憤怒 (激)」となったことにより、防御能力が下がっている代わりに、さらに戦闘能力、素早さが上がっていることを、タクが確認した。
この戦闘能力は非常に危険だ。
だが、それ以上に、「野生の勘が鋭くなり、相手が目で見えずとも居そうな方向に当たりを付け、迷わず突っ込んでいく」という特性に恐ろしさを感じた。
魔獣が動く。
タクと同様、契約精霊であるキツネのリン、竜のユキアが上空から魔獣の位置を把握していた。
そしてその攻撃対象がこの濃霧の発生源、ハルカであることが分かった。
「ハルカ、右横に飛んでっ!」
ユキアの鋭い指摘により、ハルカ自身状況がよく分からないまま慌てて飛び退いた。
するとそのすぐ脇を、魔獣の巨体がかすめた。
牙が当たったわけではないが、それでもハルカの体はなぎ倒され、僅かにダメージを受ける。
それと同時に、それまで展開していた濃霧が晴れた。
魔獣はハルカの体を掠めた後、勢い余って10メートルほど通り過ぎたが、そこで体の向きを反転させ、明確に彼女を標的として捉えた。
倒れた姿勢のまま顔を引きつらせるハルカ。
そこにナツミが放った矢が当たり、顔をしかめる魔獣。
今度はナツミを標的に切り替えるが、彼女はハルカの右後方、魔獣との距離は15メートルほどだ。
今の魔獣ならば一瞬で詰められる距離、しかも目眩ましはない。
ナツミの表情も強ばったが、そこに斬撃波が飛び、防御力が弱まっていた魔獣にダメージを与える。
さしもの大イノシシもよろけたその一撃を放ったのは、走り込んできた優奈だった。
「接近戦なら任せてっ!」
優奈は気丈に叫ぶが、魔獣の牙による一撃は脅威。まともに当たれば命はない。
それでも、優奈は、標的を自分に定めた魔獣の正面に立った。
名前:ジュオンオオイノシシ
ランク:三つ星
状態:憤怒 (激)
生命力:187/1552
戦闘力:462
ナツミの矢、優奈の斬撃波により、魔獣の残り生命力は僅かだ。
それでも、驚異的な戦闘力はそのまま残っている。
その状態で、優奈は自身が持つ長刀を、槍の形状に変えた。
次の一瞬で勝敗が決まる。
優奈は、完全カウンターによる一撃必殺を狙っていた。
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